第30話 花酒屋


きりもりきりもり、せっせせっせと。


透けてしまったら、切り倒された大木と変わらないですからね。

森林伐採ですよぉ。


地球に危機迫る日常は、異常な興味と束縛から生まれて、ムダな情報を家に詰め込んだ、ふんずまりコレクター。


必要に迫られなくても、必要としてしまう非常に危ない状態で、食べる為にと、フンコロガシが、砂の上を駆け巡り、ひたすら走って生き抜いている。



森を再生と陰を怖がらず、森を。


田畑には稲に変わってスミレやマリーゴールドの花々が咲き広がり、周りをぐるっと眺めてみれば、深い緑の山の中。


田園風景の所々に、ポツリポツリと小さな山。ポツリポツリと細い畦道。



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過疎化が進む田舎町。

年配の人々が目立つ。

ゆっくりとカゴを押しながら帰るおばあちゃん。


縁側で日向ぼっこ

清流の釣り人

白鷺が空へ

人の歩く姿はまちまちだ。

その町に必要なモノ。


国道沿いでは、煙突から黙々と煙りが昇る。

スパイス工房に入り、店の人に

「町へ来ませんか?」と声を掛けた。


町を花で埋め尽くすのだから、スパイスになる草木を育てるにも良いだろうと思ったのだ。


しかし、人もまばらの小さな町に、はいそうですかと、すぐに良い返事はもらえなかった。


町には何が必要?


若者達は物凄いスピードであらゆる情報を吸収し、消化していく。


自分で形にする力。表現力も豊かだ。


行動力もあり、自ら各々の感性を持ち動いている様だが、何か

―――足り無いのだ。


スパイス工房の主は

「私はここで三十年。革新的なことでもするのかい?この通りで絵を飾っとくと、皆楽しんで見て行ってくれますしね。

あんたも、ほら来てくれたじゃないか。

スパイスに出会ったろう。」



目の刺激と香りの誘惑。

わざわざでも無いが自然と足がここへ向いた。

人々はきっと…。




-----------------------それはもしや、


潜在意識が働いて------------------------。



ニュージーランドは、人間よりも羊の数が多い。


美しい町を訪れる観光客は毎年沢山いる。


私は、まずピンクの桜の木を植える事にした。

その次には雨でも美しいあじさい。


青、赤紫、緑と新色もある。



その次は、小さなトンネルの回り。

ここは、蔓でからませたフジの花。


山葡萄も良いだろう。

山の尾根には、いちょうが良い。


山が黄色に染まるのだ。



スパイスの花も咲かせよう。

コリアンダーやディルにペッパー。

カモミールやウスベニアオイ。

ラベンダーとスペアミントで

タイムとベルを鳴らしたら。

時計草が花開く。



隙き間のある土地、土地の路地。

道端にタンポポ。


町の入り口に金木犀。

キンセンカの花。


盃で、お客様を持て成せば、

スパイス工房、花酒屋。

           

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冷戦ヲサヲサシ コンテスト 牧野 ヒデミ @makino-hidemi

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