第22話ジィジと爺さん
「もしもし?弥生が電話してくるなんて珍しいこともあるのね。」
「遅くにごめん。ナギって生産職なんだっけ?」
「そうよ。薬師になったの。派生先の錬金術師になりたいの。
「錬金術師?なんか意外だな。」
「そうかしら。錬金術師になって女が男になる薬を作れないかなって。そしたら世の中男だけになって世の中腐らすことができるじゃない?」
あぁ。そういえばこいつ、こういうやつだった。
「やめろ!どこの魔王だよ。怖いわ!」
「あら、そうなったら世の中平和になると思うわよ。」
ならねえよ。少なくとも僕は幸せにはなれそうにない。
「それでナギ。生産職のお前に頼みがあるんだが、いい鍛冶師を紹介してくれないか?」
「あら、世界平和の話はおしまい?残念。鍛冶師ならタクに聞いたほうが早いわよ。」
「それは世界平和じゃなくてBLの話だろ。ん?なんでタクなんだ?」
「しらない?ALO第一陣は私たちみたいな関係者に頂いた人が100名。ほかのゲームのトッププレイヤーを100人招待されてるの。」
それは知らなかった。
「でね?タクは両方から声がかかってたの。まあ知っての通り関係者からにしたけど。つまりタクは他のゲームのトッププレイヤーとの伝手があるはずよ。」
あいつ、意外とすごいんだな。勉強はできないくせに。
「そういうことね。確かにそれならタクに聞いたほうがよさそうだな。ありがとう。助かったよ。」
「かまわないわよ。その代わり錬金術で使えそうなものは私に売ってくれないポーションとか安くしてあげるから。」
「いいよ。明日にでも連絡するよ。」
「わかった。明日は一日中ダイブするつもりだからいつでも連絡して。私思いのほかあの世界にはまっちゃったみたい。」
「わかった。僕もだよ」
プルルルル・・・・
「おい!メッセージみたか?俺たちが一番に倒すつもりだったのに!くそっ!どこのどいつだよ!」
なんで僕から電話したのにお前から話すんだよ
「あー、悪い。それ僕達だ「はぁぁぁぁ!??」うるさっっ!」
鼓膜が破けるかと思った。
よく初日にあいつたおしたな。・・・いやユイちゃんに美和さん、山下に香織さんパーティだっけ?あのちーと4人ならありえるか。」
確かに4人は存在がチートだ。
「まぁそう言う事だ。所でお前、クマさんと戦ったことあるのか?」
「あぁ。お前との電話のあと3人で挑んだんだが飛び蹴りで一発koだ。攻撃力高すぎ!ありゃ盾職泣かせだわ。」
お前あれを受け止めようとしたのか。
「ありゃ受け流すかかわすしかないな。所でお前。なんの用事だったんだ?」
忘れてた。
僕は事情を話しいい鍛治師がいるからと連絡してもらい、明日会うことになった。
「明日その時間に俺たちも行くからフレンド登録しちまおうぜ!」
「お兄ちゃんおわった?」
「あぁ、いい鍛治師を紹介してもらえそうだよ。そっちは?」
「今終わった所!」
ユイと姉さんには、掲示板にボスの事を書いてもらった。
じゃないと思い色々厄介になるとか。
こうしてALO初日を無事終えた僕らは就寝した。
「おはよう、弥生。ALOはどうじゃった?」
「お早うジィジ。たのしかったよ。っと言うかやっぱり気になるんだったらやればいいじゃん。」
「ふん!!家族サービスもろくにせんで死ぬまでゲーム作っていた奴の作品なんかやらん!!」
「ほんと似た者同士だよな、2人って」
「にとらん!ワシの方がかっこいい!!」
「朝から何大声出してるんですか?近所迷惑ですよ。」
「ここに近所なんかないじゃろ!山の中だぞ!」
「貴方の声は大きいのだから天までだって届きますよ。きっと今頃哲二さんだって笑ってますよ」
「ふん!死んだ奴が笑うもんか」
ジィジは怒って離れた場所の掃除に向かった。
「おはよ、弥生。ゲームは楽しかったかい?」
「おはよばあちゃん。楽しかったよ。ジィジやっぱり機嫌悪いね。」
「やっぱりさみしいのよ。昨日の夜もこっそりとパソコンでALOのHP観ながらお酒を飲んでいたもの。」
ジィジと哲二は親友だった。
お互いが、お互いの家族の事を本当の家族の様に接し、まるで僕達にはおじいちゃんが2人いるみたいだった。
哲二は忙しい中も家族に会うよりジィジと会い酒を飲み交わしていた。
そんな親友が突然の病気で倒れた。
そして死ぬ間際。最後の言葉がジィジに向けた「家族を頼む」だった。
ジィジは黙って頷いていた。歯を食いしばりながら、ゆっくりと、そしてハッキリと。
千紗の父親が、良ければALOをやって見ませんか?と提案したいが頑なに拒否。
理由を後でおばあちゃんに聞いたら「あのアホに家族を頼まれたのじゃ。ワシは一分一秒でも長生きして、あいつの分まで家族を見守る義務がある。寝たきりのゲームなどやってたら体が鈍ってすぐ死んでしまうわい。」と言っていたそうだ。
全く、かっこよすぎだろ。2人とも。
その後軽く喋り最後に「明日から梅雨が始まるみたいだから雨の日は来れない」と言って僕は帰路に立つ。
ウィルとの足の速さのギャップに少しとまどいつつ、すぐになれる、と言い聞かせて。
「ただいま。」
いつものシャワー、何時もの朝食にいつもの家事。
全て終わった時には9時半を回っていた。明日から雨予報なので布団なども干せるだけほしたからだ。
流石に布団を干すのは2人にもやらせた。
凄く嫌そうな顔をしていた。
じゃあそろそろ行こうか。
「「「ダイブイン」」」
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