第93話実践訓練その3

今現在LVが、僕は50で皆は50未満だ。

先日の温泉好きのサルのことを考えるとこのあたりのモンスターは皆僕らより格上だと思っていたほうがいいだろう。

チームワークが勝負のカギとなりそうだ。


出発前にエリーゼはマナミドルポーションを10個もらった。

まだプレイヤーの中では出回っていない代物だ。


大事に使おう・・・。


しばらく歩くと森に入る


・天龍山脈麓の森


という名前らしい。

まんまだな。


森は木が高く、まるでジャングルのようだ。

草は多くて長い。

ここは完全に人が見放した土地なのだろう・・・・。


そんな中一本の道を進む。

ここはアランが一人で作った道だ。


道と行って草や土を重力魔法を使い力づくで潰して作った道だが・・・。

それでも彼の力の強さがわかる・・・。

僕らはまだまだ小石を動かすので精いっぱいだ。

今も手のひらに小石をのせ軽くしたり重くしたり繰り返している。


だがなかなかスキルLVが上がらない。

理由の一つは実践ではないからだ。

やはりモンスター相手に使った方がスキルLVの上がり方はいい。

そして古代魔法だからだろう。

扱いが難しく中々上がっていかない・・・・。


「危ない!!」


僕の頬に何かが掠る。

気づけばクリスの矢が僕の頬を掠り近くの木に刺さっていた。

そして矢の先にはカメレオンの舌が刺さっていて、カメレオンは必死に舌に刺さった矢を抜こうとしている。

どんな神業?それ。


変色のカメレオン  LV55


カメレオンとは色の変わる生き物だ。

わざわざ名前にするほどではない。


「悪い。助かった。」

「もう。しっかりして?「空間把握」してなかったでしょ?」


今は僕とクリスが前と後ろでやる番だった。


「さっさと倒してしまいましょ?」


エリザベスはアイスウォールを飛ばしながら話す。

カメレオンの下半身は木にくっついたまま凍る。


そこからは僕とアイリスが近づき切りつけ倒す。


しかしいきなりLV55か・・・。

僕らより強いじゃないか・・・・・。


「ッッ伏せろ!!」

僕はアイリスに向かって叫び、二人はしゃがむ。


僕らの頭があった部分に大きめの岩が飛んでいく。


温泉好きのサルLV52×2


「また出たな!?しかも強い!!」

「この森はモンスターが多いのかもしれないな・・・・・。」


僕らに向かって木の上を使い飛んでくる猿。


僕は一気にジャンプして木の幹を蹴り、木の上に上る。


「ウキキッ!?」


僕が気の上に来るとは思わなかったのだろう。

猿たちは空中で驚く。


僕はすかさず一匹のサルに重力魔法を使い、サルはわずかに手が木の枝に届かず落ちていく。


「は~い。いらっしゃい。」


落ちていく猿に魔法と矢が飛び、地面に着地する前にアイリスが一刀両断する。


僕はもう一匹のサルに集中する。


猿は興奮した様子で木の枝を使い、僕の周りを飛び交う。

着地先を予想し、かまいたちで木の枝を切り落とす。


「キキーー!!??」


猿はあーーれーーと落ちていく。

後は先ほどのサルと同じ結末になる。


ストッ、と僕は木から降りる。

「お兄ちゃんお疲れー!!忍者みたいでかっこよかったよ!!」

「ほんと。ジョブ手に入れたんじゃない?」


「手に入れてないよ?そもそも忍者なんてジョブあるのかな?」


「ん。ありそう。でも独立魔法の使いてな気がする。」

「忍法ってことかしら?ありそうね。火遁とかね。」


ロマンがあるな、忍者は。

でもそうすると剣術が使えなくなるのか・・・・。

それは勘弁だな。

せっかく面白くなってきたっていうのに。


「っっ三時の方向2匹!!」


僕の声にみんな反応し「空間把握」を使う。

姿が見えないことからカメレオンだろう。


クリスとエリザベスの攻撃で牽制する。


「「カメレ~~・・・。」」


カメレオンたちは木から落ちていく。

・・・え?そんな声だったの?

まんまやん。

カメレ~~って・・・・。

まんまやん。



カメレオンたちは防御力はないようだ。

一撃でHPが半分近く減っている。

普段隠れているから身を守る事をしないのだろう。


僕らが切り伏せ光となって消えていく・・・。


「お兄ちゃん!上!!」

アイリスの視線の先には3匹の猿がいた。

またかっ。


先ほどと同じで僕は木の上に上る。


猿たちは木の枝を折り投げつけてくる。

僕は木の枝から木の枝に飛び移る。

しかし猿はそれを予想しこちらに飛び掛かる。


僕のは剣を振るうが、猿はなんと魔力拳を使い殴ってくる。

僕の剣と拳が交わる。

LVと攻撃力は向こうの方が上だが、武器の性能と、雷をエンチャントし、一刀両断した僕の攻撃は五分五分となった。

お互いの剣と拳がはじける。

が、僕はすでに着地していて、猿は空中だ。

猿はそのまま落ちていく・・・。

彼の最後は言うまでもない。


残り2匹。

一匹は先ほどと同じかまいたちで木の枝を切り、落とす。


残り一匹。

僕が飛ぶのを見計らい魔力脚を使ってくる。

完全にこいつらのジョブは武道家だな・・・。


僕は何とか空中で猿の足を剣で払い木の枝に着地する。

が、多少ダメージをおってしまった。

やはり全力でスキルを使い戦わなければ攻撃を防ぎきれない。

LV差のせいだろう・・・・。


猿も木の上に着地する。

「キキッ!?」

猿の着地した木の枝を突き破って、クリスの貫通矢が猿の足に刺さる。

死角を突いたうまい攻撃だ。


猿は体制を崩しそこにエリザベスのアイスロックが当たる。

猿は混乱し、僕はその隙をついて、木を移動し猿と同じ枝に着地する。


「キキーー!!」

猿は体制を立て直し僕と向かう。

そこからは僕の剣と猿の拳がぶつかり合う。

剣で拳を斬れないのは変な感じがするが、この世界は魔力が物を言う。


猿の右ストレートを剣を斜めにし受け流し顔を狙うが猿はそのまま半回転し、左ひじで裏拳のような攻撃をしてくる。

僕はガードしそのまま剣を振るうが、猿は手をクロスさせ受け止める。


そんな攻防を何度か繰り返していると、(お兄ちゃん後ろに飛んで!)とアイリスから念話がくる。


スパッ。


そんな音がし僕から木の枝の先にいる猿が落ちていく。

アイリスは木の枝ごと切ったと悟る。


落ちていく猿はゆっくり手足をばたつかせ、飛んできた魔法と矢によって消えていく。


「ふっ。またつまらぬ物を切ってしまった・・・・。」

アイリスが剣をしまいながら呟く。


お前はいつ泥棒の仲間になった・・・。


だが助かった・・・。


「しかし一匹一匹が強いな・・・。全然先に進めてないな・・・。」

僕は地面に着地しながら言う。


「ほんとね・・・。このままじゃいつまでたってもたどり着けないわ・・・。」

「でもいい修行になるね。」

「ポジティブね。まぁそうね。ここを出るときにはみんなLV60くらいにはなってるかもね。」

「ん。確実にトッププレイヤーだね。」


確かに。

LV50でも他のプレイヤーとの差があった。

日曜日に掲示板で見たのは、LV40になったという廃プレイヤーの書き込みだ。

恐らくそれが僕らの姉妹クラン以外での最高LVだろう。


僕らのようにこんなところや、シークレットゾーンに入ってない正規ルートではそんな感じなのだろう。


ーーカメレオン×2が現れた。

ーーカメレオン×2匹を倒した。


ーー猿4匹が現れた。

ーー僕は猿の攻撃を受けた。

ーーエリーによって回復した。

ーー猿2匹を倒した。

ーー猿の攻撃。

ーーアイリスはひらりと身をかわした。

ーーアイリスの攻撃。

ーー猿はひらりと身をかわした。

ーーアイリスは怒った。

ーー猿は笑っている。

ーー僕が一匹を蹴り飛ばした。

ーー猿はもう一匹の上に落ちた。

ーーアイリスたちはニヤリと笑った。

ーー猿たちは怯えている。

ーー猿の悲鳴が響き渡る。

ーー猿に匹を倒した。


ーーカメレオンが現れた。

ーーエリザベスの重力魔法でカメレオンが落ちた。

ーーエリザベスはカメレオンを踏みつける。

ーーカメレオンは怯えている。

ーーエリザベスは優しく微笑む。

ーーカメレオンは嬉しそうに微笑む。

ーーエリザベスはカメレオンを蹂躙した。

ーーカメレオンを倒した。

ーー僕らは怯えている。


ーークリスが遠くにいた猿に矢を射った。

ーー猿のお尻に刺さった。

ーー僕らは怯えている。

ーー猿は泣いている。


ーーアイリスは笑いながら猿を切り伏せた。

ーー僕らは引いている。


ーーエリーゼは飛び回っている猿に木の枝を投げてみた。

ーー猿のお尻に刺さった。

ーー僕と猿は怯えている。


・・・・・・・・・・・・・・。


「はぁはぁはぁ。あれが泉かな・・・?」

「ふぅ・・・。そうみたい・・・。」

「やっと着いたぁ・・・。」

「ん。少し休みたい・・・。」

「ほんと・・・。連戦しすぎたわ。MPももうすっからかんだわ・・・。」


マナポーションは半分近く使っていしまった。

だがLVは面白いように上がっていく。

これなら何とかなるかな。


そこにはきれいな泉が広がっていた・・・。


少し休んだら調査開始だ・・・・・・・・。

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