第4話
「おお、冒険者が来ましたね!」
これでまた、師匠の闘いが見ることができます!
「……どっちだ」
「はい?」
興奮しているあたしに、師匠はこっちに来る冒険者を見据えながら静かにそう尋ねました。
「お前は人間と魔物、どっち側に立つつもりだと聞いている」
そんな事、決まっています!
「無論、師匠と共に!」
「では、人間と戦うのか」
「師匠が戦えというのなら!」
人と戦うのは正直ちょっと嫌ですが、師匠と仰いだこの方が戦えというのなら、あたしは誰とでも戦います!
「……いい」
そう言うと師匠は神殿の隅にある柱を指差しました。
「あそこに隠れていろ。邪魔はするなよ」
「分かりました!」
あたしは指示を受けるとすぐにその柱に隠れました。
やはりあたしのような未熟者では師匠のお邪魔になってしまいますからね。
影ながら、しっかりと勉強させていただきます!
「お、あれがここのボスか」
入ってきたパーティーの先頭にいた人が師匠を視認したようですね。
「おお! でっけえな!」
「噂通り強そうだぜ!」
「ああ、倒し甲斐があるってもんだ!」
「まったく、こんなところで張り切り過ぎないでよ」
「分かってるって。ここから先の事も考えて軽く流していくぞ」
……聞こえてくる会話を聞く限り、師匠を舐めていますね。
そういえばあたしが居たパーティーの人たちもあんな事を言っていました。やはり一面ボスというのは舐められがちなのでしょうか?
「話し合いは終わったか?」
おお、師匠!
わざわざ敵が話し終えるのを待つなんて、紳士的です!
「ん? ああ、終わったよ。今からお前をどう料理する……!」
パーティーの先頭の人がそう言いかけましたが、
「なら良い」
あの巨体からは信じられない速度で師匠はその人に一瞬で近づくと、あたしではよく見えませんが恐らく殴って斜め上に吹き飛ばしてしまいました。
「……え」
パーティーの人たちが驚いている間に、師匠はまだ動きます。
「おおお!」
まるで木の葉のように人が次々と吹き飛んでいき、それに驚いた人たちはパニックになっているようです。
……んー、昨日のあたしたちも離れて見るとあんな感じだったのでしょうか。
「く、くそ!」
師匠の突撃から逃れた剣士の人が師匠に向かって持っている立派そうな大剣で斬りかかりました。
「ふんっ!」
「ぐわあっ!」
しかし、師匠は恐らく剣の横側を殴って弾き飛ばし、更に剣士の人にもう一方の手でパンチを食らわせて吹き飛ばします。
「『
おや、その殴った後の隙を突いて魔術師のお姉さんが拘束魔術を使いましたね。
あれってかなり頑丈で、術者が解かない限り相手は決して動けないという強力なものの筈ですが、
「はっ!」
師匠はまるで体に纏わりついた蜘蛛の巣のようにあっさりと引きちぎってしまいました!
「えええ!?」
ああ、お姉さん驚いてますね。
実際あたしも驚きましたが!
「おおー。今日も派手にやってるね」
「うわ!」
更にビックリしました!
いつの間にか私の横に知らない女の人がいます!
しかも綺麗な夕日色の髪をした、あたしより年上らしきお姉さんです。
「やあ、こんにちは」
「こんにちは……」
えっと、それで、誰ですか?
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