第173話伯爵と脱出

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シークレットクエスト「英雄を夢見る少年」 クリア!!


クリア条件


兎に角、アレクサンドラ第二王子とアメリア第一王女を守り切れ


報酬・・・指輪の進化

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「こんにちは、私がこの街の領主パレンケ伯爵だ。アレクサンドラ王子。エミリア王女。よくぞご無事で・・・。」

「本当に良かった。皆が無事で・・・。」


僕らは「ケロケロソンヌ」の街の中心地に位置する城の中の謁見の間に来ていた。

城の門まで来ると僕らが来ることを予想していたかのようにすぐにここまで案内された。

現在ここの領主パレンケ伯爵と何故か一緒にいるイアン神官と、部屋の両脇には兵士たちが膝をつき王子達に敬礼をしている状態だ。

だがこの街は現在帝国兵居によって包囲されているはず。

何故みんなこんなにも余裕な表情をしているのだろう・・・。


「・・・そうね。本当に生きていることが奇跡みたいよ。ここにいる「カンパニー」の皆さんがいなかったら本当に今頃・・・。」


エミリア王女はまだ先ほどの恐怖が抜けていないのか、顔を青くして震えている。

流石に15歳になったばかりの少女に1万人を越える人たちが殺しに来たんだ。

怖くないはずがない・・・。


「・・・ウィルさん、「カンパニー」の皆さん、本当に助けていただきありがとうございました。あなた方にはもう何度助けられたことか・・・。」


エミリア王女とは違いアレクサンドラ王子は恐怖よりも悔しさが見える。

恐らくあの時何もできなかった自分に対してだろう。

14歳の少年がそんな事考える必要ないのに・・・。

まぁアイリスも現在14歳で、先ほど楽しそうに帝国兵たちを蹴散らしていたが・・・。


「気にしないで。僕らは僕らの事情で動いただけだから。それより何故イアンさんがここに?」

「ああ。私は先ほど帝国兵が攻めてきたことを聞いてね。伯爵とは仲がいいから情報を貰いに来たのだよ。それより王子達と「カンパニー」が顔見知りなのには驚いたな・・・。」

「ええ、まぁ・・・。それよりも今ここが帝国兵に包囲されていることは知っていますか?」


僕はアレクサンドラ達と試練の塔に行ったことを誤魔化して話を続ける。

確かあれは王様は知っているが他の人たちには秘密だったはずだから、僕は話すわけにはいかないからだ。


「はっはっはっはっは!!帝国兵が攻めてくることなんてここではよくあることだ。いつも通り蹴散らせて見せるわ!」


伯爵は大声で笑い、イアンもそれに同意するかのように微笑み頷いて見せる。

戦争がよくあるとはなんとも恐ろしい場所だ・・・。


「この街には5万超える兵が駐屯しております。それに今だ1万年間破られておらず未だ増大し続けている城壁がある!我らに負ける要素はないさ。」

「そうだね。それにここの神官たちも優秀な人が多い。怪我をしてもすぐに直してみせるさ。」


彼らは自信満々に言ってみせた。

それだけの経験があっての事なのだろう・・・。

しかしイアンと伯爵はすぐに険しい表情をし僕らと向き合う。


「・・・こんなことは言いずらいのですが・・・。王子、王女、実は今回の件、王国側が仕込んだ罠な可能性が出てきました。」


王国側が仕掛けた罠・・・。

僕らはその言葉に驚き言葉を失ってしまったが、王子達はまるでそれを知っていたかのように冷静な顔をして聞いていた。


「・・・その顔はやはり知っておられたのですね・・・。もしかして今回同行しないはずの王子が成人の儀に参加したのは・・・?」

「そうだ・・・。僕が参加したのは姉様をお守りするためだ・・・。その為に今日まで訓練を積んできたというのに・・・。僕は・・・。何もできなかった・・・。それどころかウィルさんの足を引っ張ってしまって・・・。」


アレクサンドラは悔しそうに俯き、拳を握りしめる。

そんな弟の顔を見て先ほどまで震えていた王女はハッとし弟を抱きしめる。

彼が「試練の塔」に挑戦したのもこの為だったのだろう・・・。

もしかしたら王女が狙われるのを知ってアレクサンドラは自分を鍛え、護衛の役をかって出たのかもしれない・・・。


「・・・貴方はよくやってくれたわアレクサンドラ・・・。まさかあんな形で攻めてくるなんて誰も想像してなかったもの・・・。」


エミリア王女はアレクサンドラを抱きしめながら優しくささやく。


「イアンさん、伯爵様。王国側が仕組んだ話を詳しくお聞きしても・・・?」


エリザベスの言葉にイアンと伯爵は王子達の方を見たが、エミリア王女が頷いて見せたため話をしてくれる。


「・・・正直なところを言えばあまり情報はないのだよ。ただ兄さんのノアと共に集めた情報からするとどうも第一王子のイスカリテオ王子と副神官長のブクブクが今回の件の首謀者だと私たちは見ている。」

「だが・・・、困ったことに先ほど城から「アレクサンドラ王子とエミリア王女の国家転覆罪による暗殺命令書」が届いた・・・。」

「何ですって!!??」


伯爵の言葉に思わずエミリア王女は声を張り上げる。


「落ち着いてください。ですが伝者の話によるとどうもおかしい点が多くて・・・。どうも城内でもこの事に対しては意見が二つに割れているようでして、王様もこの件には反対している様子らしいです。しかし一部貴族たちの暴走を抑えられずに今回の件はアレクサンドラ王子達の責任にしようとしている輩が多くいるようです。」

「待って?いくら今回の件が王女達の仕組んだことだとしてもいくら何でも通達が速すぎないかしら?」


伯爵達と王女達の話にエリザベスが割って入る。

確かにエリザベスの言う通りだ、いくら何でも早すぎる。

まだ事が起こってから1時間程度しか経っていないはずだ。


「その事は我々も可笑しいと思っている。いくらんでもタイミングが良すぎる。それに平民たちには伝えず一部貴族だけに出されたこの「王子、王女暗殺命令」もおかしい。特に理由もかかれずにこんなものが出回るはずがない。」

「・・・つまりこれは仕組まれた罠・・・、という事かしら?」

「うむ。恐らく。そこでだ・・・。「カンパニー」に私達から依頼を出したい。王子達を引き続き護衛して王都まで連れて行ってはくれないか?我々も陰ながらサポートはされてもらう。」


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シークレットクエスト【英雄を夢見る少年】


王子達を無事王都の城まで連れて行こう。

それと、出来れば・・・。


報酬

???


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「・・・わかりました。その依頼「カンパニー」がお受けいたします。」

「・・・そうか・・・助かる。我々は別にブクブク副神官達の動きを追って彼らの悪事を暴いてみる。」

「・・・ウィルさん「カンパニー」の皆さん。すみませんが宜しくお願い致します。」

「・・・よろしくね。」


エリザベスは伯爵たちと握手を交わし、アレクサンドラ達は僕らに頭を下げる。


「これで話はまとまりましたね。ですが帝国兵たちを何とかしなければ僕らはここからは出られませんね。」

「その辺は大丈夫だよ。こういった城には必ず抜け道と言う者が存在するんだ。付いてきなさい。」


僕らは伯爵たちについていき、伯爵が寝泊まりしている部屋まで案内される。


「こういった城にはその城の責任者の部屋や、地下に必ず抜け道が存在するのだよ。」


伯爵はそう言うと本棚にある一冊の本に魔力を流し始める。

すると本棚は静かに二つに分かれ、奥から薄暗い階段が姿を現した。


「ここから先に進めば魔の山脈の麓に出られる王子達を頼みます・・・。」

「カンパニー」に皆。どうかご無事で・・・。」

「ありがとうございます。そちらも武運を祈ります。」

「最後にいいかしら?伯爵。今回の内乱。今の所どちらに軍配が上がりそうなのかしら?」

「・・・正直な所わからない。副神官達はかなり用意周到に計画を練ってきているはずだ。とにかく王子達を無事に王都まで連れていくことが今回の内乱を収める大きなカギとなるだろう。本当は我々が付いていきたいところだが帝国のやつらの相手をしてやらんとらない状況なのでな・・・。」


伯爵たちは悔しそうにそう言うと僕らに別れを告げて洗浄へと言ってしまった・・・。

僕らは薄暗く長く細い階段を降り、通路を歩いていく・・・。


「・・・アレクサンドラ。君はこうなることを予想していたのかい?」

「・・・正直あそこで襲撃されることは予想できませんでした。ですがどこかで僕らを襲ってくるというのは父様・・・王様から聞いていました。・・・そのために兵士も多く連れて行ったのですが・・・。まさか身内の中に裏切り者が出てくるとは思いもしませんでした・・・。」

「・・・そうね。私も予想はしていたわ。そして殺されるかもしれないことも覚悟をしていた。でも実際目の前で戦いが始まってみると怖くて何もできなかった。・・・ほんと情けないものね・・・。」


エミリア王女は自分が殺されることを予想しながらも、国民のため、国と国にの友好のため命がけでここまで来たんだ。

情けないことなんてないのに・・・。


「・・・私達もね。私達の世界では結構・・・。そうね貴族の出身みたいなものなの。だから命を狙われたこともあるわ。」


エリザベスの言葉に王子達は驚き耳を傾け始める。


「でもね。そんな時ウィルが助けてくれたの。命がけでね。だからあなた達も大丈夫よ。きっとウィルが何とかしてくれる。」

「そうだよ!!お兄ちゃんに任せとけば何とかなるよ!!」

「ふふ。そうね。もうウィルに何度助けられたかわからないもの。」

「ん。ウィルは心から信頼できる人間。ドンと彼に任せなさい。」

「おお!!俺もいるぞ!!話はよく分からなかったがまあせておけ!!」


・・・そんな僕に期待されても困るんだが・・・、と言おうとしたがすでにアレクサンドラ達は僕に期待の目で見てきていて否定するタイミングを失ってしまった。

それに今は彼らの心は不安定で拠り所があった方がいいはずだ。

僕ができるだけ支えてあげることにしよう・・・。


「・・・僕がどこまでできるかはわからないけど約束するよ。必ず君たちを王都まで送っていく。」

「「・・・ありがとうございます!」」


そんな話をしていると出口が見え僕らは外いでる。

そこは伯爵たちの話通り、山脈の麓にある岩陰になっているところで、知っていなければ気づかない造りになっていた。

すでに「ケロケロソンヌ」の街は遠く見えなくなっており大分距離を歩いたことがわかる。


「さて、それじゃあ王都に向かおうか・・・。」

「そうだねー!!刺客なんか来てもアイリスがボコボコにしちゃうよ!!」

「うむ!!俺もボコボコにしてやる!!ところでなんで刺客が来るんだ?誰か悪いことでもしたのか?」

「話聞いてなかったの・・・?悪いことをした奴らが王子達を殺そうと追ってくるのよ。私達はその護衛。」

「何だと!?悪いことをしたのに更にこんな小さな子供たちを暗殺しに!?それは許せん!!このレイ様が全て亡き者にしてやる!!」

「ん。じゃあ全部レイ様に任せて私達はのんびり行きましょう。」

「待ってくれ!!少しは手伝ってくれ!!俺一人じゃ厳しいかもしれん!!」

「ふふ。そうね。皆で頑張りましょう。」

「それより何であんなに話したのにレイは話を一つも覚えていないんだ・・・?」

「うむ!!なんか難しそうだったからあとでウィルに教えてもらおうと思ってな!!これぞ他力本願という奴だ!!昨日の宿題に書いてあった!!いい言葉だ!!」

「使いどころはあってるけど・・・。まぁいいか。」


僕らののんきな会話を聞いて王子と王女が笑いだす。

彼らはここまで緊張し、固くなっていたからちょうどよかったかもしれない。


「ふふふ・・・。笑ってすみません。なんだか可笑しくて・・・。」

「ふふ、そうね。こんな状況なのに緊張感がなくてあまりにも・・・。ふふふ。」


僕らはそんな二人を見て微笑み先に進むことにした。

とりあえず王子達の今の格好は儀式用の派手な服で目立ってしまう為、近くの街で服を買うことにした。

ムギに僕とエリーゼ、ホップにエリザベスとエミリア王女、バクガにクリスとアイリス。そしてカルロスにレイとアレクサンドラ王子を乗せ、僕らは走り出す。

初めの目的地である小さな町、「クネル」に向かって・・・。

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