第12話 アメビー&プレーリーVSライオン&オカピ

「行くぞ!」


先に駆けたのはライオンとオカピ。対するアメビーは手に水をため、構える。プレーリーは豪速で穴を掘り潜る。先に距離を詰めたオカピがソバットを繰り出す。


「甘いっすよ!」


しかしアメビーはそれを見切り、体をねじって回避。そしてそのままの勢いで棒を振りぬいてオカピを弾き飛ばす。


そして吹き飛んだオカピの脚を地中からプレーリーが鷲掴みにする。


「んなっ!?」


「行かせないでありますよ!」


「この!離してよ!!」


オカピは振り払おうと足掻くが、プレーリーは手だけじゃなく両腕でガッチリとつかみ、離さない。


一方ライオンとアメビー。拳を振りかぶって向かってきたライオンにアメビーは腰を落として拳を避ける。そしてその腹に容赦なく水流をぶつける。


「なにっ!?」


そしてそのまま上空まで打ち上げる。


「うおおお!!ライオンさん!覚悟っすよおおお!!」


水流に打ち上げられたライオンに追撃するため、アメビーも突撃する。そして上空に打ち上げられたライオンだが、追撃に備え空中で体勢を整える。しかしアメビーはライオンに追撃せず抱きついた。


「なんだよっ!?」


「これで…!決まりっす!!」


アメビーはライオンを地上にあるプレーリーが作った深さ5mほどの大きな「升」に向ける。


「そこに!行ってこいっすよ!!」


アメビーはライオンを腹から水流を押し当て、地上の升に叩きつける。そしてそのまま、水を出し続けてライオンが入ったその大きな升を水で満たす。


「よし!これでライオンさんの動きは封じたっす!プレーリーさん!最後っすよ!!」


「了解であります!」


「ちょ、ちょっと!ライオンは水苦手なのに…」


プレーリーがくっついてる脚をジタバタさせながらオカピが青ざめた顔でいう。


「弱点を突くのは戦闘の基本でありますよ!」


「そのまま抑えていてくださいっす!」


アメビーは地面に両手を付き、何かを集中するそぶりを見せる。


「まさか…まだ何かあるっていうの!?」


顔を青くしたオカピが悲痛な声を上げる。


「真の奥の手は奥の手に隠しておくものでありますよ!」


「何個奥の手あるの…?」


「プレーリーさん!準備出来たっすよ!」


「了解であります!!」


そういうとプレーリーはオカピをアメビーの方に投げ飛ばす。


「いくっすよ!!大伐採!!」


アメビーがそう叫ぶと地中から一本の巨木が飛び出す。


「ぐあっ…!!」


その巨木は豪速で成長し、プレーリーが投げたオカピを弾き飛ばす。巨大な質量をまともに受けたオカピは即座に意識を手放した。


「ウッドバスタァァァ!!!」


アメビーが気合とともにその巨木を根元から切り倒す。そしてプレーリーが思いっきり蹴飛ばす。地上の大きな升の方へ…


「ゲホッゴホッ!!…あ」


ライオンが決死に升の縁までまでたどり着き呼吸を整えていた。が、彼女が空に目を向けたとき、その顔が絶望色に染まる。


その巨木は既にライオンの眼前に迫っていた。そして次の瞬間、特設会場に巨大な質量が倒れる音、木材が砕ける音、水が弾ける音、全てが合わさった轟音が響き渡った。


「決まった…すかね?」


アメビーが不安そうに呟く。


そして水が引いたとき、直撃を受けたライオンは…。


「…」


目を回して意識を手放していた。そしてオカピも気絶した状態でライオンの近くに降ってきた。


「これは決まりですね…。この試合、勝者はビーバー&プレーリーです!」


ワアアアアア!!と、会場が歓声に包まれる。そしてその歓声の渦の中心にいるアメビーとプレーリーは満面の笑顔でハイタッチを交わす。


「やったでありますな!!ビーバー殿!!」


「はい!やはりプレーリーさんはオレっちの最高の相方っす!!」


「お二人とも、見事でした。初戦から熱い戦いをありがとうなのですよ」


コノハが下りてきてボロボロで傷だらけの二人に労いの言葉をかける。


「へへ、ありがとうでありますよ!」


「う、うう…」


と、そこに少し離れたとこから声が聞こえた。どうやらライオンたちが目覚めたようだ。しばらくボーっとしていたが周りの様子を見て察したようだ。


「どうやらこの様子だと、私らは負けっちゃったみたいだね…」


「うん…。残念だけど仕方ないや」


「大将が…負けただと…?」


「あの二人、ライオンに勝つとは凄い奴らだな!気に入った!あとで私も手合わせさせてもらおう」


「オカピ負けちゃった?残念ね?」


「あの二人、オカピとライオンを制すなどなかなかの実力者だな」


オーロックス、ヘラジカ、オセロット、キングコブラがそれぞれ呟く。


「いやー見事だったよプレーリーにアメビー。まさか負けちゃうとはライオン軍のリーダーやってるのが恥ずかしくなってきちゃったよ」


「は、はい!しっかり策が成功してほんとによかったっす!」


「それでさ、その私らに立ててた策ってどんなだったの?良ければ教えてよ」


「ビーバー殿特製の最高の策でありますよ!!」


「えっと、まずはオカピさんの体恤を完璧に見切るため、防御に専念してたっす。こうしておけば事実上無力化できると思って」


「ああ、だから全然攻撃してこなかったんだねあのとき」


「はい。でもこれは正直あまり意味はなかったかなと、反省点っすね。そしてその間、ライオンさんを足止めするためプレーリーさんに翻弄させてたっす。でも、その際、プレーリーさんが停手痛い反撃を受けっちゃったのが心配点でしたっすね」


「あのときは申し訳なかったであります…」


「い、いえ、こちらこそ無理言っちゃって申し訳ないっす。そしてその後はその逆っす。オレっちがライオンさん、オカピさんの足止めをして、プレーリーさんの建設を完遂させる。その際かなりピンチになっちゃったっす。やっぱ実践は上手く行かないもんっすね。そして出来た升にライオンさんを水とともに閉じ込めて無力化させたっす」


「あれは残酷過ぎない…?」


「正直、キツイどころじゃなかった」


「それは申し訳ないっす…。そして、オレっちの最終奥義の『大伐採ウッドバスター』でお二人に最後の一撃とさせてもらったっす」


「…いやー、見事としか言えないよ。正直、君たちくらいなら身体能力でごり押せばなんとかなるなんて甘く見てた私らの完敗だ」


「そう、そこなんすよ」


ライオンの言葉にいち早く反応するアメビー。


「オレっちたちじゃどうしても身体能力で勝てないと思うんすよ。だからこそそれを補うためたくさん策を用意しておけばオレっち達でもなんとかやれると思ったんすよ」


「…なるほどな」


「だからお前らも十分強くなれるっての…」


その話を聞いてたツチノコが二階の観戦場でひっそりと呟いた。

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