第11話 アメビー&プレーリーVSライオン&オカピ
「プレーリーさん!」
「ビーバー殿!」
アメビーとプレーリーはお互いの名を呼び合うと、全て通じたかのように動き出す。プレーリーは穴を掘り、地中へ行く。アメビーは木材をかじり、棒状に加工する。それを逆手に持ち、オカピたちを迎え撃つ。
「ビーバー!覚悟!!」
オカピが足を思いっきり振りかぶり、アメビーの頭を狙う。
「ふんっ!」
アメビーは少し息を吐きつつ、体をそらして避ける。
「よーし、私も行こう。ビーバーをなんとかすれば知恵の面でボロが出るはず…」
と、ライオンが走り出したところに
「させないでありますよ!!」
プレーリーが地中から飛び出し、ライオンにとびかかる。
「おっと」
しかしライオンは体を少しそらしただけで避ける。だがプレーリーはあきらめない。
「どりゃあああ!!」
ライオンの背中に飛びつき、地面にたたきつける。
「くそっ!」
ライオンが背中のプレーリーを振り払うように腕を振るうが、プレーリーはそれを素早く避け、また地中へ潜る。
「ビーバーの前にお前を片付けてやるか…」
(ライオンさんの標的がプレーリーさんに固定されたようで、ひとまずは第一作戦成功っすね)
アメビーがオカピの攻撃をいなしつつ、戦況を把握する。
(こっからがオレっちたちの作戦のカギなんすよね…)
オカピがアメビーに拳やら足やら振るうがアメビーは避けたり武器としてる木の棒でいなすだけで一切攻撃はしていない。
「なに、避けてばっかりじゃいつまでたっても勝てないよ!」
オカピが挑発気味に言うがアメビーは聞く耳を持たず防御に専念する。
「これも君らの作戦なのかい?」
「あ。やっぱり分かるっすか?」
「そりゃ、普通の戦い方じゃないもん」
「ま、その内わかるっすよ」
アメビーとオカピが互いに攻撃をいなしたり蹴りやらを放ったりしつつ会話をする。
「でもま、どんな策だろうと勝つだけだよ!」
オカピが踵を高く上げ振り下ろす。そしてそのまま空中に飛び込み三段蹴りを繰り出す。そしてアメビーはそれを見切りきれず最終段だけまともに受けてしまう。
たまらずぶっ飛んでしまうアメビー。しかし、アメビーはその表情に笑みをつける。策が上手く行っている様子だ。
「プレーリーさん!!次の策っすよ!」
「了解であります!!」
と、プレーリーが返事をし、ライオンから離れようとしたとき。
「捕まえたぞ!!」
「んなっ!」
地中から飛び出したプレーリーを捕まえたライオン。そしてそのままプレーリーを地面に思いっきり叩きつける。
「ぐあっ!」
叩きつけたバウンドで空中に投げ出されたプレーリー。その無防備なプレーリーにライオンが全力の拳を叩きつける。
「ぐあああっ!!」
プレーリーはたまらずアメビーの方へ地面を滑っていく。
「プレーリーさん!!」
アメビーが慌ててプレーリーに駆け寄り助け起こす。
「プレーリーさん!大丈夫っすか!?」
「ぐっ…。うう…」
プレーリーのダメージはただでは済まないほどだが、何とか意識は保っているようだ。
「プレーリーさん!まだ行けるっすか…?」
「だ、大丈夫であります…。ビーバー殿…!次の策に行くでありますよ」
「しょ、承知っす!」
そう言葉を交わすとアメビーは木の棒を手にライオン・オカピに立ち向かう。そしてプレーリーはアメビーが持ち込んだ木材のもとへ行き、何かを作成しようとする。
「一人で来るなんてなんとも無謀な手に出たね」
「どんな策が来るかわからない以上、油断せず行くぞ!」
ライオンとオカピが気合を入れ直し、向かってくるアメビーに構える。
「行くよ!」
オカピが足を振りかぶって蹴りを放つが、アメビーは既に見切ったと言わんばかりに体をそらして避ける。
だがその姿勢のアメビーにライオンが回し蹴りを放つ。姿勢が崩れているアメビーだが、そのライオンの脚を木の棒で受ける。だがしかしライオンは木の棒ごとアメビーを弾き飛ばす。
そして弾き飛んだアメビーをオカピがローリングソバットで追い打ちを決める。
「うわああ!!」
悲痛な声を上げて地面に倒れ伏すアメビー。だがそれでもまだ耐える。
「よしオカピ。今のうちにプレーリーを叩く」
「うん!」
「させないっすよ!!」
アメビーが気合でライオンの後ろに飛びつき、プレーリーへの攻撃を阻止する。
「でやあ!!」
そしてそのままライオンをオカピの方向へ投げる。お互いの体がぶつかり、両者姿勢を崩す。
そして追い打ちに向かおうとアメビーが木の棒を振りかぶりつつダッシュで攻める。だがいち早く体勢を整えたライオンがそれを迎え撃つ。しかしその体勢をアメビーは木の棒を投げつけて少し狂わせる。そしてその隙に渾身のとび蹴りをライオンにぶちかます。
「ぐうっ!」
と、ライオンは顔をゆがませる。アメビーはそこにさらに追い打ちをかけようとするが、そうは問屋が卸さない。起き上がったオカピがその追い打ちに向かった背中に飛び蹴りを叩きつける。勢いよくライオンの方に飛んだアメビーにその勢いを弾き返すように拳を叩き込む。
「…っ!」
アメビーは声も出せずに大きく吹っ飛ばされる。そして何かを建設し終えたプレーリーの方へ飛んでいく。
「び、ビーバー殿!!!」
慌ててアメビーの方へ駆けつけるプレーリー。
「ビーバー殿!!目的のものは出来たでありますよ!!!あと少しであります!頼むから起きてくれであります!!!!!」
プレーリーが懸命に助け起こそうとするが、アメビーに反応はない。俯せのまま微動だにしない。
「これで終わりだああ!!」
オカピとライオンがトドメとばかりに二人に飛びかかる。
プレーリーはアメビーを背に置き、目を瞑り衝撃に耐える。
しかしそこにバッシャアア!!と、水が弾ける音が響く。
プレーリーが目を開ける。視界に飛び込んだのは心の底から頼れる相棒のボロボロの背中だった。
「び、ビーバー殿…?大丈夫なのでありますか…?」
アメビーは両手を前に突き出し、その掌に水滴をたらしていた。そこから出した水流の圧力でライオンたちを弾き返したようだ。
「し、正直キツイどころじゃないっすけど…、相棒のピンチには立ち上がるもんっすよ…。それに奥の手は取っておくもんなんすよ」
アメビーはこういうピンチの場面のために、修行によって水を自在に操る力を奥の手として取っておいたようだ。
「さてプレーリーさん。この試合オレっちたちが勝つっすよ。そのための最後の策に取り掛かるっすよ!」
「了解であります!!!」
「どうやらあの二人はもう私たちに勝つ方法を見抜いたみたいだね…」
「ああ。…だからといって勝たせるわけないけどな。もうあの二人はギリギリのとこまで追い詰めた。一気に畳み掛けるぞ!!」
ライオン・オカピも気合を入れなおす。両陣の最後の戦いが幕を開けた。
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