第103話消えた少女、中編

「うにゃ~~。皆重いにゃ~。」

「ん。よしよし。にゃ~にゃ~。」

「いたたた。ごめんごめん。すぐどくよ・・・。」

「エリーゼ、離れてあげなさいよ・・・。」

「は?ここはどこよ・・・・?」

「MAPに名前が書いてあるわ・・・。」


僕らは急いでアイリスから降り、メニュー画面のMAPを開く。


ダンジョン「夢見る温泉」。


画面にはそう名前が記してあった。


「へ・・・・?ダンジョン?」

「・・・でもなんかここさっきと場所が違うわ・・・。」

「ほんと。温泉はあるのに・・・。」


そこは先ほどと同じような部屋だった・・・が、壁が古臭く木が腐りかけていた・・・。


「まさかダンジョンにつながっているなんて・・・。」

「ほんと・・・。それになんだがさっきより建物が古く感じるわね・・・・。」

「ん。お化け屋敷みたい。」

「あはは!!お兄ちゃんお化け屋敷だって!小学生ぶりだね!!」

「懐かしいわね・・・。あの時ウィルは泣いて私に抱き着いてきたっけ・・・。」


「ムカシノハナシハワスレタ・・・。ハヤクススムゾ・・・。」


やめてくれ・・・。

思い出さないでくれ・・・。


皆は武器を手に部屋から出てみる・・・。

今回はアイーダもいる、

彼女は防御力がないため、彼女を守るようなフォーメーションになる。


「ここは・・・もしかして・・・・。」

「そうね・・・・「匠亭」ね・・・。」

「どうしてダンジョンがこんな姿なの・・・?」

「ほんと。ダンジョンって洞窟のイメージがあったけど・・・。」

「ダンジョンは色々な形があるわよ?」

「ん。城だったり塔だったり色々。」


そうなのか・・・。

僕もダンジョンと言えば洞窟のイメージだったな・・・。


「ねぇ・・・。今思い出したんだけど・・・。」


エリザベスが何かに気が付いた顔をする。


「残り時間69;55になってるじゃない?そして魔力だまりが結界によって分散されなくなるのは約3日って言ってたわよね・・・。」


確かにそんなこと言ってたな・・・。


「つまりね。残り時間が無くなると、もうここから出られなくなるんじゃ・・・?」


僕らは固まり背筋が凍り付く・・・・。

ここから出られない・・・?

ココカラデラレナイ・・・?

コノ、オバケヤシキカラ・・・?


「皆!!早く進むぞ!!少女が、お孫さんが心配だ!!さぁ今行くぞお孫さん!!今助けてやるぞお孫さん!!何処にいるんだお孫さん!?」


「怖いのね、ウィルは・・・。」

「バレバレね・・・・。」

「お兄ちゃん隠すの下手すぎ・・・。」

「ん。そこも可愛い。」

「あぁ。また泣きついてきてくれないかしら・・・。」


泣きません。

抱き着きません。

もう高校生なんだ・・・。

もう15歳なんだぜ・・・?


それに僕は男「うひぁぁ!?」・・・・・・。


足元にあったのは首の取れた人形だった・・・。

僕はそれを踏んでしまい、むにゅっとした感触に驚いてしまった。


・「首の取れた人形」を手に入れた。


いらんわ!!??

怖いわ!?

いじめなの?

僕をいじめたいの?


「くくく・・・。「うひぁぁ」だって・・・。」

「や、やめなさいよ・・・。ふふ。可哀そうよ・・・。」

「あははははは!!」

「ん。アイリス笑いすぎ・・・。ムフ・・・。」

「ふふっ。今度リアルでもお化け屋敷行きましょうか・・・?」


「行きません。怖くありません。馬鹿にしないでください。」


くそっ。

このままでは僕の威厳「うぴゃ!?」・・・・・。


人形たちが浮いて僕の正面に飛んできた・・・。


・夢見る人形  LV46×4


モンスターのようだ・・・。


「聞いた?今聞いたうぴゃ?」

「「うぴゃ」だってうぴゃ!!」

「お兄ちゃん可愛すぎうぴゃ・・・。」

「むふ。ウィルキスしていいうぴゃ?」

「もうみんな、からからかいすぎじゃよくないうぴゃうぴゃ・・・。」


エリザベスが一番うれしそうじゃねぇか・・・・。


「くそっテメェらのせいだぞ!!」


人形は弱かった。


さすがにLV差がありすぎて敵にはならない。

そして人形たちはアンデットの部類に入るようだ。

光剣がよく効いた・・・。


夢見る人形たちのくせに起きてんじゃねぇか・・・。

寝とけよ・・・。

動くなよ・・・。

どんだけ寝相悪いんだか・・・。


「アンデットってことは幽霊うぴゃ?」

「恐らくそううぴゃ。」

「ってことはエリーゼ大活躍うぴゃ。」

「ん。頑張るうぴゃ。」

「エリーゼ、ガンバうぴゃぴゃ。」


クソっ。

流行ってんじゃねぇ・・・。

なに使いこなしてんだよ・・・。


もう帰りたい「うぴゃ!?」・・・・・・・。


突然床から手が生えてきた・・・。


・夢見るハンド  LV42×5


「寝とけやぁボケェ!!」

僕は木の床ごと破壊する。


・・・なんで突然こいつら現れるんだ・・・。


「うぴゃ・・・うぴゃ・・・。」

「もうおなか痛いうぴゃ・・・。」

「あははははははうぴゃ!!!」

「むふ。可愛いうぴゃ可愛いうぴゃ。」

「もう!やめなさいうぴゃ。」


「あぁ?なんか言ったか?」


「「「「「・・・ごめんなさい。」」」」」


さすがの僕も怒る。

めったに本気で怒ることのない僕が怒ると、さすがに皆も黙る。


二度と!!

二度と言うなよ!!


恥ずかしくて死んでしまい「うぴゃ!?」・・・・・・。



ーー夢見るゴーストLV48×2が現れた。

ーー皆は大爆笑した。

ーーウィルはぶちキレた。

ーー近くの柱ごとゴーストを切った。

ーーゴーストを倒した。


ーーウィルの説教が始まった。

ーー皆を反省させた


ーー・・・・・・「うぴゃ!?」

ーー夢見るハンド×2、夢見る人形たちが現れた。

ーー皆は笑いをこらえている。

ーーウィルは力の限り暴れた。

ーーモンスターを倒した。


ーー本館にたどり着いた。


ーー「うぴゃ!?」


ーーどこからか少女のすすり泣く声が聞こえる・・・。

ーーウィルはどこからなのか探そうとする。

ーーだがみんなの笑い後でかき消された。


ーー夢見るゴースト×3が現れた。

ーー「うぴゃうぴゃうぴゃぁぁぁぁぁ!!」

ーーウィルは壊れた。

ーー本館玄関は大破した。

ーー夢見るゴーストを倒した。


ーー皆は怯えている。

ーーウィルは皆に微笑んだ。

ーー皆は怯えている・・・・。

ーー「「「「「うぴゃーー!!??」

ーー女性たちの頭にたんこぶができた。

ーー・・・・・・・・・・・・・・・。



「・・・庭から聞こえるわ。」

「いたた・・・・。そうね。行ってみましょう!」

「ごめんなさい。ごめんなさい・・・。」

「ん。・・・ウィルが怒ると恐ろしい・・・。」

「・・・そうね。もう気をつけましょう・・・。」


二度と言うんじゃない!!

二度とだ!!



僕らは泣き声のする日本庭園が綺麗な庭に出た。

が、そこには雑草は生え、橋は落ちた日本庭園があった・・・。


「あそこに誰かいるわ・・・。」


池のそばに少女と何かがいた・・・。


・夢を見せるゴーストLV55


「あいつがボスか・・・。」


僕がそうつぶやくのと同時に景色が歪む・・・。

ボスエリアに入ったんだ・・・。


僕は素早く光魔法をエンチャントしゴーストに切りかかろうとする。

今僕は腹がたっているんだ・・・。

八つ当たりさせてもらおう・・・。


「待って!!この人を倒さないで!!」


少女が僕に向かって叫ぶ。


「・・・え?君は「匠亭」のおかみさんのお孫さんだよね・・・?」


怒りながらこちらを睨む少女に、僕は問いかける。


「・・・そうよ。でもおばぁちゃんなんか大っ嫌い!!私にはこの人がいればいいの!!」

「・・・そいつはモンスターよ?危ないからこっちに来なさい!!」


クリスが叫ぶ。


「・・・モンスター?私の両親に向かって何言ってんの?」


・・・何言ってんだこの子は・・・?

少女の隣にいるのは確かにゴーストだった。


「ん。彼女は幻覚を見ている。」


エリーゼの言葉にみんなはハッとし、少女を鑑定する。


・アングレア  LV5  状態、幻覚、魅了


「・・・どうやら、あのゴーストがかけた魔法みたいね・・・。」


僕らは思った以上に厄介な相手と戦うことになった・・・。

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