第5話 三分間
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三分間
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「三分でってね。大変だよね。大忙し。カラータイマーの点滅が切れたら次元が違うと、他の惑星に飛ばされちゃうかもよ。」
「そうなって、そこの新たな次元に住み着く事になったら、籍を移しましョって持参金用意しておかないとねぇ。」
「お金で解決っていうのは、失う事が無い場合の方がいいよね 。」
青空も広がる、眩しい日差しの中、工場を回っていた時の事である。
その女性は、朝七時から夜十二時まで、工場の託児所で働き、ついでと言い、赤んぼを背負いながらその工場で生産されるお弁当の冷凍食品を台車で運ぶ。
さらに調理場へ入ると、社員の食事まで作る。
金属音が鳴り響く工場内の託児所では、子供達にお絵描き、勉強、おやつの時間と慌ただしく世話をして、その後、子供達を見送ると工場の後片付け、点検、戸締りをし、最後に工場を出るのだ。
この前は、働く女性に取材をし、女性の社会での役割や、独立する女、キャリアウーマンの傾向などと探っていたのだが、話を聞いていると
「損と存じる」って、
無償でやらされていると思わない母親達ばかり。
その女性達の母性本能をテーマにリサーチをし続けて、女の出来る仕事のオンパレ-ドが出来上がった。
京響さんは、器用貧乏に便乗した、
「甘え大江戸時代劇!」
感情的になり、
「労働力の限界に気が付かない過剰な仕事量だ!」
と怒り声を上げ、その女性に退職を勧め始めて社長に止められた事がある。
「ツアーの計画でも立てたら良かったのかもしれないね。」
「町工場」とたすきを掛けて、京響さんは、旅行会社の資料を手に取っていた。
「しかし、京響さん、惑星に共通の通過はあるんですか?!国内に引越すだけですよ!」
「まあ、
「それこそスパイ容疑で指名手配されますよぉ。」
「野々美くんは、現況報告も出来ないとキャスターになれませんよ。具体的にど-のこ-のと無いよ、そこんとこはね。今は離れていたって世の中の情報は流れて来るんだよ。」
「三分間で出来上がるんですからねぇ。」
「例えばだよ。その次元に合わせるのか、その次元を作っているのかで、ポジションが必要だと思う。
個人個人に得意分野があるなら重大な事だよね。
しびれる程のセッションが始まったら連携プレイでスカッとするけど、毎日そんな流れで仕事が進むとは限らないからね。」
京響さんは、中古のノートパソコンを2台繋げ、一台目のミュージックフォルダからジョンゾーン。
オリジナルのリズムBOXとジャコパストリアスをリミックス。
グ-グルアースを映し出すと、2台目のノートPCで、その国のビジネス街を散歩しはじめ、ドイツの家具会社にフランスの食品工場、アメリカのIT企業と、あらゆる会社の売り上げデータ分析と実績をまとめていた。
「はい。イタリアのトリュフチョコ。お洒落です、お一つどうぞ。」
野々美は輸入品食材店からおやつの差し入れ。
「どうもご馳走さま。
定められた成分表示はどこまで必要なのかとね。
厳選された食材や素材は既に安心安全というのであれば、パッケージにも拘るでしょう。
最近は、心配しすぎて商品にペタペタ説明だらけ。
サイトを見れば今は確認できるしね。」
「でも、日本語では無いじゃないですか。」
「お店の人に聞けばいいの。」
「野々美くんは、輸入食材品に関心があるのかい。」
「と、いいますか、グルメ情報の収集です。」
「三分間で、作って下さい。」
「三分で、ですかっ?・・・うーん。まさか京響さん、・・その間にお湯を注いで待ってるとか?」
「おやおや?野々美くん、いいですか、ストップウォッチ持ってて下さい。」
そういうと、京響さんは給湯室へ走り、ドア入り口から手を挙げるとタイマーをセットするよう合図した。
そして待つ事三分間。
ほかほかと湯気が立ち、お皿の上には
ブロッコリーがひと塊り。
茹で揚げられたその上にはとろりとチーズクリームソースが、かけられていた。
「はい、完成です。何分だった?」
「三分・・と二十秒ですかね。」
「ちゃんと押したの?!
まあしかし三分台って事で。
ね、こういう事ですよ。
テーマを絞ったのであれば、作ってみたらいい。はい、どうぞ。」
京響さんは、フォークを2、3本持つと休憩室へ歩いて行った。
「生演奏の緊張感は必要だろうけど、赤外線でコミュニケーション取ってたら味気ないですよ。」
野々美はグリーンアラレアに話し掛けると、京響さんのデスクに葉を広げ、置いた。
「しかし三分間の接触で数人と繋がって情報交換に三時間半の超大作だって送れるんだからね。
アタックの継続をしないとーーーー
消化しにくい食べ物がお腹の中にあると長持ちするって、
常に胃が動いている事で、内面の運動になるのか?
動けば身体は温まる。
長持ちするからと言って、
継続できるのか?
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