第92話実践訓練その2

「ウィル。あなたの心を射止めてあげる。」

「やめてください。死んでしまいます。」


今度は僕とクリスの戦いだ。


「READY」


クリスは弓矢使い。


いかに懐に入り込むかがポイントになる。

そしてクリスの「リセット」は矢を自動的かつ瞬時に装着してくれるスキルだ。

そのスキルインターバルは10秒。


その10秒が僕の勝機になるはずだ。


「GO」


クリスの早打ちが飛んでくる。


・・・はやっ!?


クリスの矢は以前よりスピードと精度を上げていた。

僕は「空間把握」を即座に広げ、よける。


視覚だけでは避けきれない気がしたからだ。僕はクリスを中心に円を描くように近づく。

とにかく動かなゃだめだ。


何度か矢をよけながら、僕は近くにあった石を拾い投げつける。


「きゃ!!」


クリスは突然の石によけきれず当たってしまう。


その隙に僕は俊足で近づく。


するとクリスはお返しとばかりに魔力脚で、地面を蹴り、石を飛ばしてくる。


「うぉ!?」


これにはさすがに足が止まりガードする。


すると「空間把握」に矢を感知し横に飛ぶ。


「いって!!」


乱れ撃ちだったようだ。

よけ当た先にも、その場所を予想していたかのように矢が飛んできて足に刺さってしまう。


「ふふっ。弟の逃げる先なんか、お見通しなんだから。」


くそ。

結構やりずらいな。


僕は作戦を変え、10mほどまで近づきかまいたちを使い、離れる。


ヒットアンドアウェイの要領で攻める。


「ちょ!!卑怯よ!!」


クリスは苦戦し何度か当たってしまう。


防御力のないクリスには大ダメージだ。


だが、クリスも負けじとよけながら矢を射ってくる。


「いって、いって!」


「空間把握」を

使ってもクリスの矢はよけきれない。

さすが「鷹の目」だ。

命中力が半端ではない。


「うわぁ!!」


クリスのトリプルアローに僕は思わず飛び上がってしまう。


「隙ありよ!」


クリスはすかさずリセットからの貫通矢を使ってくる。


クリスの中で一番攻撃力の高い攻撃だ。


だが、これはチャンス。


僕は自身に重力魔法を使い体を重くし落下スピードを速める


「なっ!?」


クリスは驚き、矢は僕の頬を掠りながら後方に飛んでいく。


僕は着地と同時に距離を詰める。


クリスの矢は間に合わない。


「はぁぁぁ!!」


一刀両断でクリスを切る。


「WIN」


何とか勝てた・・・・・・。



「あはは!!お姉ちゃん油断したね!」

「そうね。ウィルの重力魔法の使い方が上手かったわ。」


アイリスとエリザベスが感想を言う。


「ふひゃひゃひゃ!!これまたいい試合じゃ!どうじゃ?」

「ん。クリス油断大敵。それを学べたいい試合だったと思う。」


だから何なんだ。お前たちは。

なぜそんなに上から目線なんだ。


「あ~~油断しちゃった。重力魔法をあんな使い方するなんて・・・。」

「あれがなかったら僕が負けていたよ。弓矢って厄介だね。」


本当にあれがなければ負けていた。

2戦連続運が良かったとしか言いようがないな。



いよいよ次はラスボスだ。

エリザベスには何度やっても勝てるビジョンが浮かばない・・・・。


「ふふっ。楽しみね。」

「いえ。全然。負ける気しかしない。」


「READY」


エリザベスはクリスと同じ遠距離タイプだ。


なら攻め方も同じ。

できるだけ動き、相手を翻弄して攻撃するだけだ。


「GO!!」


・・・・・・・・・・?


「ふふっ。どうしたの?攻めてきなさい?」


エリザベスは杖を構えたまま何もしてこない・・・・・。


怖い怖い・・・・・。


何で何もしてこないの?

あの天才は何を考えているの?

何で笑顔なの?

やっぱりあの人がラスボスだよ・・・・・・。


僕はゆっくり距離を詰めていく。


が、エリザベスは魔法をいつでも打てる状態を維持したまま何もしてこない。


お互いの距離は15m・・・・。


10m・・・・・・。

8m・・・・・・・。

5m・・・・・・・。


僕の間合いに入り一何もしてこないエリザベスに、一瞬戸惑ったが僕は一刀両断をする。


「はぁぁ・・・ぐふぉ!!??」


ぼくが剣を振るうと同時にエリザベスは半歩後ろに下がり重力魔法をを僕の剣にかける。


僕は疑心暗鬼で剣筋は乱れ、さらに剣が突然重くなった事で、エリザベスへの攻撃が躱されてしまった。


そして僕は剣を振り下ろしたまま顔面にエリザベスのアイスロックをもろに食らう。


「いった・・・・やば・・・。」


僕の目の前には脳震盪の文字と微笑むエリザベス。


僕は動けずに、微笑みながらゆっくり杖を振るうエリザベスを見ていることしかできなかった。


「ファイアウォール、ファイアーボール、アイスウォール、アイスロック」


「ぎぁぁぁぁぁ!!??熱い寒い痛い!!??」



女王様はそれはもう遠慮なく杖を振るっていなさった。

満面の笑みで。

ひれ伏した僕に向かって。


「WIN」


「ふふっ。ウィル。油断しすぎよ?」

「は・・・・・はい・・・・・・。」


こうして僕はエリザベスに何もできずに負けてしまった・・・・・・。



「ねぇ、エリザベスの重力魔法なんか私たちのより強くない?」

「それはそうよ。私魔法職よ?杖もあるし。それに皆がPVPしている間、こっそり重力魔法を使い続けて鍛えていたのよ。」

「何それずるいよーー!!」

「あら、勝負にずるいなんてないわよ。」

「「ぶーー。」」

「ふふっ。私の前では誰もがひれ伏すものよ?」


さすが女王様っす。

僕ひれ伏せられたっす。


「ふむ。やはりあの者は天才じゃな。」

「ん。ウィル油断しすぎ。お姉ちゃん相手にそれでは一生勝てない。」


ごもっともです・・・・。



この後クリスとアイリスが戦い、クリスの勝利。


エリザベスは二人に無傷で勝つ無双をしたのだった・・・。



「ふむ。皆いい試合じゃた。各々課題が見えてきたと思う。では次の実践訓練に移るとするかの。」


まだやんのかよ・・・・。

もう、くたくただよ・・・・。


「とりあえず、この先の泉の調査をしてきてほしい。」

「調査?」

「うむ。この先に泉がある。そこにはきれいな水が流れておるんじゃがどうも最近川の水量が少なくての。それを調査してほしいのじゃ。儂は最近腰が痛くて動けなくての。いてててて。」


嘘つけ。

さっきまでバリバリ動いてたじゃねぇか。

何急に腰痛もち設定にしてんだよ。

ばれてるぞ?


ーーーーーーーーー

クエスト【泉の水源を調べよう】


腰痛もち(?)のアランに代わって泉を調べよう。


報酬

10万G

天龍宝石でできたネックレス


ーーーーーーーーー


やっぱり嘘じゃねぇか・・・。

(?)になってるし。

まぁだがクエストならやるしかないか・・・・・・。


「わかったよ。行ってくる。」

「おぉ!!そうか。行ってくれるか。あのあたりのモンスターは、お主らよりLVが同等かそれ以上じゃ。気を抜く出ないぞ。「空間把握」は交代でできるだけ使いながら行きなさい。」

「「「「「わかりました。」」」」」


こうして僕らは久々に強いもんスターのいる場所に向かった・・・・。

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