第131話サバイバ島、その7

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特殊フィールドボスに遭遇しました。


これより「サバイバルリザードマン」との戦闘を開始します。


尚この戦闘はモンスターを倒すか、プレイヤーが死亡するまでこのフィールドからは出られません。


頑張ってください。


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目の前にメッセージが流れる・・・。


「人間、我ら・・・封印した。許さない。」


リザードマンがしゃべった。

こちらを睨み、まるで僕らを恨んでいるようだ。

というか魔物はしゃべらないんじゃないのか?


「アイリス、獣人。人間違う。」

「私、エルフ、人間違う。」

「ん。私もエルフ。人間違う。」

「私もエルフ。人間アイツだけ。」


皆がリザードマンのしゃべり方を真似し、僕を指さす。

・・・完全に味方を売ったな・・・。


「え・・・?そうなのか・・・?なら、お前だけ、倒す。人間倒す。」


リザードマンは納得したようだ。

完全に標的は僕だけになった。

なんて素直な魔物なんだろう・・・。


「アイリス、関係ない。離れてる。」

「クリス、離れる。あとは、よろしく。」

「エリーゼ、離脱。アイツ、怖い。」

「エリザベス、見守る。離れて見守る。」


皆はゆっくりと僕らから離れていく・・・。

さすがにこれはひどくないか・・・?


「ふざけんな!?あいつらも僕の味方だぞ!!」

「なに・・・?そうなのか・・・・?」


素直なリザードマンは迷い始める。

こいつ・・・こんなんだから封印されたんじゃないか?


「違う。味方違う。種族違う。」

「信じて。この純粋な瞳、見て?」

「ん。私達どう見ても人間じゃない。」

「二人、戦う。さっさと戦う。」


「確かに・・・。人間じゃない。純粋な瞳。我、信じる。」


信じるなよ・・・。

完全にふざけている顔をしているだろ・・・。


リザードマンはキッとこちらをにらみつけ、腰につけていた剣を二本抜く。

それに合わせて僕も剣を抜く。


・・・くそ。

やるしかないな・・・。


龍族と戦うにはこれで二回目か・・・。

一回目は試練の塔の最上階で、リムルと戦って負けたっけ・・・。

今回は魔物だけれど。


・・・なんでそんな相手に一人で戦わすかね?

しかもアイツ僕よりLV高いし・・・。


リザードマンは魔力を口に集め、思い切り息を吸う。

・・・ブレスかっ!?


僕は俊足を使い、4人のいる方とは逆に逃げる。

一瞬みんなの方に行こうかと迷ったが、流石にかっこ悪いと思いなおして止めた。


僕が走りだした瞬間リザードマンは炎のブレスを吐き、僕のいた場所を通り抜けていく。

が、炎の熱が躱したはずの僕にも伝わり、わずかだがダメージが入る。

・・・どれだけの温度があるのだろう・・・。

考えただけで背筋に冷たい汗が流れ、絶対に当たらないようにしようと誓う。


走りながら自分に各種ブーストをかける。

(メインジョブが魔導士ではなく、杖も持っていないため、微々たる効果しかないが・・・。)


そのまま雷を剣にエンチャントしかまいたちをで攻撃してから距離を詰める。

リザードマンは剣で難なくかまいたち叩き消し、僕の剣を待ち構える。

普通であれば、一瞬雷で痺れ効果があるのだが、恐らく龍種は魔法防御力も高いため、効果がなかったのだろう・・・。


これはきつい戦いになりそうだなと感じながら、エンチャントをやめる。

無駄なMPは使わない方がいいからだ。


エンチャントをやめた後、すぐにお互いの刃が交わる。

僕の「剛剣」、剣をクロスして防いだところを見ると、パワーの差はそこまで大きくないのかもと、推測する。


そのまま4,5回、お互いの剣が交わる。

AGIを上げている僕で同等のスピード。

相手も中々早い剣捌きだ。


お互い一度離れにらみ合う。

ここまでは小手調べだ。

ここからが本番だろう。


「「雷神衣威!!」」


あまり時間をかけたくないので全力を出す。


「ぬ?・・・貴様もそれを使うのか・・・。あの忌々しいジジイを思い出す・・・。」

「ジジイ・・・?」

「アランとか言ったか・・・。偉そうな歯の抜けたジジイだ。・・・知っているか?」


・・・もしかしてアランがこいつを封印したのか?


「・・・知っているも何も僕はアランの弟子だ。」

「・・・なんだと!?あいつの弟子か!?このサバイバル島には、あいつに封印されたものが5体もいる。・・・そうか・・・。アイツの弟子か・・・。なら、ここで殺してやる!!」


リザードマンは怒りだし、赤い魔力を放出しだす。

・・・あの歯抜けジジイそんなことをしていたのか・・・。

封印せずに倒してくれたらよかったのに。


僕らは同時に動き。再び剣が交じり合う。


僕が頭を狙えば、剣をクロスして防御されそのまま片手で顔を狙ってくる。

僕は頭を下げそれを躱し、相手の胸を目掛け突きを入れる。

が、体を横にずらしかわされ、先ほどとは反対の剣を振り下ろしてくる。

僕はそれを剣を斜めにし受け流し、太もも目掛け剣を振るう。

が、敵の方が少し早く回転し、尻尾で僕の胴体を狙って横に振ってくる。

僕は後ろに飛び、それを躱す。


が、着地した瞬間目の前にはすでにリザードマンはいた。

・・・なんだか本当にリムルを思い出す。

そう考えると絶対に負けたくないという気持ちがこみあげてくる。


・・・もう二度と負けたくはない。


相手は剣をクロスしてかまいたちを飛ばしてくる。

僕はそれを正面から叩き切り、そのまま体当たりをする。


「・・・ぐっ!?」

リザードマンは一瞬ひるみ、僕はそれを見逃さずに「疾風切り」で相手の腹を斬る。

今度は攻撃が入る。

が、鱗があるため深くは刺さらずに剣がはじかれる。


・・・これは長い戦いになりそうだ・・・。


ふと相手のHPを見ると、先ほどの攻撃とは関係なく、HPはどんどん減っていた。

・・・もしかして僕の「雷神衣威」のように、相手も捨て身の攻撃なのかもしれない。


「ぐ・・・。アランの弟子のくせに・・・。アランめ・・・。殺してやる!!アラン!!」


・・・いえ。僕はウィルです。

人違いです。

なのでどうか怒りを鎮めてはくれませんか・・・?


リザードマンはさらに怒りを露わにし、赤い魔力が大きくなる。

もしかして怒りの感情に合わせてあの魔力は大きくなるのかもしれない・・・。


再びリザードマンは斬りかかってきて剣が交差する。

さらに力の上がった相手に、僕は思わず押されてしまう。

その瞬間リザードマンの口に魔力が集まる。

これはまずいな・・・。

離れれば剣に斬られ、このままではブレスの餌食だ・・・。

・・・どうする!?


・・・あ、このまま相手を「雄たけび」脅かしたらどうなるんだろう・・・。

やってみようかな・・・。


「わぁッッ!!!!」


僕は至近距離から顔を近づけ、「雄たけび」を使いながら叫んでみる。


「!?」


リザードマンは驚いた顔をし、口の中で集まっていた魔力がはじける。


ボォォォォン!!

音を立ててリザードマンの口の中がはじけて、白目を剥いて口から煙を吐きながらリザードマンじゃ後ろに倒れこむ。

リザードマンの頭上にはクリティカルの文字が。


リザードマンはそのまま倒れるが、ギリギリのところで踏みとどまりる。


「隙ありっ!!「剛剣」」


その隙にいきなり背中からアイリスが斬りかかる。

僕は驚いたが、この隙を見逃すわけにもいかず、「切断剣」で右腕を切り落とす。

そのまま剣を反して斬りつけようとしたが、リザードマンは後ろに飛びのき回避する。


「アイスウォール!!」

「インパクトショット!!」


リザードマンの背後に氷の壁ができ逃げ道をふさぎ、クリスの矢がリザードマンの足に刺さる。


インパクトショットは一度放つと、次の攻撃まで10秒間矢が放てなくなるが、その代わりに矢が通った場所の半径1.5Mの空間に衝撃派が生まれる。


リザードマンはそれにより、両足にダメージが加わり思わず膝をつく。


そこからは一方的な攻撃によってリザードマンを撃破することに成功した・・・。



「・・・なぁ・・・。何で初めから戦闘に参加しなかったんだ・・・?」


「えへへ~。さっきご飯食べすぎちゃって・・・。」

「そうなのよ・・・。ご飯って食べ過ぎると「食べすぎ」って出てバットステータスを食らうじゃない・・・?」

「ん。言うのが恥ずかしかった・・・。」

「ごめんなさい。それで回復するまで見学させてもらっていたのよ・・・。じゃなきゃ足を引っ張ることになってしまうから・・・。」


・・・何ともくだらない理由だった・・・・。

だが聞けば女性からしたら食べ過ぎてバットステータスが出るということはとても恥ずかしい事らしい・・・。

そんなこと言われたら男性として文句が言いずらくなる。


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特殊ヒィールドボスを撃破しました。


プレイヤーの皆様にはコイン20枚ずつ贈呈されます。


お疲れさまでした。


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プレイヤーの皆様にお知らせがあります。


とあるプレイヤーが「封印の水晶」を開放しました。


これにより全てのフィールドのモンスターが活性化され、数が増えます。


さらに各フィールドダンジョンのボスが解放され、地上に出てくる可能性が出てきました。


これらを止めるには、全てのボスを倒すか、フィールドのどこかにある水晶をすべて起動する必要があります。


現在一つが解放されたためあと4つとなります。


フィールドのボスは通常より会得できるコインの数が多くなっています。


皆さま頑張ってください。


それでは皆様。


良い人生を。


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「・・・これってアイリスのせいだよね・・・・。」

「・・・まぁ、そうなるけど・・・・。」

「でもいずれかは、誰かが同じことをしていたと思うわ。」

「ん。そういうイベントだから仕方ない。」

「そうよ。このイベントに参加したからには、どんな困難も自己責任。気にする必要なんてないわよ。」


皆がアイリスを慰め、僕は頭を撫でてあげる。


最初は垂れ下がっていた尻尾と耳がだんだん元気にゆらゆら揺れだす。


何とか元気を取り戻したようだ。


「しかし、強かったな・・・。リザードマン。」

「そうだね。お兄ちゃんギリギリだったもんね。」

「たぶん私たちが参加していても、ギリギリだったと思うわ。

「ん。不意打ちがなければ勝てていたかわからなかった。」

「そうね。結果オーライってやつね。」


確かに初めから全員で戦っていたから楽勝で勝てた、ということにはならなかったと思う。

初めは腹がたったが、エリザベスの言う通り結果オーライということなのかもしれない。


とにかく森林エリアのエリアボスはこうして撃破することが出来たのだった・・・。

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