第23話 一紙半銭


一紙半銭


ワズかな分量の例えに、紙一枚と現代では1円の半分。


紙はあっても銭は無い。


無かった時に、紙一枚でも助かった訳である。


それでもいいからと価値を付ける。

これは今でもある事だが、家財の差し押さえと言われると、紙一枚で納得してくれた時代に比べれば、人の情けは何処へやら。


惜しむ程のしわんぼうは、紙一枚をどうするのかと聞けば、匠な筆さばきで書画を描き、一枚の小判と引き換えた。


少しの時間で大きな収益を上げたのである。


「ちょっと待って下さい。」

と、言ってる時は、ほんの少し待っていて欲しい。


短気は損気ソンキ。焦りは禁物。


体調不良を訴えていた染目木さんは、溶連菌ヨウレンキンに感染していた。


菌に汚染された食品が原因では無いかという話だった。


その後、悪化し急性糸球体腎炎キュウセイシキュウタイジンエンを起こし1ヶ月入院した。


今回のこの食品は輸入品でもあり、保管状態にも不備があった。


風邪もひかぬどころでは無く、入院騒ぎだ。



原因の食品が何であったのかがはっきりと判ったものの、国内でも実は溶連菌という感染病は頻繁にあるらしい。


抵抗力のない小さな子供が感染するのである。


「抵抗力があれば大人は感染しないとは言うけど、菌を持っている食品だと思うと食べたくは無い。

知らず知らずに食べてしまっている可能性はあるねぇ。」


「古手川さんも行きつけの店ありますけどハシゴするんですか?外食が続くと、何処の店の何処の料理なのかわかりませんもんね。」


野々美ノノミはグルメ情報の収集と意気込んでいたが、注意を必要とするターゲットになる店には行きたくは無い。


「野々美さん、この店行ってみますか?」


古手川は古本のグルメ雑誌を広げて探し始めた。


「嫌ですよ。そうくると思いましたよ。命懸けじゃ無いですかっ!古手川さん。」


「放射能は我々の身近にも存在すると。」


「ぺミカンにする技術があるのに、何故細菌があるのか・・・。」


善堂はそう言うとすたすたとが前に立ち、

「保管の体制にクェスチョン?!」

ホワイトボードに書き込んでいく。


「はいっ善堂さん、缶詰めのサイズが小さいと思います。」


「はい。他には?次、茶見子さん。」


「常温から赤道直下へ。温度差で味が変わっていますよ。」


「いっ時置いておく場所、保管場所の環境問題ですね。」


「いいですか?ごほん。とすると、店舗のスペースが狭いってことですよね。自分の動きに合わないスペースで仕事をしているとそうなるのではないでしょうか?」


「リフォームでは無く、根本的に狭いと思うわけね。京響は。」


「スペースチェックをすればいいのかもね。歩幅とか足の長さも。店内が乱れてきているのですよ。」


「お客さんの回転を良くする為にテーブル席を広くして、作業スペースを狭くするから、それを得意な人とそうで無い人がいる。

自分でどっちなのか気づいていないんですよ。善堂さんは背が高いから解りますよね?」


「・・・・。しかし、細菌系の病気なんて、私が子供の頃は風邪くらいでそんな溶連菌なんて初めて聞きましたよ。染目木さんも、『全く訳がわからない。』って最初驚いていましたよ。『ちょっとテロリスト匂いますよね』って言ってたし。」


「マスク社会で日常過ごして、フェイスブックでポートレート写真ですよ。」


「外で顔認証機能があっても、使えないじゃない。」


「そうだよね。若いうちに半分顔を隠して過ごしちゃ、勿体無い、もったいない。」

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