第126話サバイバル島、その2
「死ぬかと思ったわ!!死に戻りするかと思ったわ!!」
「ふふっ。ウィルなら避けると思って。」
「でもおかげでコインが合計15枚集まったわ。」
「PKだから45枚分かぁ!いいスタートをきれたね!!」
「ん。余は満足じゃ。」
余は満足じゃないよ・・・。
いきなり味方の攻撃で死ぬとこだったよ・・・。
「全く・・・。次から声かけてよ?」
「ふふっ。なんだかんだ許してくれるウィル好きよ?」
「その言い方はずるいよエリザベス。」
全くエリザベスはずるいよな・・・。
「お兄ちゃん!!アイリスも好きだよ!」
「私は愛しているわ。」
「ん。結婚してください。」
「はいはい。次いきますよ~。次~。」
「「「ぶ~~。」」」
なんだかんだ誤魔化されてしまった・・・。
だけど皆に言われて顔がニヤけてしまうこの自分の意志の弱さが悲しい・・・。
「まぁ・・・とりあえずレヴィ達に連絡とるか。」
「そうだね。一度合流した方がいいわ。」
ーーーーーーーーーーーー
ウィルーー一度合流したいんだけど今どこ?こっちは森林エリアにいるよ。
レヴィーーこっちはホラーエリアのお墓でピクニックしているわ。こっちに来れる?
ウィルーー・・・・・・森林エリアで待ってる。
レヴィーーなんで?お墓でピクニックもなかなか乙な物よ?
ウィルーー森林エリアで待ってる。
レヴィーー・・・・・・わかったわ。こっちの探索したいから夕方に合流しましょう。
ウィルーー了解。ありがとう。
ーーーーーーーーーーーーー
「今違うエリアにいるから森林エリアに来たいってさ。夕方に合流することになった。」
僕は満面の笑顔で皆に伝える。
嘘はばれなきゃ嘘にはならない。
「嘘おっしゃい。今ウィルがこっいに誘導したんじゃない。」
「お兄ちゃんメニュー画面他のプレイヤーにも見える設定にしてるから丸見えだったよ・・・?」
「ウィル・・・。お化け苦手だものね・・・。」
「ん。ウィル嘘下手。」
「お黙りなさい。そうだよ。ホラー島なんて死んでも行くもんか。」
すぐばれました。
はい。嘘はやっぱりいけないね。
とりあえず僕らはこの森林エリアを探索することにした。
適当に歩いていると気配察知に何かが引っかかる。
・サバイバルオラウータンLV54×5
「また猿か・・・。」
「最近、猿関係のモンスターによく出会うねー。」
「なんだかマンネリ化してししまうわ・・・。」
「ん。ウキッウキッ。」
「エリーゼもサルになってどうするの・・・。」
とりあえず戦闘開始だ・・・。
猿との戦闘はもう慣れている。
僕が木の上に登り、相手の気をそらし、あわよくば敵を木から落とす。
その隙にエリーゼ、エリザベス、クリスが魔法や矢で、相手を木の下から狙撃。
落としたところをアイリスが斬る。
この連携で難なくオラウータンたちを倒すことが出来た。
「それにしてもLV高くないか?」
「どういうこと?」
「だってLV54なんて新規プレイヤーにとっては高すぎない?」
「・・・確かに・・・。」
僕らが考えているとMr.からのチャットで答えがわかった。
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Mr.--今までにわかった情報を送る。
Mr.--モンスターはプレイヤーのLVに依存する。そしてPKは倒すと相手の個人のメダル+他のメダル3枚まで獲得することが出来る。
プレイヤーの初めに持っていたメダルは金色。それ以外は青色になっている。
PS、PKギルド「デスペラーズ」の目撃情報があった。気をつけろ。
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「モンスターはプレイヤーのLVに依存する、か・・・。これで謎が解けたね。」
「そうね。それなら新規プレイヤーは安心ね。」
「よく考えられてるね!!」
「ん・・・おねえちゃんどうしたの?怖い顔してる。」
「うん・・・。PKのやり方によっては怖いなって思って・・・。」
「どうゆう事?」
エリザベスは少し考え、考えがまとまってから話し始める。
「みんなは相手からコインを集めるときの方法はどんな事が予想できる?」
「・・・コインを?もちろんPKで倒す。」
「うん。それが一つ目ね。他には?」
「・・・正々堂々PVPを挑んで勝利したらメダルを貰う!!」
「そうね。それが二つ目。他には?」
「ん・・・。他にはあるの?ただあげるなんて考えられないし・・・。」
「確かにただあげるは考えにくいわね。でも例えば相手を殺さないで締め上げて、コインを全て奪うってこともできるでしょ?」
「・・・・・・・・。」
「殺さず拷問・・・まではいかなくても痛めつけて、コインを出させる。そしてそのプレイヤーを囮にして助けに来たプレイヤーを狩る。そんなやり方もあるわ。」
・・・確かに・・・。
基本的に皆が考えるのは最初の二つだろう・・・。
でも・・・。
ゲームだからって普段から人を殺して楽しんでいる連中なら最後の選択肢をとるかもしれない・・・。
このゲームは以前話したように痛みを軽減する仕様になっている。
が、痛みを全く感じないわけではない。
例えば相手を締め上げ身動き取れないようにし、攻撃をし、ヒールやポーションで回復させる。
それなら半永久的に相手にわずかだが痛みを与え続けることが出来る。
そしてプレイヤーは身体的な痛みよりも、心の傷の方が深刻になってくるだろう・・・。
それを逃れるには他のプレイヤーが助ける、GMコール(運営絵の連絡)、又は心拍数の上昇によりゲームが危険を感知し、強制ダイブアウトをさせるしか方法はない。
もし他のプレイヤーが気づきにくい場所にいるならば、あとの二つに望みをかけるしかない。
だが数十万人のプレイヤーがいる中で、運営が困っている人を見つけることは容易ではない。
「このサバイバル、思った以上にその人の人間性が出るイベントだと思うの。」
「そうね・・・。その選択肢も考えておかなければならないね。」
「情報はこまめにチェックしましょう?もしかしたら有力な情報が出てくるかもしれないし・・・。」
「そうだね。でも3番目の選択肢をとる奴らがいたらこのアイリス様が絶対許さないんだから!」
「ん。逆に処刑してあげる。主にウィルが。」
「他力本願かい。まぁ僕もそんなやり方をする奴が現れたら倒すつもりだけど・・・。」
「でも降参してコインを素直に渡して逃がしてもらうって選択肢もあるんだね。」
「そうね。戦闘する時間とダメージ、デスペナルティを考えるとその選択肢も賢いやり方よね。
」
「思った以上に奥が深いイベントだね。」
「ん。でも私たちのやることは変わらない。」
「エリーゼの言う通りだな。僕らは僕らでこのイベントを楽しもうよ。」
「そうね。」
「さんせー!!」
「ふふっ。そうしましょう」
僕らの目的は決まった。
このイベントを楽しむことだ。
その為に僕らは歩き始めた・・・。
何度かモンスターとの戦闘はあったものの他のプレイヤーとは出会わなかった。
初めに2パーティと出会ったのは偶然であり、思ったよりこのフィールドは広いのかもしれない。
「・・・・込め!・・・だぞ・・・。」
「・・・てる!・・・・・ぁぁぁぁあ!?」
「・・・・・助けてくれーー!!」
僕らの進行方向から叫び声が聞こえてきた。
確実に悲鳴だ。
行きたくないなぁ・・・。
でもうちの家族戦いたがるんだろうなぁ・・・。
あ、ほらアイリスなんか目がキラキラしちゃってるもん・・・。
他の皆も少し怖い顔で微笑んでるし・・・。
獲物を狩る目ですやんそれ。
「・・・どうする?」
「行きましょう。」
「もしPKなら速攻で倒す!」
「ん。容赦はしない。」
「じゃあとにかく戦闘する方向で行きましょう。」
でしょうね。
わかってましたけど・・・。
とりあえず僕らは足音を殺すように慎重に走り、悲鳴の原因を探した。
声の原因はすぐに見つかった。
森の一部の開けたところにそこそこ大きな湖があった。
その周りに多くのプレイヤーがいて、何人かは宙を舞っていた。
その時僕らの目の前に文字が浮かぶ。
ーーーーーーーーーーー
特殊モンスターに遭遇しました。
モンスター名【イカれたイカ野郎】LV78
この戦闘に参加しますか?
YES/NO
参加人数 36/60
ーーーーーーーーーーー
・・・駄洒落かよ・・・。
しかも全然面白くないし・・・。
「あ~・・・。どうします?」
「「「「参加する。」」」」
「はぁ・・・。そうなるよね・・・。」
実際は参加したくないがしょうがない。
いかれた野郎とは関わりたくないが・・・。
こうして僕らの特殊モンスターとの戦闘が始まった・・・。
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