第15話 夢と目的


喉が乾けばマイボトル

自動販売機で足止めしたら

「ついでに。」

他にも買ってるけど、そのついでがね、普通ちょっとしたもの。


ついで枠に入りたいのか

常に狙って行くのか。


ネットサーフィンで波に飲み込まれたついで。


平日の午前中に、ほっと一息ついて、お茶を飲みながらお決まりのネコ砂を買い、ついでにご当地スウィ-ツなんてあるでしょう。


この間、驚いたのがついでのスウィ-ツが一点物のダイヤの指輪。

ダイレクトに買うのが照れくさいって言う。


 ――――で、店を構えてラーメン屋さん、デパートへ行くお客さん。

そこへ出向く間にも

「ついで。」がある。

なかなか、ついでにってならない物が、夢と目的ですが。

簡単には買えないっていうか。



野々美ノノミ茶見子チャミコは、商店街の資料を並べ、


「甘い、甘いは、甘酒屋。」


「粋な店だね、米屋さん。」


烏鷺ウロ、うろと、挟むはイワオとなりにけり。

って君達のカルタでお店のPRコピー考えたら、どう?」


「あ、お疲れサマです、京響ケイキョウさん。

スノビズムっていう美容院がうちの近所にあるのですが、そこの建物、一見廃虚化してて。

でも、一応営業してるんですよ、フランス帰りの美容師さんで。」


「野々美くんのヘア-スタイルが、最近変わったのは・・・。」


「ええ、フルーティなイメージで、なかなかコスモポリタンな人で。」


「アーティストなわけね。」


「オヴジェやら、店内にある殆どが自分で直したり創った物で。作品なんですよ。」


「まぁ、そういった職業だよね。営業しているんだから。

目線が違うとね。

例えば、全部拾ったモノで生活している人がもしいるとすると、拾ったモノ捨てた人のタイプとか、趣味とか過去とか背景なんか少しわかった気分になってきてしまうんじゃないですかねぇ。

で、捨ててあるモノは好都合で喜ばしいんだけど、


「何でこんなイイモノ捨てちゃうの!?」


みたいな怒りもフツフツと湧いてきたりして。

その人はまた捨てるだろうか?

なんてマークしちゃったりね。

もったいない、を中心に考えて買い物して行くと創り手に対して感動より、文句の方が増えてくるんではないだろうか。

それで、拾う。


拾ったりで生活出来てしまうことに慣れてしまうと、野生というか、生きるか死ぬかって考え始めちゃうと思うよ。


こだわり―――

憧れのこだわりが少なくなって、モノに対しては、使えればいい。

極端に言うとだけどね。

モノを大事に思いすぎて、贅沢している事に対して怒ってしまうと。」


「その様なタイプの人だと、お金を使って買うものは

―――食べ物になりますよね。」


「生きて行く為に必要ですからね。」


「その、さらに上へと進んで行き、ディスカウントやら安売りやら必要最低限で絞ってしまうと健康的なモノしか買わなくなる。」


「なんか、現実的ですよね。」


「もう少し夢があっても。」


「でも、拾ったモノで雑貨屋さんみたいに生活している人もいますよ。」


「そういう人は、文句は言わない。

捨ててある。って、怒る事はあるだろうけど。

チョイスしますから。

選んで拾ってる人と選ばない人では違うでしょ。」


「私達からしてみれば、その文句が

リサーチになるわけですからね。」


「自己中心的。」


「え?」


「拾ってあるモノで生活している人は、自分の事しか考えて無いよ。」


「どうしてですか?」


「自分の事じゃない、生きるか死ぬかまで考えてモノを拾うんだから。

『まとめて買ってって』

って言われても、たぶん一つしか買わない。」


「究極の人ですよ、それ。」


「普通の主婦は、損か得かで考える。

・・で、必要最低限しか買わないんだから自分中心でしょ。考え方が。」


「掃除だね。掃除がすり替えてるね。」


善堂さんは、うぐいす色のスーツに、蝶ネクタイ。パリッとしたシャツにジャケットを広げこちらに来ると、


「仕立てて頂きました、テーラー万邦バンポウでオーダーメイド。

この道四十年の大ベテラン。

腕はにぶって無い。

大体、長年同じ作業してると、嫌になるもんだよ。

自分の仕事が何なのか、誉められてもいいと、感謝して貰いたいと思うよ。

汚れを落とす為に自分も汚れて・・

まぁ、会社まで設立なんて出来ればいいだろうけど。

見えてくるわけ。

本当の掃除と、人間性の掃除と、街の掃除と、身体の掃除と、心の掃除と、余り物の掃除と。

違うじゃ無い、全部。

隠すのは掃除じゃないね。パフォーマンスだよね。

途中で匙投げちゃったら、結局何もならないからね。

誉めて貰えない時でも、向こう側を待ってるんじゃなくて、自分の問題にしないと。」


「どうしたいか?デスヨねぇ。」


「居残ってる人に、食堂からスプーン持ってきましょか!?」


「スプン大会って、スプン曲げ?」


「もぉぉ、曲げまくってぇ、スカッと!って。」


「高機能の掃除ロボや、ハイテクにしたことで、掃除がパフォーマンスに、変わる訳では無いけど、感謝して貰える回数が減るんじゃないですか?

機械を使ってるってだけで、ずるしていると思われるのでは。」


「あまりのも合理的だと、

心が貧しくなるんだよ。」


「自分好みのポテトチップス。

塩もなんにもかけないモノを売ったっていいんじゃないかとね。

人々の好みは様々だからね。」


善堂ゼンドウさんは、新商品の提案。くくっと蝶ネクタイを整えた。


「朝早くから行動しているものと夜遅くまで作業しているのと、どちらが好感度があるのか?」


「善堂さぁんは、残業組デスカラねぇ。」


「一般的に。」


「どちらかと言えば、朝の方が感謝される事が多い気がします。」


「私は夜遅くまでの方が、珍しさもあり、なかなか凄いと思われるのではないかと思いますが。」


京響ケイキョウさんは、寝起き良さそうですネ。」


「そういえば、安山アンザンさん、遅くまで営業しているファミレスで、ドリンクバーが空になるほど飲み干されたという、『力士DAY』にいたらしいですよ。」


「町工場の方々にご案内したいですね。」


「夜は大人だよ。大人限定。

朝方だったら、やはり健康的だしね。」


「夜は、カッコ良いんじゃないですかぁ。」


「あまり誉められないけど、自分に酔うかもしれません。」


「だからと言って、カッコ良いものだけが売れるとも限らない。」


「あっ」「おっ」


「アスリート向けに給水所。

コンパクトに持ちやすくされた便利なモノ。さっと、スマートにね、買えちゃうよ。」


「おばば様が、昆布を長くしたのは、正解だったのですね。」


「うーん、もう少し、何と言うかなぁ―――。一週間分のスケジュールを決めますよね。まぁ、決まりきった事。しなければならない事です。

全て一週間で考えて行動するとなると―――、どうですか?気が利いてますよ。

一日で、一週間分の用意をしてしまう人がいると。

ハーフマラソンに参加して、呼吸が整ったらフルマラソン。

早いとメダルが貰えますからね。

そのメダルで買い物しようって七パックまとめ買い。

美しく輝いたコンソメ色のスープストックに魅了され、常に整えているわけです。


羨ましいですよね。

余裕さえ感じられますよ。

追い付かれない為にも、さらに補給すると・・・。

ぐんぐん他との差を広げて、呼吸し、安定してくるのですが・・・・――――。


でも、つまんない・・・。

つまんないでしょう。」


「昆布の予定は無い。

選ばれて決めているわけですから、そこで立ち止まる必要性は、無いと。」


「余力がね・・・。ランナーの余力。」


「昆布マニアしか、この楽しみはわからないんですかねぇ。」


「おばば様の昆布、アミューズメント化してるんでしょうか。」


「大袈裟に、がまの油売りしてるわけじゃ無いですけどね。

楽しめますよ。十分。

それに、なんというか自分の為にもなる。あたふた防止ですかね。」







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