第16話 売って安山 2


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売って安山 2

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基盤を作っている人。他、考えて繋げている人達もいるわけですから。小物をね・・・。

こつこつ作って生活しているわけですよ。こつこつ作って生産しても、仕事が減ると・・・その人達も―――。

頼ってばかりで、どうですか?


「いやぁ、良い物がね。ヒット作が出ればねぇ。うーん・・・。」


「大手にはかなわないですよぉ。」


「しかし、流行ると、皆同じもん持ちたがるからなぁ。」


古手川コテガワさんと善堂ゼンドウさん、そして安山アンザンさん三人は、ヒット作について話し合っていた。


「我慢して欲しいですよね。欲しくても我慢してる人っているじゃないですか?

売る方も作りたくても我慢した方が良く無いですかぁ。だって、今は洋服屋さんが、カレーライス売ってたり。おかしいですよぉ。」


安山さんは、60年代のヨーロピアンビンテージシャツに、自分で裾上げをしたという半ズボン姿で、ポリシー比べをしていた。


「しかし、流行りの服を着て、話題のカレーを食べられる訳です。」


「商店街のあのお店。結局、それと同じなのか、とりあえず感があるでしょ――― 。とりあえず売れるから。」


って、品数がド----ン、どん増える。

流行りの期間は、どれくらい?

定番屋さんが街中に。


「流行りもんってなんですか!?」


日替わりメニューに着せ替えて、明日はこの服、この鞄。

毎日、大忙し。


「消化器機能を鍛えておかなければ、もうクタクタですよ。」


「反対に考えますと―――、流行りで始めたとしても、それがヒット作ならば、続けていく根気強さが、こつこつを支えているんでしょう。」


「商店街のあの店を続けて営業していくには、ストリートとバランスをとって、もう少しインパクトをつけましょう。

ごちゃ混ぜなのが、商品のカメレオン化を産んでしまっている。

馴染んでいるのだが 、主張が無いと、良い物なのか、使えるのか。

買う方に危機感が無い。」


「そうですね、古手川社長。

ま、今度でいいか・・・。とか。似たような物なら、 向こう側の激安店にまとめ買い・・・。

など規模がなんとも・・・。」


「結構、そのこつこつを、実は、持っている店ってあるのでは?

オリジナルの見せ方が、大事ですよねぇ。コーナーもあれば―――・・・。

僕、提案があるんですが・・・。」


「売って、安山。」


「常に。が無いとね。続けていくには。」


「さんざん売ってるのに・・・。」


「気が付かない。」


「そう、そう。」


「逆に―――。長話などしてね。何度か、顔を合わせていると・・・。」


「出てくる。」


「飛び切りの商品。」


「ところで、安山の提案っていうのは?」


「憧れのリアルです。」


「憧れのリアル?」


「美しい人間の内面と表面って、どちらにしろ、まぁ欲しいモノですよね。」


「それで?」


「身近にする事で、己のモノになるでしょう。」


「表面的なモノといったら、まずは衣類、髪型やら、装飾品。」


「よく、狙ってるんだよね、なんて、欲しい商品に言うけど、最悪狙われた場合、奪い取る事まで人間行うわけですよ。獲物ですね。

元々狩猟民族なんですからね。

もっと怖いのは、身体的な部分。

すらっと伸びた足を、ずどーんと太くしちゃうとか、整っている所を狙い、奪おうとする。

まぁ現実的には奪えないから、手に入れようと欲しくなる。近づけませんよ。普段は。

最悪の場合、美しさをキープできないようにしてくると。」


「憧れてるんだろ、なぜ?」


「嫉妬心でしょうか、欲しいけれども、己のモノにはならない。

素直であれば、距離を縮める事で満足しますね。」


「気持ちが合えば、お付き合いできますねぇ。」


「いやぁ、近づいて来ても、実際狙われてるのだと気付くと、怖いでしょうねぇ。」


「近づけないならばと、その美しいモノを手に入れようと考えるわけですよ。

己でそのモノを手に入れ、のちに、その美人が消された。

という話しを聞いた事がありますよ。

・・・僕は、守りたいんですよ。」


「安山が?守るって?」


「やはり優れているのであれば、攻撃は許したくない。むしろ、その人達のもっと素晴らしい所を見せてやりたい。

毎日遠くから他の様々な媒体を使って配信された事を、いつも人々は見て、判断しているんですよ。

リアルでは無い。

そして、そのリアルには本来なかなか近づく事は出来ない。

茶の間やらパソコンで眺めて、

その距離間隔を世の中が間違えてると思うんですよね。」


「バーチャルリアリズムで、スカイプランチ?

海外に在住しているのなら、それはそれで、楽しいけどね。」


「まぁ今回は、安山さんですから、この辺りで。」


「ありそうですか?!

1塁打?

2塁打までも願いたいですね。」


○○


身近なモノで、お気軽に。それもモチロン。


\\\\\\\\\\\


「距離をあえて身近にすることで、そのモノの信頼性も増すかなと思いまして。」


「実際は手に取りたいのだから、かなりの距離はあるね。」


「そうですが、ファッション紙、そのものなワケで。」


「ロケーションは?」


「撮影日に、お願いして、参加店を探します。」


「どういう事なのか、

今一つ私には、理解できないねぇ。」


○○

‖‖


セール!セール!セール。


ダイヤルは、押し続けられ、ファッション紙を山に、安山さんは


「コーナーにソファを。」


参加店は、一つ。

提案し続け、一ヶ月を過ぎた頃、実現。


―――、来ましたか。到着したようですね。会場には、大きなスクリーン。


六十、七十、八十年代。

バンドライヴに、かなり昔の美容ヘアシーンが映し出される。

ほっそりと長身で、目鼻立ちがハッキリとしたスレンダーな女性。

髪はショートヘアのその人は、本物のモデルさん。

ファッション紙のページをめくったかの様に。モデルさんが、大勢集まっていた。


安山さんが、モデルさん連れてきましたよぉって。

いえいえ、今回は、販売員としても、活躍して頂きます。


憧れのリアル。


と、スタジオに商品を並べ、

一番身近に感じられたのは、

ソファに座るモデルさんと、安山さんが並んでいるのを見た時だった。

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