第91話実践訓練その1

木曜日。


「良いか?重力魔法も雷魔法も古代魔法故協力じゃがその分扱いが難しい。すぐに実践で役にたたない。じゃから焦るな。人生焦っていいことなど一つもない。」


確かにな。

さすがに老人が言うと説得力あるな。


頭の上にたんこぶさえなければ・・・・。


強く殴りすぎたかな?


「じゃから、これからは実践訓練に入る。まずはお主ら同士で戦ってみよ。お互いの弱点を知るのもいい訓練じゃて。」


お互いで…か。

家族で戦うのはさすがに気が引けるな・・・。



「よし!!お兄ちゃん!!勝負だ!!」

「待って。お姉ちゃんが先よ!」

「ん。私もやるの?」

「私もウィルとやってみたいわ。」


え・・・?

なぜみんなやる気なの?

「家族では戦えないよ」みたいな感動のシーンはないの?

僕のしおらしさ返して?


「エリーゼはやらんでよい。さすがに勝てないじゃろう。その代わりみんなの弱点などを探すんじゃ。」

「ん。任せて。」


ということで始まりました家族対抗戦。


第一試合は、武器が剣同士の僕VSアイリス。


「お兄ちゃん!!手加減はなしだよ!!」

「はいはい。お兄ちゃん頑張ります。」


勝負はどちらかのHPがレッドラインになるまで。

ペナルティはなし。


「READY」


の文字が出る。


アイリスは大剣だ。

まともに受けたら剣が持たない。

だがスピードと武器の質はこちらが上。


スピードVSパワー。


剣士にとって永遠のテーマだ。


「GO!!」


僕は同時にアイリスに駆け寄る。

二人の距離は30m。

アイリスは立ち止まり受けて立つようだ。


僕は覚えたての雷魔法を剣にエンチャント。

そのまま近寄り10m辺りでかまいたちを使う。


「はぁ!!」


アイリスは魔力剣で僕のかまいたちをたたき切った。


マジかよ・・・・。

さすがに予想してなかった・・・。


が、雷魔法の影響でアイリスが一瞬しびれ、次の行動が遅れる。

僕は俊足を使いアイリスの左側面に入り込む。

と、アイリスの「空間把握」の範囲に入った感覚がする。


だがここで乱れ切りで一気に決めてやる・・・・・・。


「はぁぁぁ!!」


アイリスの雄たけびで今度は僕の体が一瞬固まる。

・・・こいつ、俊足の僕を見ないで「空間把握」で、僕の位置に的確に雄たけびしやがった。


これが廃ゲーマーか。

スキルを使い慣れてやがる・・・・・。


アイリスはすかさず一刀両断をしてくる。


ここで受けたら死ぬな。


硬直が剣が当たるより先に解ける。

が、剣は額のすぐ先だ。


僕はさがらず、受け止めず、しゃがみながら前に進みアイリスの足と剣の隙間に入り込む。

そのまま足を蹴り体制を崩させる。


「うわっっ!!」

アイリスは体制を崩す。


が、僕もしゃがんでいるので剣は振るえない。


僕はアイリスの腹部目掛け魔力脚で蹴る。


アイリスも体制を崩したまま片足の膝に魔力を集め、魔力脚を使う。


お互いの足がぶつかり、お互い吹き飛ぶ。

5mほどの距離を離し二人は着地する。


ダメージは五分五分。


二人の視線は交わり微笑みあう。


・・・・・これ楽しいかもしれないな。


「行くよ!お兄ちゃん!!」

「あぁ、来い。お兄ちゃんが受け止めてやる。」


アイリスは捨て身を使い攻撃力を上げ突っ込んでくる。

そのまま早斬りと乱れ切りをしてくる。


「うぉっ。」


僕の体目掛け大剣が振り回され、僕は剣を斜めに当てながら受け流す。


「お兄ちゃん!!受け止めてくれるんじゃないの!?」

「ごめん。これは無理。」


確実に真っ二つになってしまう。

だか捨て身を使ったアイリスの攻撃は全て受け流せず、だんだんダメージを受けてしまう。


僕は威圧を使う。

するとアイリスの剣が一瞬遅れる。


すかさず僕も捨て身を使い、乱れ切りと疾風切りを使って反撃する。


「わっわっわっ・・・。」


アイリスは剣を盾代わりにするが僕のスピードには追い付けない。

少しづつダメージを与えていく。


お互い残りHPは4割ほど。


(お兄ちゃん!!大好き!!)


突然頭の中にアイリス声が響き僕の動きが一瞬止まってしまう。

念話スキルだ。


こんな使い方するなんて・・・・。


「隙ありだよ!!お兄ちゃん!!」


アイリスは早斬りで兜割りをしてくる。


「なんてね。」

「えっ!?」


僕はアイリスが、とどめだと思い大振りになったところで素早く一刀両断で斬る。


「WIN」


僕の頭上に文字が出る。


「ああああ!!お兄ちゃん!!ずるい!!」

「はっはっは!!妹の考えることなんかお兄ちゃんお見通しさ!!」

「ぶ~~~。」


あっぶねぇ~~。

何とかお兄ちゃんの威厳を保てた・・・・。


あそこでアイリスが油断して大振りにならなかったら負けていた。

お兄ちゃんピンチだったんだよ?ほんとはね。


だがそんな素振りは見せない。

堂々としている。

お兄ちゃんの威厳の為に。

内心は汗だくだが・・・・・・・。



「ふひゃひゃひゃ!!実にいい試合だった!なぁ解説のエリーゼ殿。」

「ん。パワーとスピード。興味深いテーマの試合だった。」


二人はいつの間にかテーブルとイスを持ち出し、解説者気取っている。


なんか腹立つなあの二人・・・・・。


「二人ともお疲れ様、いい試合だったわ。」

「ほんとに。それでこそ「カンパニー」の点取り屋の二人だわ。」


特に二人の反省点もなく、アランの「精進せい」の一言で終わった。

なんだそりゃ?


だがやってみてわかったこともある。


アイリスの一撃はやはりとても重い。


だがその分隙がある。

当たり前だが。


パーティメンバとしてそのフォローをするのが 今後の僕の課題となるだろう。



次は、僕VSクリスとなった。


ぼくに休みはないようだ・・・・・・。


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