第96話実践訓練その6

親分は赤い魔力を放出しだした。


僕は危険を感じ一旦離れる。


その瞬間今までで一番多く触手が出てくる。

さすがにこれはよけきれないかも・・・。


突然親分が苦しみだす。


「ウィル!!大丈夫!?」

「お兄ちゃん!!」

クリスが親分の後ろから核に貫通矢を射ったみたいだ。


2割ほどのダメージを与えられる。


「うわぁ・・・。あれ気持ち悪いねぇ・・・。」

「ん。あれに捕まりたくない。」

「よくあれを相手にここまで追い詰めたわね・・・。」


皆、それぞれ親分の感想を言う。


君だからね?

僕を一人で戦かわせたの。

何親分見て引いてんの?


「よくここまで、来れたね?」

「お兄ちゃんが頑張ってくれたおかげで分身が飛んでこなかったんだよ。」

「ん。LV62.すごい減らしたね。」


LV62・・・?

親分は痛がってるふりして水を飲んでいた。

意外とアイツ演技派だな・・・。

全然気づかなかった・・・・。


「一気に決めちゃいましょ。」

「そうね。LVが回復しないうちに。」


そう言って魔法と矢が飛んでいく。


キィィィィィン。

魔法と矢は触手が増えたことで、本体までたどり着く前に叩き落されてしまった。


「ウィル。本体までの道を開けなさい。」


無茶言いますね・・・。

あれはもう、化け物にしか見えませんよ?

あれに突っ込めと?


だが自然の摂理には逆らえるはずもない。


僕は命がけで突っ込む。

だが近づく前に水鉄砲が飛んでくる。


僕はそれをくぐるように進み、目の前に来た奴を剣で切りつけて進む。

そこに一斉に触手が飛んでくる。

僕はそのまま直角に右に逃げる。


触手は全て僕についてきた。

「アイスウォール!!」

エリザベスの魔法が触手の付け根に当たり、凍った部分から崩れ落ちていく。


あーー怖かった。

僕は何とか生きている。

そのままクリスが矢を放つが再び触手が生え、叩き落される。


僕は最後のトビウオの骨を出して核目掛け投げる。

これは核に当たり、親分は一瞬痺れる。


そこをエリザベスが見逃すはずがなく、アイスアローが飛んでいく。

僕は親分の真横まで走り、雄たけびを使い気を引く。


クリスも矢を放ち二人の攻撃は核に突き刺さる。


残り5割・・・。


(お兄ちゃん!!何とかオヤビンの気を引いて!)


いないと思ったら、アイリスは木に登っていた。

そして飛んで切りつけるしぐさをする。


・・・なんでみんな僕に無茶ばかり要求するんだ・・・。


やっぱりだれか盾職が欲しいな・・・。


だが妹の頼みを断れるわけもなく。


僕は再び親分との距離を詰める。

が、今度は失敗し触手に吹き飛ばされてしまう。


エリザベス達の後ろの木に叩きつけられる。


残りHPは3割。

やはりLVが下がっていると、先ほどより幾分か楽だ。


すぐにエリーゼが回復してくれる。


「・・・くそ!!もう一度!!」


「ッッグハッッ!?…もう一度だ・・・・。」


「・・・・ぐっっ!!・・・まだぞこの野郎・・・・。」


僕はそのあと三度挑戦するが、全て木に叩きつけられてしまう。

親分も学習しているのだろう。

脳みそがあるかどうかはわからないが。


エリザベス達は攻撃して牽制してくれるが、全て叩き伏せられてしまう。


やはり僕が盾職の役目を成功させないとだめみたいだ。


当たり前だが今までのボスの中で一番苦戦しているし、ダメージも食らっている。


「ふうぅーー・・・・・。」


僕は呼吸を整える。

僕もだんだん触手に目が慣れてきた。

今なら行ける気がする・・・。


直線に攻めると、僕がよけた後、そのまま水鉄砲がエリザベス達に飛んで行ってしまう。


僕は斜めに走り、まずは水鉄砲を迎え撃つ。


水鉄砲は低い弾道で飛んでくる。

僕が下から抜けることを読んでいるんだ。


だが、上に逃げれば触手にやられてしまう。


僕は走りながらかまいたちと乱切りで、正面に来た攻撃をすべて叩き落すつもりで剣を振るう。


僕と親分の間にはいくつもの水がはじけて、壁ができる。

しかしそれによって後から来た水鉄砲が見えない。

僕は一か八かで身を小さくたたみ、水の壁に突っ込む。


それが功をそうし、何発か掠りはするが向けることができた。

後は横に走り、触手を誘導するだけだ。


「今よ!!」


エリザベの合図と共にアイリスが飛ぶのが見える。


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


アイリスの声に親分は反応し触手を僕ではなくアイリスの方向に向けてしまう。

空中にいるアイリスは格好の的だ。


僕は瞬時に本体に突っ込み触手の付け根をすべてかまいたちで切り落とす。

だがその瞬間新たな触手が生え、僕はそのまま叩かれ泉の中央まで吹き飛ばされる。


飛ばされている間皆を見ると、3人はアイリスに重力魔法を使い重くし、アイリスは剣に重力魔法を使いそのまま親分の核を真っ二つに切っていた。


・・・・・・親分、ざまぁみろ・・・・。


ザッパーーン・・・・・。


僕は泉に落ち、何度も吹き飛ばされたせいか気を失ってしまう・・・・。




「・・・・ル。・・・ィル。起きなさい。ウィル!!」


僕はゆっくりと目を覚ます。

そこには皆の顔があった・・・。


「もう。寝すぎよ。」

「あはは!!お兄ちゃんもったいないことしたね!」


…もったいないこと?


「ん。みんなで人工呼吸した。」

「順番にね。みんなで。」


「ははは・・・。それはもったいないことしたな・・・・。で?勝ったんだよな・・?僕たち・・・。」


「「「「もちろん!!」」」」


皆が満面の笑みで答えてくれる・・・。


こうして僕らは強敵相手に何とか勝利を飾ることができた・・・。



「おぉ!!帰ったか!それでどうじゃった?」


「そうじゃった?じゃないよ。疲れたわ。」

「ほんとだよー・・・。おじいちゃん無理させすぎ!!」


僕らが泉のボスを倒したことで猿たちが泉に集まりだし、僕らはそのまま戦い続け何とか帰ってきたのだった。


「ん。泉にはね・・・・。」


エリーゼが代表して、あった事を話してくれる。


「・・・ふむ。スライムが・・・。奴らはこの森にはいないはずじゃ。やはり大繁殖期が原因かもな・・・。フガフガフガ・・・。」


アランは入れ歯を落としながら考え込む。


もう突っ込むのも疲れたわ・・・・。



ーーーーーーーーー

クエスト【泉の水源を調べよう】クリア!!


・報酬

10万G

天龍宝石でできたネックレス


ーーーーーーーーー

「ほれ。調査のお礼じゃ。受け取りなさい。」


アランは僕らに報酬を渡す。


・天龍宝石でできたネックレスーー最大MP2倍


・・・これはすごいのが出てきたな・・・。


「ん。これはお姉ちゃんがつけて?」

「・・・そうね。それがいいわ。」

「さんせー!!」

「・・・いいのかしら?・・・ならありがたく付けさせてもらうわ。」


「さて、それでは卒業試験じゃ。」

「「「「「・・・・・・は?」」」」」」


まだやるのかこの入れ歯ジジイ・・・・。


「お主らが川に落ちた原因の猿達を倒してみよ。そうすればこの修行は完成じゃ。お主らは「大魔導士アラン」の弟子として認める。」


あれ・・・?

そんな話だったっけ・・・?


「先にこれを渡しておこう。「大魔導士アラン」のマークが入ったペンダントじゃ。これがあれば国内外様々なところでフガフガフガ・・・。」


「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」


国内外で何だよ・・・・。

もう疲れてんだこっちは。

早く終わらせてくれ・・・・・。


「フガ!!ッ国内外で融通してくれるじゃろう。困ったときに出しなさい。」


「ハーイ。アリガトウゴザイマス。」


「何じゃその適当な返事は!!儂はこう見えてすごいんじゃぞ!!」

「ハイ。スゴイスゴイ。フガフガ爺サン、スゴイデスネ。」

「儂凄い。もの凄い。超強い。儂天才。儂クールガイ。ここ通るかい?」

「通らんわ。どこに行けって言うんだ全く。」

「フガフガフガ・・・。」

「もういいわ!!」


こうして僕らはダイブアウトし、明日猿たちに挑むことになった・・・。

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