第97話実践訓練その7
金曜日。
イベントまであと2週間と少し。
そして今日、5万人ものプレイヤーが入ってくる。
ーーーーーーーーー
緊急クエスト発生!!
プレイヤーの皆様に連絡します。
始まりの街「フェラール」の街で今週の日曜日と来週の土曜日に、スタンビートが起こるとの報告が入りました。
プレイヤーの皆様はフェラールの街を守ってください。
ルールは以前と同じなので詳しくは公式HPをご覧ください。
尚、以前参加したプレイヤーは、参加はできますが経験値が入らず、報酬も出ません。
皆さま力を合わせて頑張ってください。
それでは皆様。
良い人生を。
ーーーーーーーーーー
「新規プレイヤーの救済措置か・・・。」
「そうね。それにクラン勧誘のいい機会だわ。」
「どうするー??」
「ん。めんどくさい。」
「そうね。私たちは不参加でいいんじゃないかしら。行きたい場所も沢山あるし。」
ということで「カンパニー」は不参加となった。
まぁ「ダブルナイツ」「悪魔結社」「鋼鉄の騎士団」が参加してくれるだろう。
彼らに頑張ってもらおう。
後、いい盾職がいたら勧誘しておいてもらおう・・・。
マッチョじゃない人を・・・。
出来れば男で・・・。
変な奴じゃない奴で・・・。
協調性のあるやつで・・・。
エリーゼ達に手を出さないやつで・・・。
無口じゃないやつで・・・・。
やかましい奴ずゃなくて・・・。
入れ歯じゃなくて・・・。
出来れば同世代の人で・・・。
・・・・・・・・・。
いないかな。
そんな都合のいい奴・・・。
「じゃあアランさんお世話になりました。早く入れ歯変えた方がいいですよ?」
「ありがとねー!!入れ歯早く変えなね!!」
「またね。アランさん。入れ歯落としすぎで汚いから変えなさいよ。」
「ん。ばいばい。その入れ歯捨てた方がいいよ?」
「お世話になりました。いちいち落とされるとイラっとするからさっさと変えなさい。」
「入れ歯はほっとけ!!うむ。達者での。」
こうして僕たちはアランと別れて帰路につくのだった・・・。
「ついに来たね。」
「そうね。」
「今度は勝つ!」
「ん。リベンジ。」
「じゃ皆。行くわよ。」
アランと別れて2時間。
僕らは最初に落とされた橋の所にいた。
橋はアランがこっそり直してくれていたらしい。
結構気が利くんだよな。
あの爺さん・・・。
「初めから全力で行くわよ。」
「「「「おう!!」」」」
僕らは橋を一歩一歩踏みしめながら渡る。
僕らにとってここは初めての敗北の地だ。
皆の顔は引き締まる。
今度こそ負けない。
修行と題した無茶なクエストもこなしてきたんだ。
今度こそ・・・・。
温泉好きなサルLV35 ×40
のぼせやすい大猿 LV55
橋を渡り坂を上ると猿たちはのんきに温泉に漬かっていた。
「戦闘開始!!」
エリザベスの合図で僕は走り出す。
坂を上りながらエリーゼにブーストはかけてもらっている。
僕は一気に大猿の所に行く。
「ウォーターウォール!!アイスウォール!!」
僕と大猿とそのわきにいた猿3匹を、皆から隔離する。
今回は僕が大猿を抑え、他はみんなが倒すという作戦だ。
また前回みたいに山の上に登られ岩を投げられたらたまったもんじゃないからな。
大猿は勢いよく温泉から出るが、のぼせて動けない。
まずは猿3匹から相手にする。
僕のLVは60を超えている。
3匹相手でも余裕だ。
猿は三方向から一斉に飛び掛かってくる。
僕はまず左の猿にかまいたちを撃ち牽制。
猿は魔力を腕に集めガードするが多少ダメージくらう。
そして猿が着地する前にガードしている下の、腹部を一刀両断する。
「キキーー!!??」
猿ののこりHPは2割。
僕は振り向きすぐの猿に向かい疾風斬りで背中を切りつける。
これで一体目。
「「キキーー!!」」
猿達は怒り、魔力拳で襲い掛かってくる。
僕は剣に重力魔法をエンチャント。
殴ってきた猿の拳に向かって丁寧に剣を当てていく。
今の僕の重力魔法なら多少剣を重くできる。
LV差+剣の重みで猿たちの拳をはじき返し猿の体制を崩させる。
猿たちは崩れた体制を直しながら、魔力を足に集めている。
「遅いッッ!!」
僕は俊足と乱れ切りを使い、二匹の間を抜けながら切っていく。
そして振り向かず後ろにかまいたち。
後ろは見なくても「空間把握」で位置はわかる。
猿たちは自分たちを見ていない相手からの攻撃に驚き、そのまま切られ、消えていく。
その瞬間を狙い大猿が上空から殴りかかってくる。
「空間把握」で見えてんだよっっ!!
僕は一歩下がりギリギリで猿の拳をよけ、思いっきり顔を殴ってやる。
「このクソ猿がぁぁ!!」
猿は吹き飛ぶが、ダメージはほとんどない。
さすがにただの拳では効果は大してないようだ。
はぁ、少しすっきりした。
猿は顔面を殴られたことに驚き、僕を警戒したまま近寄ってこない。
「よぉ。よくも橋から落としてくれたな?あの時の借りを返しに来たぜ。」
あんな屈辱初めてだ。
しかも家族も一緒に落としやがって。
絶対に許さない。
大猿は石を投げて走ってくる。
僕は体を左右に振ってそれをよけ大猿の方に走る。
猿とは何回も戦ってきたんだ!!
行動は把握している。
正面から大猿の拳と剣が重なる。
「キキ!?」
攻撃力はほぼ互角のようだ。
僕と大猿はそのままにらみ合う。
お互い後ろに飛び距離をあける。
そのまま僕は雷をエンチャント。
かまいたちを撃つ。
猿は器用に動き回り全て躱す。
その隙に僕は俊足で死角に入り込み腹をスラッシュで切る。
「キキッ・・。」
中々いいのが入った。
そのまま僕らは下がらず、攻撃を撃ち続ける。
大猿の右ストレートを剣で受け流し、早斬り。
大猿は頭を下げ躱し、そのまま回転してかかと落とし。
僕は半歩横にずれ乱れ切り。
猿は初撃はかわすが残りはダメージが入る。
さらに僕らは一歩も下がらず、どちらかが倒れるまで攻撃を続ける。
僕は剣を振るい続け、大猿も負けじと手で足で、攻撃をしてくる。
キィン、キィン、キィン、キィン、・・・・・・。
何度も打ち合いによる、金属音のような音が響く。
僕は剣を振り、また振る。
大猿は殴り、蹴る。
10分はそうやっていただろうか。
僕のHPは5割。
大猿は2割。
僕に軍配が上がっている。
「キキーー!!」
大猿は一度後ろに飛び最後の一撃と言わんばかりに大振りで右ストレートをかけてくる。
僕も負けじと奥の手で、迎え撃つ。
ザン!!
お互いが交わり、立ち止まる。
二人とも動かない・・・・。
辺りに生暖かい風が吹き抜ける。
「キキ・・・・キ・・・・・。」
猿はゆっくりと膝から崩れ落ち光となって消えていく。
僕は体にエンチャントした雷魔法を解く。
「いててて・・・。まだ慣れないからこれはくるな・・・。」
雷をまとった僕は、動きが速くなり、攻撃力が増すが、自身にも少しずつダメージを受けてしまう。
アランに聞いた雷魔法の奥義の一つだとか。
アランは自身にダメージはくらわないらしいが・・・。
「「「「「「「キキーーーーー!!??」」」」」」」
壁の向こうにいた猿たちは一斉に逃げていく。
ボスを倒されたからだろう。
「勝ったーー!!お兄ちゃん!!」
アイリスたちが走ってくる。
皆ボロボロだ。
40匹近い猿を相手にしていたんだ。
生きてるだけすごい・・・・。
こうして僕らのリベンジマッチは勝利で幕を閉じたのだった・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます