第172話大国兵VS帝国兵
王国兵士5千人位に対し、帝国側兵士は1万はいるだろう・・・。
更に王国側の兵士100人ほどが王国兵士達の中心で内乱を起こしている為、王国側はうまく陣形を組めずにいる。
そして両者が100mほどまで近づいた時・・・、両者から一斉に魔法が飛び交いだした。
火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、種類は様々だが初級魔法が多いようだ。
長期戦を考えての事なのかそれしか使えないのか・・・。
前は兵士と言ったらかなり強いイメージがあったが、今は僕らの方が強くなっているのかもしれない・・・。
これなら間に入って彼らを救えるか・・・?
王国側の一番後ろには数人の兵士に守られている王子達が見えた。
「・・・ウィル!!あれ!!」
エリザベスの指さす方を見ると帝国側の中心から一気に前に出て一人大国側に切り込む見知った男がいた・・・。
「・・・リムル・・・!!」
以前僕はAOLで初めて敗北を味わされ、そして逃げられた「何でも屋」の双剣のリムルがそこにはいた。
「・・・このままだと王子達が危ない。僕がリムルを食い止めるから皆は兵士たちのサポートを・・・!」
「ん・・・。ウィル・・・。今度は大丈夫・・・?」
僕の言葉にエリーゼが心配そうに見つめてくる。
以前負けた時の事を思い出しているんだろう。
確かに僕もまだ彼が怖い・・・が、ジィジの言葉を思い出す。
「・・・エリーゼ。戦うという事は怖いってことだよ。そしてその恐怖と戦うことが大事なんだ。僕はここで彼に勝って、この恐怖に打ち勝ちたいんだ。」
「・・・ん。分かった・・・。ウィルならできるよ。」
エリーゼは微笑み僕をぎゅっと抱きしめてくれる。
エリーゼの暖かさを感じ僕は勇気が湧いてきた。
「・・・うぉおおお!!ウィル!!そろそろ行こう!!俺はなんだか燃えてきた!!」
「ふふ。そうね。早くしないと活躍の場がなくなってしまうわ。」
「アイリスも燃えてきたよ!!活躍しちゃうんだから!!」
僕の固い表情を和らげさせるためなのだろう。
皆がそれぞれ武器を抜き天に掲げながら叫ぶ。
「・・・ならまずは私達で道を切り開くわ。ウィルはその出来た道に一気に進んでリムルと戦ってちょうだい。エリーゼは王国兵士の後方へ行って後方から援護を!!後の皆は私についてきなさい!!」
エリザベスの指示に従い僕らは一気に崖のそばの急な坂道から駆け下り、すでに衝突している両者の中心に向かう。
「我らはクラン「カンパニー」!!わけあって王国側に加担する!!」
エリザベスは魔法を放ちながら両者の間に割って入る。
初め突然来た僕らに兵士たちは驚くがすぐにまた戦いを再開する。
エリザベス、クリスが一気に帝国兵士を蹴散らしたところにアイリスとレイが敵兵を切りまくる。
僕らの力に驚いたのか再び近くで戦っていた兵士たちが驚き立ち止まる。
「ウィル!!行きなさい!!」
「うん!!ありがとう!!」
僕は兵士たちが立ち止まった間を狙って一気に「雷神衣威」と「俊足」「空間把握」を使って走り出す。
目指すは一人大国側に斬り進んでいる龍人の元へ・・・。
リムルはすでに王子達の傍まで来ていた。
そしてリムルが兵士たちを切り抜け、あとは王子達だけと油断したその瞬間・・・。
「・・・リムル!!」
「・・・!?」
僕は横から思い切りリムルを斬るつける・・・。
リムルは突然の僕に驚き反射的に剣でガードするが、反応が遅れて左腕を深々と斬ることに成功する。
リムルはそのまま吹き飛び5mほど王子達から遠ざけることに成功する。
僕は今だ驚き動けないでいる王子や兵士達とリムルの間に割って入る。
「・・・$%%#(&%$?」
「・・・相変わらず何言ってるかわかりませんね・・・。プププはどうしたのです?今日はいないんですか?」
「%(&%(&%!!」
「いや、わかんないですって。と言うかその腕では辛いでしょう?ここらで引いたらでどうです?」
「’&$’&$’(&%(%!!」
「いや、何言ってるかわかんないです。」
「#$%’&$’#$’’#’%#!!」
駄目だ・・・、思ったより会話にならない。
だが彼は引く気はないようだ。
僕らは睨みあった後一瞬でお互いの間合いに入り剣をぶつけ合う。
リムルは左腕が使えないにもかかわらず僕の剣をしっかりと受け止めてみせた。
・・・やはり彼は強い。
だが片腕が使えない分力は半減しているはずだ。
僕は一気に勝負を決めようと「乱れ切り」で素早くリムルを斬りつける。
が、リムルは剣ではじいたり体を上手く反らし僕の攻撃を全てかわす。
その時リムルの体から突然赤い魔力を噴き出し、リムルは龍の形に変身する。
大きさは変わらないが先ほどまでとは違強いプレッシャーを感じる・・・。
彼も本気になったようだ。
ようやく・・・、僕は片手を失った状態でようやく彼と互角になったと認識されたようだ。
後ろでは王子達が今だに状況が読み込めないのか驚いた表情で僕らを見ていた。
遠くでは一部帝国兵士達が空を舞っている光景が見られる。
恐らくアイリスとレイだろう。
そしていつの間にか大国側の指揮をエリザベスとクリスが馬に乗り執っていた。
戦いは互角・・・とはいかないみたいだが拮抗しているようだ。
だがさすがに人数差がある。
早く決着をつけて王子達をここから連れ出さないと・・・。
リムルは一度僕から距離を取り再び剣を構える・・・。
「・・・今だ!!かかれ!!」
「「おお!!」」
僕らが睨みあっている時、リムルの後ろから3人の兵士がリムルに斬りかかる。
「%#&&$%#&&!!」
リムルは何を言っているかわからないが何かを叫びながら後ろから来た兵士たちを振り返り切り殺す。
僕はその隙を狙って一気に距離を詰め斬りつける・・・が、剣を尻尾で止められる。
リムルはそのまま3人の兵士を切りつけこちらに振りむく。
だが僕だってあれから頑張って成長してきたんだ。
それに目の前で救えなかった兵士達を見て気合が入らないわけがない。
「はぁああああ「怪力」「乱れ切り」「かまいたち」!!」
僕は何度も使っているこのスキルでリムルの隙を作ることにした。
リムルは先ほどより力強い攻撃に驚き、今度は防ぐことが出来ずにその体にかまいたちを受ける。
「・・・%’(&!?」
「だからわかンないです・・・よ!!」
リムルが攻撃を受け体制を崩した所に畳み掛ける様に「切断剣」で右腕を狙うがこれを防がれてしまう。
が、一番攻撃力の高い「切断剣」にリムルは右腕に持っていた剣を落とす。
「疾風突き」でリムルの腹を狙うがリムルは羽を羽ばたかせそれを避ける・・・が、何とか尻尾に当たり切り落とすことに成功。
空中に飛んだリムルはふらふらと低空飛行を死ながら口に魔力を集め炎を吐き出す。
僕は転がるようにそれをよけ体制を立て直す。
リムルは尻尾がないからか、又は左腕を使えないからか、ふらふらと少し距離をとり着地しようとする。
「・・・馬鹿!!来るな!!」
僕の視界の端に走る小さな人影を見て僕は思わず叫ぶ。
それは後ろで守られているはずのアレクサンドラ第一王子だった。
「・・・僕だって守られてばかりじゃないんだぁああ!!」
アレクサンドラは「雷神衣威」を使い剣を振るうが全てリムルは紙一重で躱していく。
このままではまずいと思った僕はアレクサンドラの方に走る。
リムルはアレクサンドラの攻撃を躱しながら右腕で手刀のようにアレクサンドラに振り下ろす・・・。
・・・間に合え・・・!!
間一髪で僕はアレクサンドラを抱えながら転がる・・・が、左腕に激痛が走り見るとそこにあったはずの腕がなくなっていた・・・。
「・・・ウィルさん・・・!!」
「いい!!・・・まだ戦ってる所だ!!相手に集中しろ!!」
「・・・でも・・・!!・・・はい!!」
戦いの最中に敵から目を離すのは命取りだ。
アレクサンドラはすぐにそれに気づきリムルを睨みつける。
・・・本当はアレクサンドラに逃げろと言いたいところだが、下手に動かれて殺されでもしたらたまったもんじゃない。
リムルの狙いは王子達だ。
ならばそばにいてもらった方が都合がいいかもしれない・・・。
だが腕を失った僕はHPがすごい勢いで減ってきている。
いよいよ本格的に時間が無くなってきた・・・。
僕は「かまいたち」を放ってから距離を詰める斬りかかる。
と、その時リムルの切れかかった左腕に矢が刺さり左腕が落ちる。
・・・こんな芸当ができるのはクリスしかいない。
僕はその隙を狙い「疾風突き」でリムルの腹に剣を刺す。
リムルは苦しそうな顔をしらながらもカウンターで僕の顔を殴りつけてくる。
僕はさすがに至近距離で避けることが出来ずまともに食らいアレクサンドラの傍まで転がっていく。
「・・・ウィルさん!!」
「・・・大丈夫!!僕の事はいい!!」
再び心配そうに僕を見るアレクサンドラを嗜めながら立ち上がると今度は僕とリムルの間に氷の壁が出来上がる。
「・・・ウィル!!馬を出してアレクサンドラを乗せて脱出よ!!ここはもう持たない!!」
振り返るとエリザベスが王女を後ろに乗せて走り去りながら叫ぶ。
そしてその後方にはすでにすぐそこまで迫ってきてる帝国兵の軍団が見えた。
・・・どうやら大国側のは負けてしまったようだ。
元々倍近い数で攻めてきた帝国に大国側が負けるのは仕方のない事かもしれない・・・。
「アレクサンドラ!!」
「・・・はい!!」
僕は急いでムギを出し、アレクサンドラを乗せ走り出す。
幸いリムルは腹を抑えて動けないでいるため追ってはこなかった。
「「・・・汝の傷を癒し給え。オーバーヒール。」」
僕の馬と並行しながら走ってきたエリーゼが僕に「蘇生魔法」をかけてくれ、腕が再生しHPも全回復する。
「蘇生魔法」は無演唱では使えず長い演唱を唱えなければならない。
恐らくエリーゼはだいぶ前から演唱を唱えていてくれたのだろう・・・。
「・・・ありがとう。助かったよ。」
「ん。よく頑張ったね。あとでいい子いい子してあげる。」
僕の腕が再生したことにアレクサンドラが驚いているように感じたが今はあまり余裕がない。
僕らの後方ではすでに王国兵がほぼ全滅し、馬を準備して僕らの事を追ってきている。
「・・・ムギ、全速力で「ケロケロソンヌ」までお願いできるかい?」
「ヒヒヒーーーン!!」
僕がムギの首元を触りながらお願いするとムギはそれに答えるかのように叫びスピードを上げる。
皆それについてくるような形で僕らは「ケロケロソンヌ」を目指す。
流石は馬の中で最上位に位置する黒馬、帝国兵たちを一気に引き離し僕らは街にたどり着くことに成功。
僕らは急いで門番に帝国兵たちが攻めてくることを説明。
僕らと共にいるアレクサンドラ達の格好を見て本物の王族と判断してくれた門番たちは急いで門を閉め城まで案内してくれた。
僕らは城まで駆け上がり、大きな城までたどり着き中に入る。
その頃さらに兵の数の増えた帝国兵によって街は包囲されていった・・・。
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