第3話 売って安山

いつも頭の中のアンテナを張り巡らしている、若い社員の安山アンザンは、

「人のいる家、いない家」

パフォーマンスと商業的物品の販売目的。工夫と技術。

外から見える位置に必ず人がいる事。


もったいない症候群で、履き古したジーンズを短く切り、バッグを作った所大ヒットさせた事がある。


〜店とギャラリー、

私の二つの違い。〜


と、売り上げが少なかった作家タイプの雑貨店を盛り上げた。

従業員も雇う事の出来ない一人でやっている所に、「人のいる店。」


気配をダイレクトに伝えれば、理解は得られるのか。

作家の意志とこだわった趣きと、現実的な空間は、ムダと感性に抑え込められる。

どうすれば良いかと、安山は、二体のアートマネキンを運び出し、ウィンドー近くに設置した。


「頭脳リアルを、早く現実にするには、今はこれしか無いんです。」


雰囲気のあるギャラリーのドアをそっと開けて入るドキドキ。

シーンと鎮まり、穏やかな音と、作品に包まれている時のドキドキ感。


「一対一の店主とのやりとりだって冒険心。誰でも持っている、もう一つの探究心。


「____________で、

マネキンを使って、ドキドキさせた訳です。ギャラリーを兼ねた洋品店だったので、店主も、お客さんにそういう人を望んでいるんですよ。

だけど、売れなくては困る。」


ギャラリーショップ

**ストリキニーネスープ**


入り口は、厚い木製のドア。

ショーウィンドウも小さく、ポツッと一点作品が置かれているだけだった。


「応急処置です。」


店の右手入り口近くに作られた、ショーウィンドウを大きくし、アートマネキンに商品を着させた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


風の通り道



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


情報、情報。

情報は害になりませんね。

くだらないと話題にした所で、はね退けられてしまう事もあるけど。


「私は、消化不良をおこす時があるよ。

聞いて後から気になってわからずじまい。

若い時は、まだいいのかなぁ・・・。

言い捨ててしまっては、身体に悪いね。

受ける側は知らない訳だから。」



古手川さんのサービス精神とは、受け手に求められた時に始まる。

強行突破や無許可での路上営業は反骨精神の現れであり、サービスでは無く、訴えになるものであると言うのだ。


相手を楽しませたいと考え、演奏をする人々も快く音の奏でられるスペースを提供して欲しいと希望するであろう。


パソコン検索をし、膨大な情報が勝手に流れれば、希望以外の情報はテロリズムのサイバー攻撃。


「webの無法地帯に権利は存在するのかと疑うよ。ITは裁判場ではないからねぇ。」


「裁判官は、SNSの管理者?それとも創設者?世界であれば王様ですかね。」


「まぁ、茶見子さんサービス精神旺盛の人に無法地帯のストリートを勧めても、演奏は始まらないですから。

箱はあるのに世の中勿体無い事が多いよ。箱の中から発掘しないとね。そこを見つけるのも私の仕事なの。」


古手川さんは、foresightありと俠客きょうかくを現す。


「好みは自由に人それぞれですもんね。否定は危険な時ですよ。やはり。」


茶見子は小皿から溢れたクッキーを摘むと灰皿へ入れた。


「心配してると、動けないだろう。

予知能力を鍛えなさいよ。

私は茶見子に札止めの大盛況を期待してるんだからね。」


しかし、世論調査と調べてみても今年の人気も昨年同様ラーメン店だった。

店舗数は増え続け、何処へ行っても必ずあるので、攻撃型スタイルだ。

メイドインジャパンとご当地物を集結させれば、美味良品は限定ショップのお祭り騒ぎ。


「ラーメン店以外はどうなっているんだ?あまり増えていないようだが。」


「R246。限定では無く持続的に。

R246に増え続けるくらいでなければ安定しませんよ。」


「何処まで続くんだよ。」


「貯蓄が増えるまでです。優先的に自分の国の商品を購入しなければ、貯金は増えませんからね。例えばそれ位続けられない現実という事です。

古手川さん、日本人って危険ですか?」


「はははっ。危険ですよ。商店街も減ってるし、真正面で行き止まり。上下移動を繰り返し、前後、左右に歩いて無いから、視野が狭くなっているんだよ。」


「好みの線引きをするんですよ。優越のレベル審査は別物です。需要がわかれば出来るハズです。」


「茶見子はトレンドを追うの?

歴史のある街には伝統的な事が好まれるでしょう。」


「トレンドを楽しませるのであれば、お客様は他の街へと行くしかないわけですよ。」


「地元が観光地であったら、もう地元の人も観光しつつ伝統を守る。

流行最先端の地に住めば、いつでも話題に乗れると言う事だ。」


「古手川さん、それでは出掛けてないでしょう。この国に国境は無いんですからね!」


「貿易自由化からも、格差がでてきたからね、日本に国境できたんじゃないのかねぇ。自己責任で管理できると思う?危険国になってきましたよ。日本。大都市の体重が増え続けているのは、国産品ではないでしょう。」


「私が個人輸入するとカスタマーセンターが設立されるんですよ。

カウントされればダウンでしょうか?

やはり、貯えが未来を変えるとの暗示ですよね。

年貢も納めて参るでござる。

古手川さん、定食っ!定食屋さんのランチ行きましょう。

和食ってヘルシーですから。」



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