第127話サバイバル島、その3
「私たち「カンパニー」も参戦させてもらうわ!!」
僕らは木の陰から飛び出し、参加意思を表明する。
「か、カンパニーだと!?皆!!「カンパニー」が来たぞ!!」
「うぉおおお!!本物だ!!」
「これで勝てるぞ!!」
「早く助けてくれ!!」
「アイリスたんマジ天使!!」
「クリスお姉様叱ってくれ!!」
「エリーゼ様冷たい目線プレーズ!!」
「エリザベス様踏んずけてくれ!!」
「ウィル様!男でも構わない!抱いてくれ!!」
いつの間にこんなに有名になったんだ・・・?
しかも碌なのいないな。
あと僕はBLは勘弁だ。
助けたくないなぁ・・・。
「そこの男達!状況を短く報告しなさい!」
「YES!MUMM!!状況は最悪です!!あのイカ完全にイカれているとしか思えません!!」
「イカは攻撃しようと思うと湖に隠れ、攻撃時に出てきます!!その後、陸を走り回りプレイヤーたちを弾き飛ばしていきます!」
「弾き飛ばされたプレイヤーは皆、湖に引きずり込まれお手玉のように弄ばれた後食い殺されます!アイツ完全にイカれています!!」
「OK!わかったわ!!」
わからないよ・・・。
そしてそんなイカはいない・・・。
今はイカは湖に潜っているようだ・・・。
「みんな聞きなさい!!イカが出てきて陸に上がったらここにいるウィルがまず相手の動きを弱めるわ!!その後、盾職は囲んで動きを封じて、接近武器の人は足を狙い、その他は顔を狙いなさい!以上!!」
「「「「「「はい!!」」」」」」」
以上じゃねぇよ・・・。
何勝手に僕を捨て駒扱いしてんだエリザベスは・・・。
「ということだからよろしくね。ウィル。」
「よろしくじゃねぇよ。いきなりそんなこと言われても自信ないぞ?」
「大丈夫。あなたがこの中では一番LVが高いわ。」
「そうだよお兄ちゃん!!頑張れ!!」
「ウィルなら安心して任せられるわ。」
「ん。ウィル突撃。」
なんだかこの島に来てから僕の扱いがひどくなっている気がする・・・。
だが皆がこっちをキラキラした目で見て来ている。
完全に引くに引けない状況だ・・・。
「・・・たくしょうがないな・・・。やれるだけやってみますか・・・。」
「そうこなくっちゃ!」
僕らの作戦が決まった時に湖から大きな大きなイカが出てきた。
・・・10mは越えてんじゃないか・・・?
これをどうやって止めろと・・・?
「イカが側転しながら陸に上がってきたぞ!!」
「ここまではさっきまでと同じだ!!」
「野郎共!!ただのイカ相手にビビってんじゃねぇぞ!!」
皆が何言ってるかわかんないです。
イカが側転?
ただのイカ?
何言ってるかわからないです。
「お兄ちゃん!!イカが側転し終わった今がチャンスだよ!!」
アイリスが上目つかいで見てくる。
その天使の眼差し辞めてくれ・・・。
お兄ちゃん頑張るしかなくなるじゃん・・・。
「はぁ・・・やらなきゃだめだよな・・・。「雷神衣威」!!」
僕は雷を身にまとい、側転の終わったイカ目掛け駆け出す。
イカは走ってきた僕目掛け足を振り上げ待機している。
皆が僕を見て驚き何かを言っているがそんなことにかまっている暇はない。
イカは僕目掛け4本脚を振り下ろしてくる。
「「空間把握」!!」
イカの足は素早く振り下ろされる。
僕はその足を視覚と「空間把握」の二つの感覚で把握する。
上から1本、右から1本、左から2本・・・。
まずは一本目の上からの足を右に逸れてかわし、右から来た足をしゃがんで躱す。
そして最後の2本の間を軽くジャンプしくぐる。
「「プチグラビティ」「ジャンプ」!!」
そのまま僕は重力で自分の体を軽くしジャンプする。
「はぁぁぁあ!!「雷剣」」!!
僕はイカの胴体に思いっきり剣を突き刺す。
瞬時に雷神衣威を解いて剣から片手を離し、手に「サンダーボール」を出しイカに叩き込む。
「イッカァァァァアア!!」
イカの体は一瞬光り、痺れて動けなくなる。
その隙に僕は剣を引き抜き、イカの体を蹴って離れようとしたが、以下の体のぬめりによって足が滑り垂直に落ちてしまう。
「イカイカ!!」
イカが動けるようになり怒った顔で僕目掛け足を振り上げる。
・・・というか「イカイカ」ってしゃべらないだろ、イカって・・・。
僕は素早くメニュー画面を開きアイテムを取り出し、投げ落とす。
僕は役目を十分果たせただろう。
「道ずれだ、ばか野郎・・・。」
イカの足が振り下ろされる瞬間、以下の足元に落ちた「プチボム」4つが炸裂する。
ドォォォォン・・・・。
一瞬の輝きの後爆弾は炸裂し、僕は爆風で吹き飛び死んだ・・・。
バッシャァァァン!!
「!?・・・・・ガハッッ。・・・なんで?生きてる・・・。」
僕は死んだと思ったが何故か湖に落ちていた。
と、僕の横に氷の砕けた板が何枚も浮いてきた。
エリザベスか・・・。
よく合わせてくれたな・・・。
恐らく爆発前に僕と爆弾の間に「アイスウォール」で壁を作り、僕を爆風から守ってくれたのだろう。
そして僕は氷の壁によって押し出され湖に落ちたということか・・・。
・・・全くよくあの一瞬で合わせられたな。
陸の方を見ると既にプレイヤーがイカを囲み戦っているのが見えた。
イカは前後左右、さらに体にまで攻撃が飛んでくるので一気にHPを減らしていた。
僕も急いで陸まで泳ぎ、上がる。
「「ミドルヒール」。ん。大丈夫?」
「あぁ。何とか。ありがとう。」
エリーゼによって僕は全回復する。
「ん。いい突撃だった。褒めて遣わす。」
「はいはい。ありがたき幸せ。二度とやりたくないけどね。」
「むふ。多分今後もやる機会がある気がする。」
「不吉な事言うなよ・・・。おっと状況が変わってくるぞ。」
その時イカの3本あったHPは2本にまで減っていた。
「イカイカイカ!!」
イカはHPが2本になったことでさらに怒りだす。
「全員退避!!攻撃パターンが変わってくるわよ!!」
エリザベスの指示で全員が一斉にイカから離れる。
・・・いつの間にかエリザベスがリーダーだな。
さすがっす・・・。
イカは地団駄を踏むように暴れだす。
あれに突っ込んだらもぐらたたきのモグラになってしまうな・・・。
いくつかの魔法が飛んでいくが、全て足によって叩き消される。
さすがにLV差があるから、ダメージは与えられないようだ・・・。
あ、エリザベスがこっちに走ってくる。
いやだなぁ・・・。
嫌な予感しかしないなぁ・・・。
「ねぇウィル・・・。」
「嫌です。」
「もう。まだ何も言っていないじゃない。」
「今から言おうとしていることは確実に僕にとって不幸にしかならないからだよ。」
「そんなことないわ。イベントが終わったらたっぷりご褒美上げるから。」
「・・・どんな?」
「ふふっ。それは終わってからのお楽しみよ。」
「ん。私もご褒美上げる。」
「・・・まぁ、どうせやるしかないんでしょ?作戦は?」
べ、別にご褒美なんか期待してないんだから・・・。
「ふふっ。作戦はウィルがあの足の下で攻撃をかわし続けて気を引く。そしたらそしたら私の「アイスウォール」と他の魔導士が炎魔法をぶつけ合うの。そうすれば水蒸気爆発・・・まではいかないけど水蒸気の煙幕くらいははれるわ。そしたら他のプレイヤーが相手の陰から叩くの。」
「OK。つまり僕はまた突撃するんだね?捨て駒なんだね?」
「むふ。思ったより早く突撃命令きたね。」
「捨て駒じゃないわ。あなただからできると思ったのよ。」
「はいはい。まぁエリザベスが間違ったことなんかないからな。成功することを祈ってて。」
「もちろん。」
「ん。それではウィル。突撃。」
「はいはい。行ってきます。」
他のプレイヤーが攻めきれず距離をとっていたり、突っ込んで潰されたり、そんな危険な戦場に僕は駆け出す。
見れば周りのプレイヤーは平均LV40前後。
さすがにあのモンスター相手じゃきついか・・・。
「次はどうするんですか!?私のもお供させてください!!」
突然僕の目の前に飛び出してきた着物を着た女の剣士が話しかけてくる。
「・・・えっと・・・。君は?」
「あ、すみません。私は「鏡花水月」の卍と言います。良ければ作戦に参加させてもらえませんか?」
「うーん。やめた方がいいよ?ただの囮役だし・・・。」
「いいえ!!何でもやります!!」
卍は僕の話を遮るように、志願してくる。
何だろうこの子・・・ドMなのだろうか・・・。
「ま、まぁいいか。じゃあ一緒に行こうか?」
「はい!!」
とりあえず走りながら簡単に作戦を説明する。
「・・・じゃあ行くよ?」
「はい!!」
僕らはイカの足の下に入り込む。
イカの足が、左2・・・、次に右3、上2・・・正面2・・・・。
順調に避けながら卍を横目で見る。
彼女も何とかよけられているようだ。
だがそれも時間の問題だろ・・・。
彼女には「空間把握」スキルはない。
というか僕たち以外で使っている人は見ていない。
ということは視覚だけでこの足の猛攻撃をよけているということだ。
さすがに長続きはしないだろう・・・。
イカは僕らが寄よけ続けていることに腹を立てたのか、だんだんと攻撃の速度が速まる。
左4、次に右3、次は正面2、…上4・・・。
「・・・きゃぁあ!!」
横から卍の叫び声が聞こえる。
・・・くっ。
エリザベスはまだか・・・?
「アイスウォール!」
「業火球!!」
後ろからの声の後に辺りに一気に白い霧が発生する。
が、イカは僕らに攻撃をやめる気配がない。
卍が危ない。
僕は攻撃を受ける覚悟で卍の方に行き、足で叩きつけられそうになっている卍をキャッチ。
素早く横に飛び足を避ける。
しかし卍を抱えている為、右からくる足がよけきれなさそうだ。
僕は足に背を向け卍を守るように立つ。
(お兄ちゃんしゃがんで!!)
アイリスからの念話だ。
瞬間的にしゃがむとさっきまで僕の頭があったところに大剣が音をたてて通り過ぎる。
「はぁああ!!「剛剣」!!」
ガキィィィィン!!
金属音のぶつかる音がし、魔力を込めた足と剣がぶつかり合う。
僕はその隙に急いでイカから離れる。
アイリスに後でお礼を言おう。
僕の攻撃力じゃ正面からぶつかってもはじかれていただろう。
アイリスの攻撃力あってのなせる業だ。
こうして何とか二度目の囮役を無事切り抜けたのだった・・・。
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