纏ノ章/マトイノショウ
纏ノ章 マエ書き
自分の、命の価値をしらなかった。考え得なかった。どうして、この永劫、誰の役にも立たない命に、何かしらの意味とか報いがきまっているだなんて、思い込んでいたのだろう。――確かに、最後に決めつけられるのは自分だけかもしれない。でも、生きているあいだに判断をつけていいのは、断じて、第三者のはずだ。生殺与奪さえ、つまり公的には私に認められていない。
『ここが、幸福の
それは、意味ある生と死の、定められた価値観。秩序ある場所。だれに、自分にさえ、制約されない自由意思。そのすべてが揃ってないと、とても、「世界」だなんて呼んで居られない。見留め、続けられない。
「いいよ。買ってやる」
「俺は、もう上にも下にも戻れあしないのさ。完全に閉じ込められてる。俺自身がいつかにくだした、向こう見ずの所為で、な」
「はは、だいじょうぶだよ。たとえ忘れていたって、タカラモノまでの道を閉ざさないでいてくれるのが、『
「ぼくの……
「
「わたしで、いいの?」
キリカサネとは、統べて
終着の1つ。
もし、弱さを見せられない、自覚できないままで、君は息絶えてもいい。彼らはそれを望んでいた。しかし――死を、全うしただけで、本当に死ねるとは思うな。無為のエニシはつきまとう。本当の君は、知られないままで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます