祝!500PV突破! 第5話 美少女と同棲生活
「で、どうやって戻るんだ?」
俺は尋ねる。
「私が帰りのゲートを開くのよ」
「お前がいなかったら?」
「帰れないわ」
「おい」
ルナはくすくすと笑い、
「大丈夫よ。たとえ離れていても『アドバイザー呼び出し』のコンソールをタップすればすぐに来るわ」
「ならいいんだけど」
ルナは宙に円を描き、ゲートを呼び出す。
ディスプレイ型のデザインだったら戻りにくいなと考えていたが縦型の扉だったので少し安心した。
「さ、戻りなさいな」
「おう、また今度な」
響はゲートに入る。
白い空間をまっすぐ飛んでーーー
出口に出た。
「やっぱりか」
響はディスプレイから首だけ出していた。
スピードを落とさないと、そのまま顔から突っ込んでいくパターンだった。
「我ながら慎重すぎるぜ」
決め台詞のようなものを言った直後、
ドン!
背中に何かがぶつかった。
そのまま前のめりに倒れこむ。
「どおおおおおおっ!?」
畳の上に転げ落ちた響は自分の背に乗っている何かをはじき飛ばす。
「きゃっ!」
きゃっ!?
響は声のしたほうを見やる。
「急に止まらないでよ!あとはじき飛ばすのもやめて!」
ルナがぷんすか怒っていた。
「なんでお前もここに戻ってきてるんだ?」
「悪い?」
響は半眼で、
「いや、良い悪いの問題じゃないだろ」
ディスプレイを指し、
「あっちがお前の本拠地じゃないのか?」
「それはそうだけど、暇なのよ。それにたまにはこっちでシャワー浴びたりご飯食べたり寝たりしたいの」
響は目をつむり、首をひねる。
「あれ?それってつまり俺と同棲したいってことか?」
ルナは手身近にあった座布団を投げてくる。
「違うわよ!」
響の顔面に座布団がヒットする。
「どこが?」
ルナは視線そらして、
「あなたが世界創造を達成するまで、向こうでもこっちでもサポートしなければならないってルールがあるのよ」
「で、同棲すると」
「同棲言うな!」
ルナは、はぁ、とため息をつき、
「まあいいわ。あなたの両親、海外出張なんでしょ。その間に済ませましょ」
俺、海外出張の件こいつに言ったっけ?
「そんな事いきなり言われても俺たちまだ逢ったばかりなのに心の準備がよろしくお願いします」
どすっ
ルナのボディブローが響の脇腹に決まる。
「おおう・・・」
俺はそのまま崩れ落ちる。
「今度そんな下劣なこと言ったら殴るわよ」
「すでに殴られた後ですが」
ルナは聞いた様子もなく、
「森の中突っきったから、葉っぱが少し付いてるわね。夜食の前にシャワー浴びましょ」
「!」
響の動悸が早くなる。
「覗いたら殺すわよ」
一気に動悸が静まった。
サーーーッ
シャワー室からシャワーを浴びる音が聞こえてくる。
ついでにルナの鼻歌も。
響はというと、ドアに耳をくっつけて、シャワー室内の音を聞いていた。
「響ー」
「な、なんでしょうルナ様」
ガチャリと鍵が内側から開く。
それと同時に、
バンッ!
爆発するような速度でドアが開き、響を跳ね飛ばす。
「そーいう下劣なことするなって言ってるでしょ!」
響は鼻面を押さえて、
「上品ならいいのか!?」
「ああごめん、言い方を間違えたわ」
ルナは頭だけ出しながら言い返す。
「セクハラをしたら殺すわよ」
そんなこんなのやり取りで、
俺はこれから始まる日常に不安と期待、両方に思いを馳せるのだった。
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