game05 関口の策略

 一同は深く悩んだ。

 しかし、とにかく一花ちゃんが犠牲になったとしても、人狼が死ぬ訳では無い。

 つまり、今晩まだ2人いる前提で、明日以降どう展開させるのが正しいかを議論する必要があった。

「あのさ、一花が監禁されようが別にいいけどさ、もし負ければ市民陣営諸共地の底じゃね?」

 七瀬さんが正論を言う。

 たしかに、一花ちゃんを監禁したところで、どうなるわけでもなく、市民陣営が負けることもある。

 そうなれば、一花ちゃんの監禁も無駄となってしまうのだった。

 その時、私から見て一番離れた壁に座っていた無口の関口航海が立ち上がる。

 みんなで関口くんの方を見るが、相変わらずの無口でそのまま私たちに背中を向け、門の外へ一足先に出ていった。

「なんか感じ悪くない?」

「うざっ、何余裕ぶってんの、一花よりあいつ監禁したいわ」

 誰もがそう思ってるのだと思った。

 私も感じ悪いと思ったし、何より近づくのが怖くなった。

 ただ、その時の関口くんはとんでもないことを仕掛けていたのだ。

 そして、その時の議論は、関口くんの退席により幕は降りた。

 その後私たちも自由時間にした。

 そして、朝同様に昼の食事も提供された。

 本当に運営は何を目的としてるのかわからなかった。

 その意図すら掴めなかったのだ。

 そして各々自由時間を有意義に使い、その日の投票時間が訪れた。

「それでは、これより投票タイムとさせていただきます。最も疑わしいと思う人物に入れてください。それでは行きます。3.2.1」

 その合図でいっせーに指を指した。

 すると、その投票が妙に変だったのだ。

 筒井星哉に対して、関口くんと山本さん、一花ちゃん、心美さんの4人が投票し、関口航海に対して、七瀬さん、筒井さんの2票、吊っていいと言った一花ちゃんを吊るす者かと思ったのに、小桜一花に対して、私と神代くんと佐伯さんの3票だけだった。

 実質今回吊るされるのは筒井星哉になったのだ。

「おい、なんでだよ、あーん?てめぇら、吊るすならこのイカれた野郎だろ、話にも参加しないでよ」

 筒井さんが不満ありきな発言をしたが、それに対して関口くんが筒井さんの前へ行き、顔を眺めてからこう言ったのだ。

「おめぇはバカか、、、」

 その発言をすると、同じく筒井さんに投票していた山本くん、一花ちゃん、心美さんの3人が笑った。

「投票は買うんだよ。市民陣営が勝てばいいんだよ、つまり、市民陣営に不要な人物を初日監禁し、占いの無駄を排除した。これが正当なやり方だ」

 しかし、私はそれにひとつ疑問があった。

 投票を買っても、その人の招待がわからない、つまり中には人狼が紛れてるかもしれないのになぜ、簡単に信用できるのか、いや目を見一概にも信用はしていない様子だった。

「お前は、この中で一番不要と俺が判定したんだ。つまり、お前を監禁して、このゲームを円滑に進めるための材料てして、初日は死ぬんだよ」

 その目は鋭く、人を狂気で襲ってるかのごとく、飲み込んだように思えた。

 筒井さんは、突然死んだかのように、地面を叩きつけ、怒鳴った。

「クソがァァァァァァァ!!!!!」

 その一言で、場の空気は変わった。

 そして、支配人が場を仕切る。

「今回最多票となりました。筒井星哉様には、5千万円の損害を支払っていただきます。また、別室にて待機をしてもらいます」

 筒井さんの目は完全に死んでいた。

 そのまま、会場のスタッフが、筒井さんの腕をかかえて、固定したまま門を出ていった。

 今後筒井さんが議論に現れることは無い。

「それでも恐ろしい夜はやってきます。各々は自室で明日をお待ちください」

 その支配人の号令と共に、関口くんもスっーと息を吐くかのように大人しくなり、その場を出ていった。

 続いて続々と私たちもその場を後にした。

 でも、仮に関口くんがあの時、筒井さんに入れたのは分かったけれど、その手中に一花ちゃんもいたのは以外だった。

 もしかすると、あれも全部演技だったのかなと思うところもあるのだ。

 さらに、その日はそれだけでは終わらなかった。

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