第7話 「村に連行された」
「魔王を殺す存在、だと……?」
僕の選手宣誓を聞いて男はあんぐりと口を開けた。
「露出狂のお前がか?」
「露出狂じゃない!! これはちょっとした手違い!!」
どんだけ服が無い事を引っ張るんだコイツは。
引っ張る裾もコッチには無いって言うのに……。
「とにかく、本当に敵意とかは一切無いんだ。人類みな兄弟って言うだろ? 信じてくれよ」
両手を上げ、敵意が無いことをアピール。別に上げなくても武器とか無いのは分かるだろうけど。だって裸だから。
男は少し逡巡した後、感情の起伏を抑えた声でこちらに話しかけた。
「……俺だけでそれを判断する事はできない。信頼を得たくば、村に連行されたし。村長がお前への対処を判断する」
「それで構わない。むしろ有難い」
裸足で森の中を歩き続けるのもウンザリしてたんだ。
これでやっと暖かい家に入れる。
とか思ってた僕が甘かった。
手枷をはめられ、男に引っ張られる形で村へと連れてかれた僕は、その勢いのままに、牢屋へとぶち込まれた。
「話がちがぁう!!」
僕を投げ捨てる様に牢屋にぶち込んだ男は、物理的にも精神的にも見下してこう言った。
「別に家に入れてやるとは一言も言ってないが?」
くそぅ、人生ってヤツは想像以上にハードモードだな!?
草と枝と土の地面から硬い石の床に変わったくらいで、環境は余り良くなってない。
このまま何日も牢屋にぶち込まれてたらたまったモンじゃない。
かと言って、強硬手段に出たら折角見つけた集落を完全に敵に回してしまう。
……あれ? 詰んでね?
いや、そう言えば父から貰ったアドヴァイス集があったはず。
アレを読めば何か解決策が浮かぶかもしれない……!!
と思ったけど、ちょっと待て。
僕はこれまでずっと裸のままで行動してきた訳だけど。
本なんて、最初っから持ってなくない?
……ということは。
「スタート地点に置いてきた……!?」
完全に詰んだ。オワタ。
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