第203話悪魔の城への道中「カンパニー」編
「お兄ちああああゃん!!グスッ。いいお兄ちゃんでした」
「何勝手に殺してるのよ。ウィルがこんな落とし穴で死ぬわけないじゃない」
「グッ、十左エ門よ。お主の事は忘れないでニン」
「いや、お前のせいだろ落ちたのは」
「ん。私達の故郷にはこんな言葉がある。「忍ばない忍者は死ねばいい」」
「辛辣な言葉ね。でも確かにその通りだわ」
「二人とも厳しいわね」
お兄ちゃんがミサイルで空いた穴に落ちて言った後皆で穴の深さを確認しに行った。だけどその深さはアイリス達の想像を超えてかなり深いみたい。だけどお兄ちゃんはいつでもなんだかんだ生き残るから誰も心配はしていない。
「さ、私達は先に城に向かうわよ」
「皆で「鏡花水月」を助けに行かないでいいのかニン?」
「いいのよ。皆なんだかんだ強いから自分達で何とかできるわよ」
「ん。流れ人舐めちゃいけない」
「そうだな。なら我々も我々にできることをなすのがベストだ」
レイの言う通りだ。きっとお兄ちゃんたちは自力で何とかする。というかアイリスの勘だけどお兄ちゃんたちの方が先に城について活躍する気がする。アイリス達も急いでいかなきゃ。
という事で半蔵之介に先導してもらって、レイ、アイリス、エリザベス、クリス、エリーゼの順番で進むことになった。いつもお兄ちゃんに頼りっぱなしだから、こんな時くらい妹として頑張っていいとこ見せてあとでいっぱい頭をなでてもらおう!!
「全員止まるでござる!!何か来るでござる!!」
クリスより先に半蔵之助が何かに気が付いたようだ。忍びだけあって索敵スキルが高いのかもしれない。今の所忍び要素0だけどね。なんでいるのかねこの人。
「……え?ロボット?」
「ロボット、だな」
「ん。これ勝てるの?」
「というか囲まれたわね」
「ふぅ。ウィルがいないだけで割と不安ね」
出てきたのは背中からジェット噴射をしながら空飛ぶ人型ロボットが飛んできた。急に戦争ゲームになった気分だ。アイリス銃とかロボットとかそんなに好きじゃないんだけどなぁ。
「ま、やるしかないならやるけどね~!」
「うむ!人間だろうとロボットだろうと叩き斬るのみ!」
私達が武器を構えた時にはすでにエリーゼが皆に「ブースト」をかけてくれる。流石仕事が早い。
「皆行くわよ!!「アイスシャワー」!!」
エリザベスの氷の範囲攻撃と共に戦闘が始まる。飛んでいた敵は攻撃が辺り落ちて行くもの、攻撃を躱すために地上に降りる者様々だ。だけど恐らくエリザベスの狙いは敵を地面に卸す事なのだろう。一瞬でその判断をしてそれを実行してしまうその行動力は流石としかいえない。
「「レインアロー」!!」
クリスもエリザベスの狙いが分かったのかすぐさま矢を放つ。敵に当てる、というよりは敵を地上に落とすために矢を放つ。これでほとんどの敵が地上に降りてきた。さ、ここからは私の仕事だ。
「レイ!行くよ!」
「合点招致!「マジックシールド」!!」
敵が銃で攻撃してくるがそれをレイが全て受け止める。どうやら銃と言っても地球のように見えない程早いわけではなく、矢とそれほど変わらない速度のようだ、威力もそこまで早くはない。
「「重力剣」「岩割」!!」
アイリスは地面を抉るように剣を振るう。敵に囲まれた状態では戦いずらいため地面の石を吹き飛ばし広範囲に敵に石と土をぶつける。ダメージはないだろうがこれで敵半分ほどの視界を奪う。
「ふむ。皆素晴らしい動きだニン。なら我も!「影分身の術」「火遁業火球」!!」
突然半蔵之介が10人に増えて口から火を噴き敵を燃やしていく!これだよこれ!!半蔵之介もやればできるニン!!アイリスも忍術使いたいニン!!ニンニンニン!!
火に包まれた敵が突然次々に爆発していく。え?忍法ってこんなに強かったの?
「皆!敵の弱点は背中のジェットよ!恐らく燃料タンクをしょっているんだわ!」
あ~そう言うことか。つまりさっきの炎で燃料に引火したわけか。だったら!
「半蔵之介!その勢いで敵全員に火をつけるニン!!」
「はぁはぁはぁ。わ、我はもう十分働いたニン。後は頼んだニン」
半蔵之介は大量の汗を流しながら木陰に座り休みだした。太りすぎなんだよ半蔵之介!!忍者のくせに敵前で堂々とお腹出しながら休まないで!色々忍んで!!
「半蔵之介はもう使い物にならないわ!私達だけでやるわよ!」
クリスがそう叫びながら矢を放つ。矢は正確に敵の背中のジェット噴射の部分に当たり敵は爆発していく。ただクリスは半蔵之介の周りにいる相手を中心に狙っているようだ。爆発は連鎖し炎は半蔵之介を巻き込んでいる。お姉ちゃん怒ってるなこれは。
「ゲホッ。ゲホッ。こ、コラ!我が休んでいる場所で爆発させるな!」
「あら、生きてたの?仕方ないじゃない。こっちだって必死でそれどころじぁないのだから。わかったら黙って忍んでなさい」
「クッ。仕方ない。「隠れ身の術」!!」
半蔵之介は突然その太った姿を消す。流石隠れ身の術、その姿はアイリスには見つけることが出来ない。
「「グラウンドアイス」」
私達味方以外の地面や敵の足元、そして周りの木が凍り付く。エリザベスの範囲攻撃だ。
すると敵の後方の一本の木の氷だけが砕け散る。
「さ、寒いニン!!こ、コラ!!我も凍ったではないか!!」
「あら、そんなところにいたのね。完璧な隠れ身の術だったから分からなかったわ」
「そ、そうか。気づかなかったなら仕方ないニン。次から気を付けるのだぞ?」
「ええ、努力するわ」
半蔵之介は再び「隠れ身の術」をしその姿を消す。というかそこにいたんだね半蔵之介。完全に敵から距離をとってたんだね。もう戦う気ゼロ何だね。アイリスがっかりだよ。
「ん。お姉ちゃんナイス」
「ふふ。出来ればもう一回くらい攻撃したい気分ね」
攻撃は敵にではなく半蔵之介にだろ。
「なぁ、戦ってて気づいたんだが、あいつだけやたら我々から距離をとってないか?」
「ん?あれ?本当だね。気づかなかった」
確かに敵の中で一体だけアイリス達から距離をとり戦いに参加していない敵がいる。あーいう的にはなんかあるんだよね~。
「ねぇレイ。半蔵之介の所まで行きたいんだけど道を作れる?」
「ぬ?できるぞ。任せろ!」
そう言うとレイは敵の攻撃を全て防ぎながら半蔵之介までの道を作ってくれる。流石うちのタンカー!レベルはアイリス達にはまだ追いついていないけどその技術と精神力は本物だ!
さて後はアイリスの仕事だ!
「ん?なんだアイリス殿、何故我に向かってくる?何故そんな笑顔なんだ?何故我に向かって剣を向ける!?待て待て待て!!」
「半蔵之介が原因だからね~!!ちゃんと働いてきなさい!!」
先ほどのエリザベスの攻撃で半蔵之介の居場所は分かっていた。アイリスは慌ててる半蔵之介の足元の土ごと半蔵之介ごと剣で吹き飛ばす。
「いっけ~~!!」
「待つでござ、ああああああ!!!!」
んん!!少し重いけど久しぶりの人間大砲の完成だ。前よりもレベルが上がってるら中々いい速度で飛んでいったね!やったぜ!!
「ああああああああ!!く、仕方なし!!「火炎業火球」!!」
吹き飛ばされた半蔵之介はその意味を理解したのか離れていた敵に向かって火を噴く。なんだなんだ。まだ働けんじゃん!!
離れていた敵は慌てた様子だったが矢のようなスピードで飛んでくるおデブな忍者を躱すことが出来ずその火をもろに食らい爆発し散っていく。あ、半蔵之介もそのまま炎に巻き込まれていった。そりゃ空中じゃ回避できない。ドンマイ!!
「あ!!」
後ろからレイの声がして振り返るとまだ生きていたロボットが次々に倒れていく。どうやらさっきのやつがロボットを操作していたらしい。これはアイリスの大活躍のおかげだね!!お兄ちゃんにいいお土産話が出来たぜ!!うふふ~いっぱい頭撫でてもらおう!!
ーーーーーーーーーーー
ロボの指令司令塔マンLV61を撃破
操られたロボットLV50×40を撃破
ーーーーーーーーーーー
操られた……?どういうことだろう。などと考える間もなく全身ボロボロの半蔵之介がふらふらと歩いてくる。あ、生きてたんだ。
「く、アイリス殿。ひどいでニン。我はこれでも里の長だニン。割と偉いニン」
「敵の前では位など関係ないニン。皆等しいニン」
「く、確かにその通りだニン。だけどこれはちょっと酷いニン」
「ん。「ミドルヒール」」
「ん?おお!!傷が治っていく!エリーゼ殿感謝するニン!!」
「ん。アイリスこれでもう一回半蔵之介飛ばせるね」
「悪魔か!!敵より「カンパニー」の方が悪魔に見えてきたニン!!」
そんなこんなでアイリス達は順調に城に向けて進むことが出来た。
お兄ちゃんも早く城まで来てね!!
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