第3話 小野原學の日常

妹という快楽を得た後、学校に行くと、校門で生徒会が服装チェックを行っていた。

「おはようございまーす!!!会長!」

テンション上げ目で挨拶すると会長は嬉しいのかこちらに向かってこう返した。

「君はいつもいい対応だね誰に対しても」

「え?」

前までは会長に対してそこまでいい雰囲気ではなかったが、妹のいる今では誰に対しても?いい雰囲気なんだ。

「そうなんだ」

小声で驚きの声をつい漏らしていた。

「どうかした?」

横にいた凛が聞いてきた。

「いや、なんでもない」



教室に着いて見回しても変わり映えはなかった。

「妹と人間関係ぐらいしか変わってない?」

そんな疑問を抱きつつも、席につく。


「おい!おはよ!」

席で自分の場所という場所につけて安心していると、友人の神井仁かみいじんが挨拶をしてきた。

「おはよ、仁」

「相変わらずそっけないというかなんというか」

仁は中学から今まで(高校二年)一緒で、男子の中で一番の友人だと思っている。



数学の時間、俺は居眠りをしなかった。

「小野原!ここ答えてみろ」

「はい」

普通に答えられた。

ノートも取った。

怒られずに済んだ。


放課後、帰ろうとすると、

「えっと、君!」

と背後から呼び止められた。

「誰ですか?」

声の主の顔を見ようと後ろを向くと、会長だった。

「せ、生徒会長!」

「君に話があるんだが」

会長は俺を生徒会室に連れ込んだ。


「えっと……」

「生徒会に入らないか?」

「ふぇ?」

「だから、生徒会に入らないかと聞いてるんだ」

現生徒会長、3年、春沢楓恋はるさわかれん、眼鏡をいつもかけていて楓恋という名前だがそこまで可憐さはない。そして運動神経抜群、学力明晰、人脈がある。

「書記が二人足りなくてね」

「で、えっと」

「その内一人を君にして、もう一人を一年の女子で面接しようと思うんだ」

理解はできたが、「やります!」と言いずらい。

「やってくれないか?君は信頼ができる」

「は、はあ、わかりました」

もう一人の一年女子は誰になるのだろうか。


「やっと帰れる」

玄関から出て歩き始めると、一年らしき人たちの男女の群れがあった。

「カラオケ行こうぜ!」

「いいね」

「もう美結が告られるから時間オーバーしたじゃん」

「仕方なくない?あんなすごいアプローチしてくる先輩きっぱり振るのって」

「それな」

今時の高校生感半端ない話だなとか思いながら横を通っていった。

「なにあれ」

通った瞬間聞こえたこの言葉を吐いた主が気になるが。

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