第62話地下坑道後編


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フェラール山脈地下坑道、ボスエリアに入りました。


エリアボス「隠れ上手なモブクモ君」との戦闘を始めます


尚ボスを倒すか、死亡するまでこのフィールドからは出られません

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「え~。こんなとこでかー・・・。」

「全くよ・・・。ほんとに隠れ上手ね。」

「ん。普通来ないもん。こんなとこ。」

「そうね、とりあえず戦闘準備よ。」


「わ、私はどうしたら?」

「後ろに下がってエリーゼの隣にいて。」

「わ、わかったわ・・・。」


スススススッッ・・・・・。


クモの糸でゆっくり2mほどのクモが下りてくる。


隠れ上手なモブクモ君  LV31


・・・微妙に顔がアホっぽい。モブだからだろうか・・・。

まぁクモは苦手だからいいか・・・。


僕は剣を抜き左右に振る。

ムーンライトソードは暗闇だと少し青く光る。

この光モンスターのヘイトを稼げる。


「モブモブモブ・・・・・。」


そんな泣き方か・・・・・。


「いくよ!!フォーメーションMB!」


MOBUね。久々に聞いたなアイリスのフォーメーション。

相変わらず意味はないが・・・。


「モーブー!!」


こちらにクモの糸を吐いてくる。

楽々躱せるが、糸が地面に張り付くのを見て食らったら身動きがとれなと悟る。


クモは一本の太い糸から離れないみたいだ。

火魔法を使えばあの糸は燃えるんだろうがここは洞窟内。煙るがこもり酸素がなくなるため使えない。そして、酸欠になると死に戻りする。

全くリアルに作ってあるものだ。


「アイスロック!」「トリプルアロー!」


クモ君の攻撃が僕の方に向いているすきに魔法と矢が飛ぶ。

いつもの戦法だ。


「モブーーー!」

見事に命中。この二人はほんとに外さない。


僕とアイリスがすかさず飛び掛かる。クモ君は「モブっっ!」と驚いたがスススっと糸を上り攻撃は交差し、空振りに終わる。


「お兄ちゃん!!」


アイリスはそのまま隣で剣の腹を上に向けキラキラと期待したまなざしでこちらを見ている。


お兄ちゃん、飛んでくださいと・・・。


僕は一瞬悩んだが、アイリスのキラキラした瞳には勝てず剣に飛び乗る。


「飛んでけーー!!」

大剣を大ぶりし僕を飛ばす。


はいはーい。お兄ちゃん飛んでますよーー。



「モブッ!?」


クモ君は突然飛んできた僕におどろく。

僕は通り過ぎるクモ君を切りつけ、天井に着地、そのまま糸を切り落とす。


「モーーーブーーー・・・・。」

クモ君はゆっくり涙を流しながら落ちていく・・・。

まるで映画のワンシーンのようにゆっくりと・・・。


わかるぜモブ君。

次に落ちるのは僕だからな・・・・。

「あーーーーーれーーーーー・・・・。」


当然天井に居続けられるわけもなく僕は落ちていく・・・。


真下でクモ君が大剣で切られている。


僕どうやって着地しよう・・・。


「ウォーターウォール」


空中にエリザベスの魔法で水の壁ができる。


「わっぷっ・・。」

僕はその中に落ち水の壁の下から突き抜け着地する。

水のおかげでダメージはほとんどなかった。


すぐさまクモ君を探すとクモの糸を天井に張り付け上っている最中だった。

「お兄ちゃ「もうやらないからな」え~~~」


えーじゃない。そう何度も妹に吹き飛ばされてたまるか。結構怖いんだぞ!


「なら・・・。」


クリスの声と共に矢が糸を断ち切る。


僕とアイリスは姉さんの凄さに驚きだ。


「モ、モブーーーー!?」


哀れなクモ君は再び落ちてくる。


すぐさまエリーゼがパワーブーストを皆にかける。

落ちる直前にクリスとエリザベスの魔法。

落ちてきたら僕とアイリスの猛攻撃。


クモさんのHPは一気にのこり一本になる。


「モブモブ!!」


クモが赤くなる。

湯でクモになる。

・・・・まずそうだ。というか気持ち悪いな。


クモ君はいたるところに糸を飛ばしていく。僕らは慌てて飛びのく。

クモ君の足場が空中に沢山出来た。


これはやりずらいかもしれない・・・。


クモ君は糸をゴムのように跳ねながら飛んでくる。

・・・・速い。

間一髪でよける。

「・・・クッ・・・」

よけた瞬間クモ君が次の糸を吐き、方向転換し、足が僕に掠る。


ハリウッド映画のヒーローのようだ。

クモ君は僕の周りをぴょんぴょん飛び回る。


僕はよけながらなんとか足を切る付けていく・・・。

右に左に飛び回るクモ君。

だんだん僕の周りにクモの糸が増えていく・・・。

まずいな。足場がなくなってきた・・・。


周りがだんだんクモの糸で覆われ、僕とクモ君の周りは真っ白になていく・・・。

まるで羽化する前の蛹だ。


だんだんよけきれずに体に足が掠っていく。


「・・・えいっ!!」

アイリスが繭のような糸の一部を切り開く。

やっと来てくれたか・・・。


クモ君はちょうどアイリスが切り開いたと時ころに着地しようとしてそのままつき抜ける。


そこにすかさず魔法と矢が飛び直撃する。


「隙ありーー!!」


アイリスがすかさず距離を詰める、が、クモの苦し紛れに飛ばした糸に捕まり、壁に張り付けになる。

「アイリス!!」

思わず僕は叫ぶ。


クモさんはもう一度クモの糸を飛ばす。

アイリスは外せずもがく。もう一度食らったら完全に抜け出せなくなるだろう・・・。


アイリスに糸が当たる瞬間何かが飛び出してきて攻撃を食らう。


アイーダだ。


アイーダはアイリスの隣に張り付けにされる。

が、アイリスの場合、かすり傷のようなものだがアイーダはまだレベルが低い。

HPはみるみる減り・・・ギリギリで残るが赤く点滅している。

HPは二割を切ると赤くなる。


クモがすかさずアイリスたちに近づく。


クモ君は速く、僕は追いつけない。

クリスとエリザベスの魔法が飛ぶがあれでは倒せない・・・。


絶体絶命の二人。

クリスの矢が先に当たりクモ君は少しひるむがまたすぐに走り始める。

エリザベスの魔法が当た・・・らずクモ君を通り過ぎていく。


外したっっ


そう思ったエリザベスの「ファイアーアロー」がアイリスの糸に刺さり糸を燃やしていく。


アイリスに多少ダメージが入るが気にすることなく体の体の糸をちぎっていく。

最後に剣に絡みついた糸に炎が灯ったとき、アイリスとクモ君は交差する。


燃えた大剣を構えるアイリスを残し、クモ君は消えていく・・・。


くそ。かっこいいじゃねぇか妹よ。

燃える大剣ってなんだよ。

男の子なら憧れる奴じゃねぇか・・・。


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フェラール山脈坑道エリアボス、「隠れ上手なクモ君」が初討伐されました。


初討伐につき、パーティメンバーとクラン名を全プレイヤーに公開しますか?


Yes/No


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クラン「カンパニー」が、フェラール山脈坑道エリアボス、「隠れ上手なクモ君」が討伐されました。

討伐パーティーは、パーティー初討伐ボーナスにより通常よりも豪華な報酬になります。

おめでとうございます。


今後ともAOLをよろしくお願いします。


それでは皆さま


よい人生を


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僕の嫉妬と共に空間は揺れ元の空間に戻る。


その後僕らはたくさんの鉱石を採取し坑道を出る。

因みにアイーダは新規プレイヤの為名前を公表するとPK対象になりやすくなるという理由から伏せておいた。

本人は納得いってない様子だったがしぶしぶ了解する。


「アイーダ!!さっきはありがとね。助かっちゃった!!」

「フ、フン!当然じゃない!パーティメンバーだったんだし。それにあなたの燃えてる剣で切るところ・・・その・・まぁまぁカッコ良かったわよ・・・。」


素直じゃいやつだ・・・。


「ね、ねぇ・・・・・。」


アイーダが突然立ち止まり顔を真っ赤にしている。

なんか怒ってる・・・?


「あ、あなたたちを私の友達にしてあげる!光栄に思いなさい!!」


真っ赤な顔をしたアイーダに僕らは噴き出す。


「な、何がおかしいのよ!?

「くくっ。あのなアイーダ僕らはとっくに友達じゃないか。」

「・・・・えっ?」

「ふふっ。そうよ。さっきフレンド登録したじゃない。」

「そうね。それがなくてももう友達だと思っていたわよ私たちは。」


「・・・ほんと?私お友達になっていいの・・・?」

「ん。当然。もう友達。」


「ぐすっ。お友達なんて幼稚園の太郎君以来だわ・・・・。」


誰ですか?太郎君とは・・・。


「アイーダ言ってたじゃないか。「ここは何者にもなれるAOLの世界」だって。皆求めれば何にだってなれるんだよ。アイーダが僕たちと友達になりたかったらなれるんだよ。僕らはアイーダと友達になりたい。アイーダは?」

「ぐすっ。な・・なりたい!!」


「アイーダ!!よろしくね!」

「ぐすっ。えぇ。えぇ。皆さんよろしくお願いします。」


こうして僕らはアイーダと友達になった。


「ぐすっ。ねぇ、じゃあクランにも入れてよ。私だけ仲間外れなんて許さないわ!!」


僕らは少し悩んだが断りずらく了承した。


なかなか濃いメンバーがそろってきたな「カンパニー」は・・・。


「ねぇ、ところで「クラン」って何するところ?」


・・・・今後はさらに忙しくなりそうな予感がする・・・・・。

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