第130話サバイバル島、その6
「・・・・・・・ぶはぁ!!」
湖から顔を出し、一度呼吸を整えよる。
湖の底にあった遺跡・・・本当にダンジョンなのかもう一度潜って確かめるためだ。
湖の中には魔物はいなかった。
代わりに色とりどりの魚が沢山優雅に泳いでいた・・・。
もう一度息を大きく吸い湖に潜る・・・。
もっと深く・・・。
さらに深く・・・・・・。
大きな黒い影の正面まで来ると、そこには一軒家くらいの石でできた遺跡があった。
・・・これダンジョンじゃないのか・・・?
近づき調べると入り口があり、中に入ってみる。
「・・・・え?」
入り口に入った瞬間、まるで水面に出たように水の波紋が広がり中には空気があった。
体はすでに渇き、まるでこの見えない何かを通った瞬間水が完全に通らないようにできているようだった。
(お兄ちゃん。出てこないけど大丈夫?)
(ウィル。湖の中でおしっこしちゃだめよ?)
(ん。おしっこはトイレでするもの。)
(ウィルはお風呂でもおしっこするものね。)
しませんよ。
何、さらっと嘘ついてんだ。
しかも本当だったら恥ずかしい嘘を。
(嘘はやめなさい。そんなことしたことないだろ。)
(あ、生きてた!!よかった~!)
(心配していたのよ?息そんなに持つものなの?)
(ん。無事なら安心。)
(一度戻ってこれる?)
おしっこの件はどうした?
何故誰も訂正しない?
まるで本当にしているみたいじゃないか・・・・。
(・・・遺跡があったんだよ。湖の中に。しかもたぶんダンジョン。というか絶対ダンジョン。「湖の中のダンジョン」って看板がある。)
そう。
入り口にわかりやすく「ここは湖の中のダンジョン。見つけた君はラッキーだ!!やったね!」と書いてあった。
(ダンジョン!!アイリスも行く!!)
(行きたいけど私達潜水スキルまだそんなに育ってないわよ?)
(ん。練習あるのみ。)
(そうね。ウィル、少し待っててくれる?少し練習してから行くから。)
(わかった。中を探索しながら待ってるよ。)
僕は念話を切って入り口の壁一面に書いてあった地図のような物を眺める。
・・・これってもしかして「サバイバル島」の全体図か・・・?
壁には大きく地図が刻んであり、5つの丸の中に様々な森や、建物、モンスターが描かれていた。
僕は一応スクショを撮っておく。
森が描かれている島の一番左端、他4つの島が見える地点から3時の方向に湖があり、北には城が描かれていた。
・・・これは確定かな?
一応Mr.にもこの写真を送り、辺りの地形を確かめてもらう。
返信はすぐに来て「確かに合っている。俺たちは今お前たちのいる島の南の島、滅びた町にいる。そして地図の通り南には城がある。」とのことだった。
島は北から時計回りに「真冬の島」「森林の島」「ホラーの島」「砂漠の島」「古代文明の島」となっていた。
そしてこの島と北の「真冬の島」には大きな鳥の絵が描かれてた。
・・・これってドラゴンじゃないだろうな・・・。
だとしたら絶対行きたくはないな。
ドラゴンって最後のボスのイメージだ。
今はまだ戦いたくはないな。
・・・というか一生戦いたくはない。
部屋には他には何もなく、入り口と、もう一つ奥に進む扉があるだけだった。
僕は暇なので扉を開けてみる。
するとさらに下に続く階段があった。
とりあえず降りてみるとそこには普通の家のようなリビングが広がっていた。
・・・水も出るし、キッチンには火も出る。
調味料もそろっていた。
とりあえず僕はさっき倒した猿の肉を焼いて皆を待つ。
「・・・お兄ちゃん~~!!どこ~~!?あなたのアイリスが来ましたよ~~!?」
「ウィルー!!大好きなお姉ちゃんですよー!!」
「ん。貴方との子供をおなかに宿したエリーゼ。参上。」
「あなたの心を魅了してやまないエリザベスですよー?」
子供は嘘だろ。
僕は童貞だ。
他は・・・、まぁどうでもいっか。
「おーい!こっちだ。階段の下!」
皆を呼ぶとすぐに足音がし、皆が顔を出す。
「うぁあ!いい匂い!!」
「それってもしかして猿の肉?おいしいのかしら?」
「ん。ウィルが作ったものは何でもおいしい。」
「そうね。それにAOLの食材ってはずれが少ないしね。」
とりあえず調味料しかなかったので、スパイシーチキンならぬ、スパイシーモンキーを作った。
空腹度を抑えるためだけならこれで十分だろう。
因みに調味やカセットコンロは頂いていく。
これでどこにいても料理ができるようになった。
「「「「「ご馳走さまでした。」」」」」
僕ら料理を食べ、満腹になる。
料理は好評だった・・・。
「ところでダンジョンなのにモンスターとかいないね。」
「そうね。入ってきた入り口以外に特に扉はないし・・・。」
「ん。どこかにヒントがあるはず。」
「そうね。なら手分けして探しましょう?」
そうして僕らは各々どこかに何かないか探し始めた。
中々見つからず、ふと皆を見ると、アイリスは天井を探していた。
どうやって天井に張り付いてんだ?。
クリスは棚に置いてあるクマの人形を触っていた。
探す気ないな?この人。
エリーゼは食べた皿を洗っている。
お前は真面目か!?
エリザベスは食後のコーヒーを飲んだ飲んでいた。
今ティータイムですか・・・。
皆はほっとき、何となく棚に置いてあった本を手に取る。
ーーーーーーーーーーー
・白うさぎの冒険日記
我、ついにこの島の名前を見つけた。
「サバイバル島」というらしい。
我、納得。
この島の魔物たちは生存競争が激しい。
この島には不思議な場所が多い。
我、感動。
この本を手にしている私のファンにいいことを教える。
我、優しい。
この棚の花瓶に水を灌ぐ。
棚、動く。
そして下に行くといいことある。
我、行った。
では皆の健闘を祈る・・・。
ーーーーーーーーーーーーーー
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
たぶんこの人と僕仲良くなれない気がする・・・。
白ウサギってなんでペンネームみたいな名前?
絶対本名じゃないでしょ?
しかもファンでもないし。
「あー・・・。皆。多分ここだ。花瓶に水を入れろって書いてある。」
「ほんとに!?お兄ちゃんナイス!!」
アイリスがシュタっと地面に降りる。
お前はいつ忍者にジョブチェンジしたんだ・・・?
お皿を洗い終わったエリーゼがコップに水を入れ、花瓶に移す。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・。
棚が地響きをたてながらゆっくりと二つに割れ、そしてその奥に階段が姿を現した。
「じゃあ行こうか。」
僕の合図で皆で階段を下りる。
長く狭い階段を降りると中には大きな広間と、奥に大きな水晶が置いてあった。
そして水晶の隣の台座には一冊の本が置いてある。
「何々・・・?「この水晶に魔力を込めろ。我、込めた。」・・・また白うさぎか・・・。」
「魔力を込めればいいんだね!!はぁぁぁあ!!」
「あ!馬鹿!!まだ続きが・・・・!?」
僕が読んでいる最中にアイリスが魔力を込めてしまう。
「「「「・・・・・・・・・・・・。」」」」」
が、何も起きない・・・・。
「・・・あれ?何も起きてない?」
「そうだねー。がっかりだよ・・・。」
「続きはなんて書いてあるの?」
「ん。気になる。」
「読んでみて?」
皆に促されて続きを読む。
ーーーーーーーーーーーー
この水晶に魔力を込める。
我、込めた。
この水晶は島に一つづつある。
我、見つけた。
他の島にこの水晶の秘密書いてある。
我、解読。
この水晶魔物活性化させる。
期間は3日間。
これにより特殊ボス目覚める。
我、逃げ回った。
これ読んだ君はもう魔力込めた?
我、爆笑。
これで君も我と同じ状況。
我、大爆笑。
3日間逃げまとうしかない。
我と同じ状況。
解決するためには5つの水晶に魔力を込めるしかない。
我、失敗。
さて、君はどうするかな?
我、期待・・・。
ーーーーーーーーーーーーーー
「「「「「・・・・・・・・・・。」」」」」
こいつ性格悪いな・・・。
つまり自分が魔力を込めて、魔物が活性化して逃げ回った。
だから僕らにも同じ状況になって、それを考えて笑っているって事か・・・。
「ねぇ!!あれ見て!!」
アイリスの視線の先を見ると、部屋の中心に白い靄が集まり形を成していく。
「・・・なんだ?」
「・・・お宝かな・・・・」
「・・・そんなわけないでしょ。」
「ん。・・・魔物ね。」
「・・・リザードマンよ・・・。」
・サバイバルリザードマンLV75
僕らは連続で特殊モンスターとの戦闘を行わなくてはならなくなったみたいだ。
白うさぎめ・・・。
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