game03 市民と狼
とうとう私の出番がやってきた。
「
そして、私は呼ばれた。
「あ、はい……」
私は恐る恐るみんなが見る中、女性スタッフの前に行き、カードを受け取る。
それを裏向きのまま、先程いた後ろの方へ素早く戻った。
すると、また中央画面が切り替わり、支配人が映った。
「それでは、手渡されたカードを確認してください」
その声で、一斉に私たちはカードを見た。
「市民……?」
「そのカードは決して他人に見せないよう、自分で保管お願いします。最後回収致します」
そう言うと、本格的にゲームが始まったと実感した。
そして、一同が静まると、支配人からルールの説明が始まる。
「今回、市民陣営と人狼陣営に別れて、人狼ゲームを行ってもらいます」
「人狼ゲーム……!?」
「なんじゃそりゃ、、、」
誰もがそう思っただろう。
私は市民、つまり市民陣営なのだろうけど、どうやって戦うのか全く想像がつかない。
「今からそのカードに書かれた番号の部屋へ入室して夜アクションを行っていただきます」
私の番号は202号室、つまり2階のお部屋だろうか。
多分、私たちが入ってきたその門を出ると向かって左手にあったあの階段がそうに違いない。
他の人の部屋番号まではわからない。
支配人は続けて説明を始めた。
「そして、夜アクションでは、人狼と書かれたプレイヤーは仲間を確認してください。最初に忠告しておきますが、人狼はこの中に2人潜んでいます」
私は咄嗟に2人って不利だろうと思った。
余裕で市民が勝てると思った。
「最初のよるアクションでは、人狼は何も行動はおこせません。また、市民陣営には協力な役職、占い師が紛れています」
「占い師……?」
ますます市民陣営が有利なんじゃないか?と思い始めてきた。
「占い師は毎晩、1人を指名して、その人が人狼であるか、そうでないかを知ることが出来るのです。その情報は次の日以降に持ち込むことができます」
そう言われると、占い師が強いと思う人が多数出た。
しかし、支配人は何も聞く耳を持たず、話を進めた。
「そして、最初の夜アクションでは、占い師は人狼ではないプレイヤーを予め知ることができます」
夜アクションだけでも、すごいゲーム性が高く、ついて行くので必死だった。
「そして、リアルタイム24時間を1日とし、次の日皆さんの自由で会議をしてもらいます」
会議とはつまり、人狼を探す話し合いをするということだろうか。
話し合いで見つかるのか不安だった。
「そして、夜20時になると、投票タイムです。最も疑わしき人物に投票して、最多票だった人物は全額の半分を失い、地下牢へ監禁されます」
つまり、会議で話し合った結果最も疑わしき人物に投票して、人狼を全員追放しろということだろう。
このゲームは、市民が推理できなければ、人狼同士仲間を知ってる分、逆に市民がやられると今思い知った。
「さらに、それが終わると夜アクションが再び訪れます。占い師はもちろんのこと、人狼はこの時、仲間と話し合い、市民陣営の中から襲撃をしてもらいます。襲撃は噛みと呼ばれ、噛まれた人物は翌朝無残な死体で発見されます。ここでは、地下牢へ監禁される仕組みとなっております」
0日目から始まり、夜アクション終えて次の日に議論が行われて20時からは投票、夜には人狼の襲撃ターンがある。
つまり、一度に2人の人物が地下牢へ監禁されることになる。
「これを永遠に続けて、この中にいる2人の人狼を監禁できれば、市民陣営の勝利、人狼と市民の数が同数以下になれば人狼陣営の勝利になります」
それを最後に、場の空気は重くなった。
私は市民だから人狼を全員監禁すれば勝てる。
私は、一刻も早くこのゲームから抜け出したかった。
「それでは、早速人狼ゲームを開始します。それぞれ部屋に戻り、夜アクションを行い、明日になるのをお待ちください」
それを言うと中央のモニターが消えた。
消えてから数秒して、それぞれが門の方へ歩き出す。
それぞれカードに書かれた部屋番号へと向かい、各々のカードに書かれてある夜アクションを行うのであった。
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