第15話 番外編

 1、2、3、4と拍を取る音がこの練習ルームに響く。聞き慣れた靴が床にキュっと滑る音と、女性たちの声。


「集合!」


 リーダーがそう叫ぶと、みんながそこへ集まっていく。

 リーダーは手を叩き、周りにこちらへ向くよう指示する。


 そして、

「次の表題曲のセンターが決まったので、発表します」


 いつもはスタッフが言うはずの発表をリーダーがするということは、リーダー以外ということだろう。

 みんなの緊張が伝わってくる。

 何度もセンターをとっていたリーダーがとれなかったセンターを誰が取るか、それが決まるのだから。


 私も両手を絡めて、願う。

 今回こそは、センターをと。



 いつもとれないセンターを、私のものにしたいと。



「今回のセンターは、××です」



 センターの名前は、聞き覚えのある一番付き合いの長いもの、そう、私の名前が出たのだ。


 泣き崩れる子や、安堵のため息を出す子もいるなか、固まってしまった私は、つい声が出ていた。



「やっとだ」



 その言葉は、安心という言葉では、表せないほどの暖かさがあった。

「頑張って××」


 そして、私のグループのエースへの道が始まったのであった。




「生徒会長!春沢楓恋!」


 そして、学園でも。



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