第13話

「ほ、本当に売ってる・・・」

景色 著 白草レイラ

「レイラさんの苗字って、白草って言うんだ」

一緒に来ていたアカリも驚いているようだ。

「・・・・・・」

私は思わず考え込んでしまった。

「・・・?シロどうしたの?」

「ううん、ただ私の前で仕事してないのに、いつお仕事してるんだろうかな、って」

遊園地の時も少し眠たそうだったし。

「だったら1回レイラさんのお部屋でお泊まりしてみれば?レイラさんの生活ローテーションくらい把握しておきたいでしょ?」

「そうしよっかな・・・え・・・」


「お泊まり会なんて何年ぶりかなー」

レイラさんが布団を運びながら言った。

「よく私の分のお布団ありましたね」

「そりゃあもちろん、いつシロちゃんがお泊まりに来てもいいように準備しておいたんだよ!」

(よかった。レイラさんの迷惑にはなってかな)

「さあシロちゃん!早速恋バナしようよ!」

「えっ、まだ10時ですよ」

「何を言ってるのシロちゃん?もう10時だよ、恋バナを始めるには、少し遅すぎたかもね」

(一体何時間恋バナする気なんだこの人)

「シロちゃんは好きな男の子とかいるの?」

「いません」

私ははっきり言った。

「・・・恋バナ終了!」

「レイラさんのお話はないんですか?」

「だって私、友達すら少ないんだよ?まず知ってる異性が数える程しかいないの」

「あの・・・レイラさんにとって私、って何ですか?」

友達の話になり、私は私が答えられなかった質問を問いかけてみた。

「私にとってのシロちゃん?」

「そうです」

そう言うとレイラさんはしばらく考え込んでしまった。

「あ、あの、無理して答えなくてもいいですから」

「大丈夫、わかったよ。私にとってのシロちゃんは・・・シロちゃんだよ」

「どういう意味ですか?」

「そのまんまだよ。大事な人であり守るべき人で、でも本当はただのご近所さんで。それを一言で言い表すならシロちゃんしかないでしょ?」

きっと彼女は誰も傷つけられない人間だ。

ほとんどの人とは一定の距離で接し、何かを守るためには自分を傷つけることしか出来ない弱くてカッコイイ人なんだ。

「大好きだよ、シロちゃん」

「私もレイラさんのこと好きですよ」

布団の中で彼女が手を握ってきた。

「私にとっても・・・レイラさんはレイラさんですよ」

「・・・・・・」

(レイラさん、寝たな)

ここぞという時に聞いていないレイラさんに飽きれながらも、これもレイラさんの魅力なんだと感じ私も眠りについた。


「んっ・・もう朝か・・・」

私は普段とは少し違う部屋に戸惑いながら、身体を起こした。

(レイラさんは・・・もう少し寝かせとこ)

私は持ってきた服に着替え、キッチンでエプロンを着けると朝食の準備に取り掛かった。

(結局、普段のレイラさんのことは全く分からなかったな)

でも何かを感じたシロであった。

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