第22話 カズアワセ
古手川さん、追及してくると、無限化と同じになりうる可能性がある。
そこでストレスを感じてしまう時があるのなら、例えば―――、
勝ち負けではないのだけれどね。
誰も文句も言わないマイバッグ。」
「オリジナリティで仕事になれば、
挑戦してくる相手だって研究してくるでしょう。」
善堂さんは、風呂敷の端と端を結び合わせ、古手川さんからのお土産の焼売を包んだ。
時間は19時。日も暮れてオフィス内では少しひと段落という所。
「あって便利な物ですが、オリジナルのアレンジで品数の多さか、究極の質の良さかと、一生物、なんだかんだ生き残りをかけ、先を読んでくる訳ですよ。」
「あらあららと、怒られたら、ワナに変わる危険性があるねぇ-。年齢対象と考えて、本来は作られていたが、最近は子供が大人っぽくなって、大人が子供っぽいよね。
だから、商品の売り場を変えてみるとどうなの?」
古手川さんは、携帯電話をハンカチで包み込む。
「どういう事ですか?古手川さん、作らずに移動するという事ですか?」
茶見子は焼売の醤油差しを取り出して焼売を皿に乗せた。
「大人っぽい物を子供っぽい物と並べて販売してみますか。最近のお菓子売り場がそういう雰囲気ですよね。」
「善堂はすぐに動こうとするけどね、商品探しも大変ですよ。動体視力鍛えなきゃね。ついでにと丁度いいと思えるのであれば、健康グッズで『目の筋肉を鍛える眼鏡』なんかはどうでしょう。」
「京響さん、いつの間にそんな商品を考えていたんですか?」
「私はね、鮫のDNAで歯が生えてくればと考えたよ。」
「古手川さんまで何を言い始めるんですかっ!」
「歳を重ねると食への不安がでてくるの。諦めたくはないと。最近胃がもたれてくるからね。」
「身体の比率を合わせると言いますか、内臓を鍛えて胃の細胞壁を厚くする事で味に深みのある食事が食べられる。ヨーグルトドリンクで胃に膜を作る人っているじゃないですか。
胃の粘膜の保護ドリンクなどあればね、体力もついて重厚な皮製品の鞄も持ち歩けると。鍛える事ですよ。
まずは身体をどっしりと。
濃厚なワインと牛の頬煮込みetc......思う存分味わえますよ。」
「善堂さん、その液体、私にも下さい。」
「日本人の魅力はしなやかさにある。身体も軽いでしょ。」
「古手川さん夢野久作好きですもんね。ヨーロッパの人って5月に入ったところで日本の海岸で泳いでいます。」
「細胞壁を鍛えることで寒くなくなるんですね。」
「茶見子はメジャーリーグを目指してゆくのか、着飾ってゆくのか。」
「京響さん、マイナーであっても草野球に着道楽。どちらも簡単にはできませんけれど。」
「しかし、ターゲットが4つに絞れたじゃないですか!」
「どうしたんだよ。善堂、興奮して。」
「いえ、ちょっと救いたくなったものですから。」
派手にでっかくメジャーデビューを果たし、その後どれだけ定番になるのか。
飛びつかないのは、お客さんがかなーり先の事をお考え。
考えられずにはいられない時代となっております。
メジャーであろうがマイナーであろうが合理的にを求める。
合理的にを真理的に考えると有名であり公式的である事を望む。
崩壊が起これば早急な対処を。
心の落ち着きが減ったと?
「安定を物品にも求めているという事です。」
善堂さんは風呂敷を背負って、非常口を指した。
「気軽さは不景気でも景気が良くても変わらないのではないでしょうか?」
「京響さん、逸品を求めている人が増えれば単純に潤ってるって。」
「天引き貯金で賃金運用型企業はリスクを伴った時に、救ってくれるんですかね。」
京響さんは、お茶をカップへ注ぐと一気に飲み干した。そして善堂にも渡すと、今日の資料をまとめ始めた。
「勿論でしょう。急いでいませんから。」
「貯金箱を作ろうか?」
「古手川さん、社員数が多ければいいけどうちの会社じゃ忘年会までの資金で使い切ります。」
「災害用にとどこまで、必要性があるか・・・。
買い物にも冒険できませんよ、なんだか。」
「京響さん、だから、あって便利な物。なのですぐには不用品にならないでしょ。」
「消耗品ですよ。保管はもうそれぞれのお好みですから、こちらは管理しませんので。装飾品とは違います。」
「そこですよ。大事な一生物を欲しがられた場合。
作っているのに・・・。違うと言われたら、欲望で争いが始まるのです。」
茶見子は深い溜息をついた。
「数が増えれば増える程、争い始めるのなら、
やはり良い品物を作り上げて行くのがBEST。」
「カズアワセ?」
「車両を作るの大変だからね。私鉄とか。」
「一両編成だけでも、そうとう大変ですよ!」
「将棋に似てるなぁ。」
「相手の出方を待つという時って、やはり、先に回っていたいからでしょうかね。勝負ごとでは負けたく無いと、ある意味『ワナ』を仕掛けてくるワケです。」
「京響さん、人間は考えますから。
待つのは結果と思いますが、時間は待ってはくれません。」
「そうですよね。レールに乗って、旅行に行くのは、その目的地が決まっているから便利なもので、それは、道具の一つなのですから、そうでなければまぁ困る。
しかし、他人のレールに置かれるのは、ちと困る。」
「で、その他人が、怒る訳だねぇ。」
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