【「カラスと水差し」より】
カラスと古井戸
昔々、旅を続けていたカラスがとある泉に辿り着きました。
ずっと長い距離を進み続け、喉がカラカラなカラスは、水の気配があると知って喜び勇んで駆け付けました。ですが、そこにあったのは、とても深く掘られた古井戸の遥か下に溜まった水でした。確かに水質に問題はなく、十分喉を潤せそうなのですが、カラスの身長ではとてもでは無いですが辿り着けません。それに、近くにはしごや縄などの道具もなさそうです。
(はて、どうした事か……)
すると、カラスは近くにたくさんの石が転がっていることに気が付きました。そして古井戸の下を見比べながら考えました。これらの石を下に落とし続ければ水かさが増し、やがて自分でも十分に届くほどの高さになるだろう、と。
(これが最良の手段か……いや、違う……)
ですが、この深さから見ると石を投げ続けるだけでかなりの時間がかかりそうですし、その間にものどの渇きは増す事になってしまいます。何かもっと効率の良い方法は無いものか――もう一度カラスが考えていた時、腰から何かが落ちたのに気が付きました。そしてそれを拾った時、カラスは突然大笑いを始めました。わざわざここまで考えなくとももっと良い方法があると言う事を忘れていた自分のうっかりぶり、そして簡単に解決できそうな自分の『力』に、どこかおかしさを感じたのです。
そしてカラスは自分の体から落ちた何かを口に咥え、精神を集中させました。
~~~~~~~~~~
それから少し経ち、古井戸の近く――かつての鉱山街の跡は、突如賑わいに包まれました。
「いやぁ、うっかりしていたでござるよ!」本当でござるなぁ、拙者よ!」全くだ、喉の渇きに気がそれるなんてなぁ!」でもこうやって美味しい水を手に入れた!」そうだな、流石拙者だ!」褒めたり貶したり忙しいなぁ!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」…
そして、人海戦術で手に入れた数万人分の水を思う存分飲みほしたのち、『カラス』――いえ、同じ姿形をした女性たちは再び新たな旅路へと向かうことにしました。
各地を巡り、修行を続けるくノ一『カラス』として……。
<おわり>
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