第10話腕の中で
僕が箱の中に戻ると、起きていたお姉さん達から悲鳴があがりました。
僕の体が、真っ赤な血で染まっていたからでしょうか?
僕は、皆の縄を、気をつけながら切っていきました。
縄を切って貰ったお姉さん達は、悲鳴を上げてそのまま走り去りました。
僕は何かしたのでしょうか?
ミカちゃんはまだ起きません。
ミカちゃんが起きるのを待ちましょう。
ミカちゃんの目の周りの黒い模様を嘗め回していると不思議な事が――。
僕が舐め回した場所が、青く光り輝いて……。
次の瞬間には、元の綺麗な顔に戻っていました。
僕は安心しました。
本当に綺麗な、ミカちゃんの白い顔が台無しだったのですから。
僕は、箱から飛び降り、周りで死んでいる人の骨を捜しました。
でも、骨はありませんでした。
そんな事をしていたからか?
まだ辛うじて生きていた男達が、僕を……。
恐ろしい者を見るような目で見つめてきました。
失礼な人達です。
僕は強くて可愛い子猫ちゃんなのに……。
死んだ人は火葬?をしなければいけません。
一箇所に、銜えて集めましょう。
集まったら、手を翳して燃やしました。
ここで、生きていた男達は意識を失いました。
何故でしょう?死んだら燃やすものなのに……。
燃やしている間に体に付いた汚れを舐めて落とします。
でも、綺麗には落ちません。
近くに小川でもあれば良かったのですが……。
ある程度、綺麗に舐め取ったので箱の中へと戻りました。
ミカちゃんの隣でジッと、様子を窺っていると、
ミカちゃんの口から声が漏れ始め、次に瞼が開きました。
僕は大丈夫?と声をかけます。
「みゃぁ~みゃぁ~」
僕に気づいたミカちゃんは、僕に抱きつくと周りをキョロキョロ見ました。
「あれ?子猫ちゃん、どうしてここに?それにこれはいったい……」
ミカちゃんは、僕を抱き上げたまま箱から外へ出ます。
そこには……体中が傷だらけの男達と、何かを燃やした後があります。
ミカちゃんはそれを見て、気づいた様です。
子猫ちゃんが助けてくれたのね?
「みゃぁ~」
僕も返事を返しました。
すると僕を強く抱き締め……泣きじゃくりながら。
ありがとう。ありがとうね。子猫ちゃんと、何度もお礼を言われました。
僕はミカちゃんと、離れたく無いからしたんです。
お礼なんて要りません。
それから僕を抱いたミカちゃんは、村の方へと歩き出しました。
ミカちゃんに抱かれて、幸せな気持が戻ってきて安心した僕は――。
そのまま、ミカちゃんの腕の中で眠ってしまいました。
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