008_創作を馬鹿にする学生時代がコンテンツの弊害になる
最近の世界観としてブームがあるのは、現実世界以外の異世界を客観視点で堪能する内容だと思っている。
その世界に住んでいたり、その世界の文化に基づいて生活している人ではなく、別の世界からやってきたという設定上で進む展開のことだ。
異世界自体を書いていくというよりは、メタい設定を発言させていくことで、ウンウンそうだよねというような読者視点の納得を得る作品のことだ。
ワンピースとかだとその世界に住んでいて、その文化に基づいて生活している人しかいないが、異世界系だと主人公が移動先の文化を知らない状態で、世界自体を客観的に見ながら物語が進行していく。
今に始まったことじゃないにしつつも、その勢いは強めになっている。
理由の一つとして、日本特有な部分も若干影響している部分なのかもしれないと思っている。
※あくまで推論の一つです
例えばロボットアニメや魔法少女アニメとか、大手が作る新作アニメーションというのは、造語や専用の文化などの世界観設定をしっかり作った上で、物語を展開させ、その世界の中で主人公と対立する者が文化の条件に基づいて意見を食い違わせるというのがメジャーな内容となっている。
本当に小説とかアニメを見ない人からすると、何をやっているんだという内容だ。
……
……
作品を客観的に書いてしまう理由について、概ね理解している人はいると思うが、特殊な世界観を考えるという行為自体を『恥ずかしいアイデアを考えている』と、創作自体を蔑む人が割と多いというのが理由だ。
エターナルフォースブリザード的なワードをかっこいいという人もいれば、何だよそれダッセーという人もいる。
特に小学校中学校高校あたりだと、そういう独特の世界観にまっすぐのめり込むこと自体を『子供じみている』と馬鹿にし合う傾向がある。
例えば誰かが絵を描いたら、うわ〜こんな絵描いてやんの、と創作を馬鹿にする人間は一人くらいはクラスにいただろう。
創作をすること自体、何も無いところから新たな物を生み出すという難しい行為だというのに、現代社会に存在しないものを作り出す苦労を知らずに、ただ馬鹿にする人間というのは一定量存在するものだ。
そういう環境で数年間過ごしていけば、ああ、絵を描くことや小説を書くことは、人に馬鹿にされてしまう行為なのかと頭の中の考え方に刷り込まれてしまい、結果的に大人になっても、創作は恥ずかしい行為であると何処かで認識したままになってしまうのである。
互いに足を引っ張りあった結果、創作という行為を伸ばすきっかけを完全に失ってしまっているという状況だ。
それでもやはり創作をしたいという野心を持った人は一定量存在する。
自分が考えたアイデアを書き起こしたいということを、ひっそりとでも行動して残したいというものだ。
しかし、客観視点の作品ばかりを書いている人の場合、上記で記載した『恥ずかしい行為なのかもしれない』という呪いの言葉に惑わされている可能性がある。
真面目に一から世界観を書いてしまうと、色んな人に馬鹿にされてしまうのではないか――と。
うわー漆黒の○○ってなんだよーとか、モンスターってなんだよー的な感じで馬鹿にされることを想像してしまうばかりに、少し控えめに創作をしてしまっているということだ。
そういう人は、客観視点で物語を書いてしまうのである。
自分は『他人が考えた』世界観を題材にした上で、客観視点で感想を書くように小説を書いているのだ――と。
これは自分が考えたことじゃないし、あくまで自分はそれを利用させてもらっているだけにすぎない。
だから自分は恥ずかしいことをしているわけじゃないし、むしろちょっと馬鹿にしながら創作をしているのだと。
まあ、これに関しては一概に全部そうとは言えない。
全体の数%はこうじゃないかっていう推論だ。
少なくとも商業作品と化しているものについては、そういう世界観を馬鹿にしたような作品というのは、ほとんど存在しない。
仮に出たとしても、すぐに飽きられてしまうだろう。
何故なら、その客観視点の作品は、他人の世界観を見ながら中身を書いているために、自分自身という中身が空っぽな作品となってしまっているためである。
真面目に創作しないというものに関して、アニメとか作る側も楽しむ側も長く付き合おうという意欲は無い。
作者以外にアニメやコンテンツ等を作る側も、基本的には真面目に世界観を理解してあらゆる作品を作ろうとしている。
ちょっと馬鹿にするような考えだと、そういう温度感なら、あんたの作品なんて作りたくないってなってしまう可能性は意外と高い。
お金をもらっている以上、クリエイターは真面目に最大限面白い作品を作ろうとしている。
大人の創作というのは、子供が想像する以上にかなり大真面目なのだ。
ちなみにこれを読んで創作をしている人達は、どこか恥ずかしい気持ちという呪いにはかかっていないだろうか?
言う必要はないけれども、創作自体は全く恥ずかしいことではない。
むしろ恥ずかしいのは、ものを生み出さずに馬鹿にする人間の方である。
人の考える面白いアイデアというのは多種多様であって、それを互いに認め合わずとも、否定し合う筋合いはない。
意見はたくさん飛び交ってこそ、面白い作品が生まれだす。
今はウェブを通じて秘匿に自分のコンテンツを自由にアピールできる時代だ。
正直学校でそういうのをやるのは環境によっては息苦しい可能性もあるが、家でなら幾らでもできるだろう。
ちなみに本当に客観視点を面白いと考えて作品を作っている人もたくさんいる。
たしかに面白いし、いろいろなアイデアが凄いなと感じる。
客観視点の作品自体、一つの面白みとしてこれからも作られていくべきだと思っている。
ただ、あらためて問いたいのが、
『今――自分自身、作品を作っていて1%も恥ずかしがらずに誇りを持っているか』という事です。
あらゆるクリエイターの人達は、今一度問い直してみても良いかもしれない。
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