小休止 イートインミントイン

「あそこのコンビニでちょっと休憩しよ?」

「そうですね、ちょうど私も疲れてきましたし」

「じゃー私ピザまんおごってもらおっかな」

「覚えてたんですね」

 スキャットマンめ、許さない。

「ふふーん、もう一回しりとりする?」

「もういいです」

 新しく発売されるらしいアイスでも食べたいと思いながら入店する。それぞれがかごを持って思い思いに店をまわると思っていたのだが。

「別についてこなくても」

「いいじゃん、それにどんなもの選ぶか気になるし」

 店内を巡っているとこれまた新作の紅茶を見つけた。おいしそう。

「あー、それ新しいやつだよねー」

「飲んだことありますか?」

「あるある、そんなにおいしくなかったやつ」

「えっ」

 楽しみにしていただけにネタバレされるのがつらい。そんなことかまうか。

「警告したのに入れちゃうんだ、ムキになっちゃって」

 笑うな、この人会ってからずっとへらへらしている。

「あれ、そのアイスも新作じゃん。新作好き?」

「別に、なんとなく選んだのが新作だっただけです」

「わかるー、新作ってとりあえず試したくなるよねー」

 そういって彼女がカゴに入れたのは。

「歯磨き粉」

「違う! チョコミントは歯磨き粉味じゃないから!」

 まさかあんたもそっち側だったか、みたいな顔をされても

「でも私食べたことないから正直わかんないな」

「なーんだびっくりした」

 レジでピザまんを買わされたのでついでにあんまんも頼むと「あまあまなやつばっかじゃん」とか言われ、また笑われた。

「イートインスペースあってラッキーだったね」

「そうですね」

「あっ、そうだ。ほら、チョコミント味見してみて! 絶対おいしいから!」

 目をキラキラさせながら言われると断るに断れない。

「じゃあ一口だけ」

 口に入れると広がるミントの爽やかな香りと後から入ってくるチョコやらなにやらの甘い味、飲み込んでしばらくするとスースーしてきた。

「どう?」

「どちらかといえば歯磨き粉」

 正直好きになれない味だった。

「えー……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る