第4話 善道さんのリサーチ
悪くなってきていると思う事。
操作が多い。なんにつけても便利になって。
新鮮さが無くなると途端に不便に変わる。それがいやだと、高層ビルに挟まれた暮らしを選択させざるを得ない。
ピンヒールを履いて、立ち飲み屋さんでおでんを食べて、便利なのは、斜め横に置いてある辛子瓶に手が届くからって。
それはいいですよ。
まだ。
その女性に明日発売される、指輪型超軽量小型携帯PCを渡した。
「無線インカム。片方の耳にはピアスの穴は開いていますね。無機質なデザインでと頼んでいたのですが、どうですか?」
「液晶タッチパネル?どうせならダイヤのボタンが良かったわ。」
「下に付いてるローラーを、指で動かすとメモリ番号と機能を話します。マウスと考えてもらえれば。」
「なんなのぉ、これっ。」
「携帯電話として使うのには、メモリ1。指輪はレンズでもあるし、ディスプレイでもあります。ただ、その機能をそれぞれ使い別けるには、指輪とピアスで組み合わせた操作をしなければ、動きませんので。
ピアスのメモリをカメラと言うまで動かし指輪の画面をスライドさせて下さい。」
「ポージングはこれでいい?」
ガッツポーズのカメラマンに、まるでスパイ映画のヒロインだ。
数々の機能をコンパクトにしたおかげで、彼女は不思議な動作を繰り返す。腕を曲げて、首をかしげて、指先に話し掛けるわけ。おほほほほ。
受話器を持ち上げるよりは、楽だっていうけど。不自然な便利。
カードが開発されて、切符バトンが無くなり、「ぴっ」と返事が返ってくるのに慣れてしまい、間違えた時に、とっさに出た言葉が
「ぴって言ってませんよ!」って。
私が「ぴっ」って言ってるんじゃ無いんですよ。
大喜びするなんて、この現状は、確実に悪くなってる。
最新型のプロポーズ?指輪なんて彼女にあげちゃって。
!!いやいや、えっその・・・、勘違いしないでちょーだいな。
カードをかざすよりは、お洒落ですねって。
一石二鳥で、モニタリングなんて、それこそ便利にしてるぞと、後から嫁に、三食弁当、マイナス50℃の生活を無料体験させられて、合理性を突き詰めた確実にクールな家庭生活?!
いやですよぉ。ならば、ならばでこういう事。
あれは、あれ。これは、これ。
なりふり構わず、指輪を買いに行って下さいね。
ただし、身だしなみは、宜しくね。
「気持ちのモチベーションを上げるには、高機能パソコンに喋らせるのもいいけど、自己防衛だけでは、すぐにダイヤル式に戻ろうとするわけ。
物事が攻撃的に進化しているから、守ってあげないと。
操作する楽しさは運転する側なのか、創る側なのか。
どちらが長く使っているか・・・。」
「ピンクポークのフィメドポワソン煮込み」と3Dレシピを映した。
「だからぁ、まあお嫁さんが壊れないように、守って、て話しなんだよ。しかし、どっちでしょうかねぇ・・・。」
脳死は死では無い。と思う。
「だって、成長していくでしょう。
老けていくのだとしたら?どこかできっとシグナルを発信しているのかもしれないでしょう。」
「現代は、今までに無い動きを要求され、加えて新たなボキャブラリー。??
はてな、はてなのミステリ-。
名刺交換よりも、携帯を相手に赤外線ですから。
光線を出すなんてね、 人が。
ウルトラマンでしたよ、あの時。」
「
「いやぁ、この間の会議はテレポテーションでニューヨークへ参加してきましたよ。アメリカでは家庭用の美容家電に興味を持たれたよ。ゲルマニウム温浴も気軽でいいってさ。」
インナーマッスルの構造を知り、修復しようと頑張るのであれば専門家のアドバイスが大切で、生活習慣から改善しようとするのであれば、道具に頼る方法もある。
「そこに求められているのは、デザインなんだよね。現状のインテリアに会わなければ、最新機種でも嫌煙されるんですよ。奇想天外なデザインよりも生活密着型スタイル。
一言で言えばクラシカルなデザインの方向で構造進化したらどうかと。」
「でも善道さんのリュック、チタン合金ですか?
座席で広げたらコンパクトオフィスでしょ。」
「3Dメガネまで装着すれば、生活密着型どころか、全て身体に装着してしまえる、という事だね。何処へいても不自由なく仕事ができると。」
流れ作業をイレギュラーにすれば、健康的な生活が?
パターンを変えて動くのでは無い。
PCが壊れたと秘術を使い、魔法にかけられた。
電子回路が遊園地。
働けたと喜ぶのは、秘術を発揮出来る者であるからと、不必要にさせられる。
物と者とが遊園地をまどわさせるのだ。
働き者である者は、作品であり、道具でもある。
私はその一つのパターンに、シードを重ねた。
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