祝!400PV突破! 第4話 空飛ぶ何か
「さあ、コンソールを出して」
響は宙に指で丸を描く。
ごちゃごちゃとコンソールが表示される。
「マスター権限という『言葉』をイメージして」
俺は集中する。
すると『マスター権限』というコンソールが表示される。
響はルナのほうを見る。ルナはうなずく。
響がタップすると、ずらっ、とコンソールが溢れてくる。
これだけできることが多いなら、しばらく退屈はしなくてすみそうだ。
「『制空権限』を呼び出して」
「制空権?飛行権じゃなくて?」
「いいから呼び出すの」
とりあえず従う。
新しく出てきたコンソールに『飛行能力ОN』とある。
「それをタップして」
俺はタップする。
次のコンソールには『障害物自動回避ON』
とある。
「そう、初心者にはこれが重要なの」
障害物を自動で避けるのか?なるほど。これは便利だ。
「あとは『翼形状』を呼び出して翼の形を決めて」
「妖精タイプだけじゃないんだな」
ふふん、とルナが威張る。
響はしばらく考えて、コウモリの翼に似せて6枚羽にしてみた。
見た目は一気に魔界の幹部ぽくなった。
「なしてコウモリ?しかも6枚羽?」
ルナが突っ込みを入れてくる。
「どうだ。魔界の幹部っぽいだろ。俺は正義の味方より悪の使者を応援するタイプなんだよ」
「なるほど。いかにも厨二っぽい発想ね」
響はルナに聞く。
「お前これ収納はどうやってんだ?」
「かさばるなら初めから2枚羽にしとけばいいのに」
ルナはため息をつき、
「収納は手のひらに丸を描いて中心を押せばいいわ。飛んでる途中に間違って消したり出来なくしてるの」
へえ、と響はあいずちを打つ。
「さあ、これからが飛行訓練の醍醐味よ」
ルナは両手をぱん、と叩くと、
「今度は空と大地を作った要領で森を作って頂戴」
「へいへい」
響は作業に取り掛かる。
『森』のコンソールを呼び出してイメージ。。
すると紅い森が生まれた。
ルナはへぇ、と呟くと、
「あなた配色のセンスがあるわね」
「いやぁそれほどでも」
響は照れる。
こいつおだてると調子に乗るタイプかしら?それとも褒めて伸びるタイプかしら?まさか両方?
ルナが思案していると、
「で、次はどうするの?」
響が聞いてくる。
ルナはにやりと笑い、
「今作った森に、飛びながら突撃するのよ」
「わああああああああ!」
響の絶叫が森中に響き渡る。
響は森の中をもの凄い速度で滑空していた。
「もう、だらしないわねぇ」
ルナはやれやれ、といった表情で告げる。
「障害物自動回避ONに設定してあるんだから木やその枝に当たるわけないじゃない」
「当たらないけどものすごい勢いで木々が向かってくるんですけど!ジェットコースターだってぶつからないけど怖いだろうが!」
「それはそうね」
ルナが見当違いのコメントをする。
「もういいだろ、スピード落とせ!」
「大丈夫、もう森を抜けるわ」
次の瞬間、
一気に視界が開けた。
響はへろへろと青色の草原に着地する。
「ううう・・・」
ルナはうずくまる響の肩にぽん、と手をやり、
「ここが仮想世界でよかったわね。現実世界だったら確実に吐いていたわよ、あなた」
「最悪だ、お前」
響はふらふらと立ち上がり、ルナに聞く。
「もう今日はこの辺でいいだろ、帰らせてくれ」
「あら?もうそんな時間?」
響は半眼になりながら聞く。
「現実世界に戻ったら100年経っていましたとかそんな事はないだろうな?」
「あら、あなた鋭いわね」
「そうなのか!?」
全身に嫌な汗をかきながら響が問うと、
「実際はその逆でこっち(仮想空間)の24時間は、むこう(現実世界)の2時間40分くらいの時間差になるわね。まあ心配することはないと思うわ」
「冷や汗かかすんなよ、もう」
ルナは小悪魔の様に笑うと、
「じゃ、帰りますか」
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