第23話Mr.とレヴィ
「プレイヤーの皆様お早う御座います。
先日いくつか同じ質問メールが来たのでお答えしたいと思います。
他の街に行く場合高い確率で存在するエリアボスを討伐しなければ通る事が出来ません。
しかし一度、どなたかのプレイヤーが討伐すれば戦わなくても通れる道が発生します。
こちらは現地人が交易の為利用する道になります。
勿論エリアボスと戦い通る道もあります。
そして必ずエリアボスを討伐しなければいけない場所もあります。
どの道へ進むかは自由です。
今後ともALOをよろしくお願い申し上げます。
それでは皆様
良い人生を。」
ダイブすると運営からのメールがきていた。
これは戦えない生産職の人が用の救済処置だろう。
転移ポータルは一度触らなければそこに転移出来ない。
「あら、おはよ。待たせたかしら?」
「おはよ。」
エリーゼとエリザベスだ。
「すごい待ったわよ。二時間はまったわ。」
「ホントだよー!五時間は待ったよ。」
それはおまえらが悪い。
2人の頭を叩き、謝らせる!
「おー!あれじゃないかな?」
「おっ、いたいた!お早うみんな。」
「・・・おはよう。お久しぶりです。」
加奈、タク、ユリがやってきた。
タク「オリバー」は真っ赤な髪に真っ赤な瞳背中に大きな盾を背負い腰には片手剣。
加奈「ライリー」は緑髪の短髪に、緑の瞳。背中に斧を背負っている。
ユリ「リタ」は真っ赤な髪に真っ赤な瞳背中に大きな盾を背負い腰には片手剣。タクと全く同じ。
昔からユリはタクの真似をし隣に立ちたがる。
「あっ、ユイユイだ!やっほー!」
「加奈ちん!久しぶり!またうちに遊びにきてよ!」
カナとユイは昔から仲がいい。
「あの、お、お久しぶりです」
「・・・久しぶりね」
顔を真っ赤にして香織さんに挨拶するタクと、メンドくさそうに返事する香織さん。
香織さんは興味ない人間には冷たい。まぁほとんどの人間に興味ないが。
「あの!お久しぶりです・・・」
「あら、久しぶりね。また綺麗になったわね。さっさと手綱握っちゃいなさいよ。」
「ありがとうございます。分かってますよ・・・」
香織さんを睨みながら話すユリと涼しい顔して話す香織さん。
香織さんは前にユリに興味が無いが顔は悪くないと言っていた。
一応フォローしとくが香織さんは昔は明るく無邪気な人だった。千紗もだ。
だが昔から容姿が群を抜いて良かった2人に対して、ただ綺麗だからという理由だけで攻撃してくる女子は多かった。そして男子はことごとく振られ、女子に乗っかり嫌がれせするもの、味方のふりして更にしつこく言いよるもの。興味なさそうに振る舞いさりげなく距離を縮めるめんどくさいものも現れた。
僕は出来るだけ彼女達の力になり、更に攻撃していた主犯グループの親が山下グループの人間だった為おじさんが激怒。
主犯グループの親はクビになりかけ子供達を命がけで説得した。
当然だ。社長の娘たちを綺麗という理由だけで過度な嫌がらせや、ありもしない嘘を流し続けたのだ。
学年集会で主犯の男女は全てを話し、謝罪。
無事事件は解決、彼等の親も首の皮一枚繋がったそうだ。
ただそれをきっかけに2人の性格は変わってしまった。そしてそれを助け、力になってた僕らもまた少し変わったと思う。
「オリバー。さっさとフレンド登録して鍛治師のとこに行こう。そろそろ待ち合わせの時間だろ?」
「あ、あぁ。そうだな。で、では香織さんから・・・」
全く振られたくせによくやるな。
隣見てみ?ユリの顔を。
片目を潰されたクマさんより怖い顔してるぜ?
僕らはフレンド登録し鍛冶場に向かった。
鍛治職人は自分の店などを持つまでは、時間制の有料鍛冶場で作業をする。
値段は上がるが個室もあるそうだ。
「うわぁー。あっついとこだねぇ。」
「あれ?ナギがいる。」
鍛冶場は思っていたより暑かった。
このゲームはAIだけでなく五感までリアルに感じることができる。
ナギは鍛冶場の端のベンチで一人で真剣に汗水垂らして鉄を叩く男達を見ていた。
「おいフランチェスカ。なんでこんなとこにいんだよ。」
「あらオリバー、みんなも。何って決まってるじゃない。汗水かいて働く彼等はライバルであり、仲間なの。そんな彼等の距離は少しづつ縮まりそして気づけば恋に落ちてる。そして絡み合うの。そんな素敵な未来を想像してたのよ。」
彼女はブレない。
深い紫色の髪と瞳が似合っていて容姿は綺麗なのだが、腐女しだ。
実に残念だ。
みんなも似たような顔をし、香織さんだけは笑っていた。香織さんは彼女はおもしろいと気に入っている。趣味は合わないと言っていたが。
「あっ、MR.スミス、レヴィ、こっちこっち!」
「待たせたね、あんたらが依頼者かい?こいつはMr.スミス、ドワーフて武器職人で腕はいいんだが見ての通り無口なやつだ。私はレヴィ。防具職人だ。私は腕もいいし見た通り美人だ。よろしくな。」
タンクトップに短パン、腰に上着を巻き、頭にタオルを巻いたポニーテール。いかにも鍛治職人の女という感じの格好だ。因みに巨乳だ。スタイル抜群の巨乳だ。
エリザベスも大きいがそれ以上だ。
因みにエリーゼとクリスは歳相応、アイリスは・・・笑顔が天使だから別にいいのだ。
Mr.スミスは無精髭にオールバック。白い和服を着ていて昔ながらの職人といったとこだ。
僕らは奥の一番広い個室に案内される。二人はここで作業している。
「二人はオレが前にやってたゲームでも同じ職業でその腕の右に出る奴はいなかった。ただ二人とも客を選ぶから一見さんお断りなんだ。そしてどのギルドにも属さなかったんだ。」
「あっはっはっ。そうだったねぇ。なんだかもうあの家が遠い昔の様に感じるよ。」
「家っていうか洞穴って感じでしたよ。」
「洞穴?」
「2人はトップ人しかいけない様なフィールドの山の洞窟の中で作業してたの。」
「その方が都合が良かったんだよ。めんどくさい客が来ないからね。」
それでも山の中とは変わってる。
「それで?タクの紹介で私達への依頼という事は森のクマさんの素材で武器を作ればいいのかい?」
僕は驚きタクを見る。
「あっはっはっ。きみは分かりやすいね!ダメだよ?簡単に情報をバラしちゃ。」
彼女は一枚上手の様だ。
「あまりうちの子をいじめないでくれるかしら?」
「ごめんごめん。余りに可愛くてついついね。私は構わないよ。条件があるけど。スミスはどうする?」
「・・・誰のだ?」
ボソッと聞いてくるMr.。
「えっと、僕の何ですが出来れば全員分お願いできれば。」
Mr.は壁に立てかけてある沢山の武器を指差して
「・・・3本選んで、振りな。全員だ」
と呟く。
僕らは様々な武器から選ぶ。
「・・・もういい。手を見せろ。」
レヴィを見ると頷くので、僕らは一人一人手を見せる。ゴツゴツした手で僕らの手を触ったり裏返したり握ったりするMr.。
職人のその手に少しカッコいいなと思う。
全員が終わると
「・・・最後だ。・・・お前らは何のために武器を振るう?」
僕らは目を合わせるがMr.の真剣な眼差しに冗談ではない事を悟る。
「はいはーい!アイリスは、皆を守って全てを切り裂き勇者になるのだ!」
「私はそうね。皆んなを守るためだけど誰にも負けない弓使いになりたいわ」
「私は邪魔物を排除して楽しく過ごすためね。」
「ウィルの為」
それぞれ即答する。
僕はなんだろ。
「僕は、そうですね。パーティメンバーを守るためがやっぱり第一です。後はこの世界を見て見たくて。ですかね。森のクマさんと戦った時ゲームであるのを忘れて、本当に死ぬかと思いました。そして倒し武器が砕けた時、このままじゃダメなんだなって思いました。生きるためには、より強い武器、そしてそれを扱う自分自身が強くならなきゃって。じゃなきゃ皆んなを守れないから。」
話が長くなってしまった。
そして訪れる静寂。
誰か喋って!!
なんか真剣に語ったのが今更恥ずかしい!
「・・・わかった。俺からは以上だ。」
そう言って黙るMr.。
「ん。私からはまずは皆んなの属性、戦い方、何処を重視でするか、後は体をはからして!」
僕らは素直に話し、体を図る。
勿論女子は別室でだ。
「なるほどなるほど。それじゃ素材を見せて頂戴。」
クマさんの素材、魔石、他の骨や素材も一種類ずつ出す。
「やるほどなるほど。良いわね!さてさて、最初に行った条件の件に移るよ。これだけだと防具は足りるけど武器の素材の鉱石が足りないの。なので北西にある山に鉱石を取りに行く手伝いをして欲しいの。勿論Mr.もいくわ。」
山は森より敵が強いがいい鉱石が取れるとのこと、しかしタクたちのパーティでもそこにはいけないため、クマさん討伐者の僕らだそうだ。
勿論断る理由はない。
「大丈夫です。」
「そう来なくっちゃ!スミスもそれでいいわね?」
Mr.は黙って頷く。
その後、フレンド登録をし午後から行く約束をする。
因みに行くつかの素材を売り、必要の無いものはギルドで売った方がいいとのこと。
「そういえば僕武器が無くて何か安いものありますか?」
するとMr.が迷わず一つの武器を渡してきて、貸してやる、と呟く。
その一本は先ほど選んだ中で一番しっくりくる兼だった。
「借りてきなさい。そして料金は不要だわ。勿論今回の武器や防具に関しても。その代わり護衛費はタダ、あとはドロップで生産素材になる物は私達、後は貴方達の分杯でお願い。いいかしら?」
「それで良いわ。その代わり良いのをお願いね?」
「勿論よ。個々にあるのはALO内現時点で最高の素材よ。そしてまだ誰もいけてない山に鉱石を取りに行く。どうやったって良いのになるわ」
「それは助かるわ。私がつまらない武器を持つなんて嫌だもの。」
エリザベスとレヴィは笑い合っていた。
気があったのかもしれない。
良い雰囲気に長い付き合いになりそうだと感じる。
その後僕らは鍛冶場を出て素材を売りにギルドへ向かう。
良い人を紹介してもらったな。
「ねぇ、ウィル×オリバーもいいけどオリバー×Mr.も良いと思うのだけれどどうかしら?」
フランジェシカは相変わらずだった。
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