ラブコメの沼に落ちた
3月下旬、ツイッターのトレンドに「アマガミ10周年」というワードが現れた。
「アマガミ」は恋愛シミュレーションゲームのタイトルで、原作をやったことはないのだがアニメ版を見たことがあった。懐かしい気持ちになって、久しぶりにイラストなどを見て回った。
僕は後輩キャラの七咲逢というヒロインが一番好きだった。……のだが、数年ぶりに作品のあれこれを眺めていて出てきた感想は、「塚原先輩がストライクすぎる」だった。
塚原響というキャラクターはいわゆるサブヒロインの立ち位置で、個別ルートが存在しない(※彼女にできない)。アニメ版でも主役のヒロインを立てる形で登場していた。
しかし、しかしだ。
数年ぶりに見た塚原先輩は自分の好きな要素だけでできているといっても過言ではなかった。
あれこれ書くと性癖がだだ漏れになってしまうので省くが、僕は細目の女性が好きだ(二次三次関係なく)。塚原響は二次元キャラとしてはめずらしいくらい細目である。
そして面倒見がいい。
他にもあるけどとにかくこの二つが重要で、なんでメインキャラクターじゃないのかと残念に思った。現実は無情である。
だったら二次創作でもしてみるか? と考えた。いや駄目だ。僕は二次創作が非常に苦手なのだ。他の人が生み出したキャラクターを自分で動かすことにものすごい抵抗があってどうしてもできない。
そんなことでけっこう深刻に悩んだ。
そして出した結論はこうだった。
塚原先輩によく似たヒロインが登場する恋愛ものを書こう。ここが妥協点だった。
この時はミステリーズ!新人賞への応募原稿をチェックしていたので、スケジュールに影響しない程度にプロットを作った。
先輩で大人っぽい雰囲気のヒロイン、となると対比の生きる主人公を出したい。しっかり者の主人公だと印象が似通う危険性が出てくるからだ。なので主人公は高校生には見えない童顔で悩んでいる少年に決めた。
ざっくりストーリーが固まると、勢いで書き始めた。
新人賞に応募する気はなく、完全に趣味の作品なのでキーボードを打つ手が軽かった。
公開先は
今度は小説家になろうに移動して、また一話から公開し始めた。こちらはPVがつくものの、やはり伸びは弱く、物足りなさを感じた。
ネット小説サイトの話題をあれこれ収集していると、ラブコメならカクヨムが強い、という情報をキャッチした。
またしても引っ越しである。
カクヨムにやってきて作品を公開すると、明らかに小説家になろうよりPVがたくさんついた。おお、あの話は本当だったのか! というわけで、僕はカクヨムで本作を連載することに決定した。
この作品は毎日更新を続け、この年の9月に完結した。最終的に30万文字に達したので、およそ文庫本3冊分を半年で書いたことになる。とても楽しい経験だった。新人賞への応募を考慮しない、純粋な趣味の執筆。ミステリ的なひねりも考えなくていいし、やりたいようにやらせてもらった。
その間、ネット小説サイトにおけるラブコメの書き方を勉強しようと思ってランキング上位の作品を読みあさった。書籍のラノベラブコメも読んだ。気づいたら、以前あったラブコメへの苦手体質が完全に消滅し、むしろ探すようになっていた。沼に落ちたのである。
最後に書いておくと、この作品を連載している間に元号は平成から令和に変わった。4月末からの10連休は観光地で働く人間にとってかなり大変な時期になったが、その時でもちゃんと更新を続けられたのは自信になった。カクヨムではラブコメの週間ランキングで最高4位まで上がることもできた。貴重な体験をさせてもらえたと思っている。
「月光は、ぼくにはちょっと甘すぎる。」というタイトルの作品がそれなので、よかったら読んでみてください。
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