紀ノ章/カナメノショウ
紀ノ章 マエ書き
最初の話を、知っているか。
何に? 当然、「世界」の組成についてである。どうしてそれはつくられた。どうして、そこに在る。なぜ、その少女を
平俗の、一心による救済――彼は自著でそのような、宗教的なフレーズをヒロインの少女のセリフに用いた。また、それこそ「世界一価値のある宝物」の継承される価値だ、とも。
彼は、フィクションにおける妥当性にどこまでもこだわった。結果、「世界」を題材にした問題作が生まれたわけなのだ。これこそが出来事。
「それで。やっぱりおれの手には、お前を――殺してしまった感覚がまだ、残ってるんだよ。罪悪感もな、」
「帰ったら、『IMMORTALE《イモー・テイル》』にわたしを書いてほしい」
「無理、だよ。わたしはもう君の
「外傷は痛みを、誘発する。痛みは苦悶を。苦悶は、やまいを。やまいはやがて死を招く。そのはず。では――傷を得ない
キリカサネとは、統べて
終着の1つ。
果たして真理は遠いし、やって来る日はない。こちらから行くばかりだ。けれどその、進んだ分だけ、みずから至ったときの感動は計り知れない。
つまり、極論すれば、自分で解釈をつけてしまうのが手っ取り早い。真理は決して、事実とかぎらないから。誰かがずっと正しいことは有り得ないのだ、絶対に。
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