第9話 戦闘組み合わせ その2

「さて、助手はマーゲイとプリンセスまで行ったのでしたね。えーっと、次の組み合わせは、シマウマ・カバ対スナネコ・ツチノコです」


「お、さっそくオレたちか」


コノハの声に反応するツチノコ。


「ツチノコ曰く、ツチノコ・スナネコチームはかなりの強さらしいですよ」


「え、本当?」


シマウマがコノハの言葉を聞いて不安そうにつぶやく。


「大丈夫ですわよ。私たちもたっくさん修行してきたじゃないの。私たちだって最強コンビよ」


「そ、そうだよね…。大丈夫だよね」


シマウマが自分を勇気づけるように言う。


「でもボクの砂術は間違いなく最強ですよ」


それを真正面から叩き壊すスナネコ。


「うわあ、ちょっと怖いけど頑張る」


「では次です」


コノハが流れをぶった切る。


「次はヤマアラシ・シロサイ対ジャガー・コツメカワウソです」


「わーい!ヤマアラシ、シロサイかくごー!」


「のぞむところですわ!」


闘志をぶつけ合うシロサイとコツメカワウソ。


「二人とも血気盛んだねえ」


「やる気満々ですぅ」


少し離れたところで話し合うジャガーとヤマアラシ。


「でもま、やるからには全力で行くよ」


「こちらこそ、私のトゲにかけて頑張るです!」


両手でグーを作り小さく握ってそう宣言する。


「ふふ、楽しみにしてるよ」


「次、キタキツネ・ギンギツネ対オセロット・アクシスジカ」


「ふふ、ついに私たちの出番ねキタキツネ。修行の成果見せるわよ」


「ゲームの修行は飽きないんだけどね…。実際の修行は厳しい…」


キタキツネがため息を吐きながら苦々しそうに言う。


「まあ、ゲームばっかやってるあなたにしてはよく頑張ったわね。この成果を存分にオセロットたちにぶつけるわよ」


「私らだって、必死で修行したんだよ。負けるつもりなんて以ての外さ」


「ギンギツネにキタキツネ?負けてくれないの?」


「負けないわよ!絶対に」


「じゃあ強制的に負けさせてあげる?」


「はいはい、そこまでです。さっさと次行きますよ。次はイワビー・フルル対コウテイ・ジェーンです」


「ってちょっと!なんで私以外のぺパプはみんな固まってるのよ!」


プリンセスがコノハにかみつく。


「なんでと言われても…。この組み合わせは全部クジなので、どうしようもないです」


「己の運命を呪うことですね」


「ぐう…」


プリンセスが顔を赤くして悔しがる。


「まあまあプリンセス。待ってなって無事俺たちが勝ち上がってお前と戦ってやるからな」


「なんだとイワビー!いい度胸じゃないか。お前らごときに負けるコウテイじゃないぞ」


「私も、一生懸命頑張りますよ」


「フルルもー」


「うう、羨ましいわ…。あんたたち!絶対勝ちあがるのよ!」


「ああ、決勝で待ってるぜ」


「えー次ですが、センとオルマーはシードです。コウテイとジェーン・イワビーとフルル戦で勝った相手と戦うことになります」


「へえ、それはお得だね」


「ですね。ぺパプたちの対戦をよく観察し、うまく試合運びをできるようにしましょう」


「ぬー、ずるいぞそれ!」


イワビーがオルマーたちに苦言を呈する。が、


「博士、これもどうせクジで決まったことでしょう?」


「ええ、その通りです。運命を呪えなのです」


「ぐぬぬ…」


「さて、これで組み分けを終わりますが、何か質問などはありませんか?」


「あ。じゃあ私から」


ギンギツネが手を挙げる。


「なにです?」


「ヒグマ、キンシコウ、リカオンのセルリアンハンターたちはやらないの?」


「それは当たり前なのです。もともとセルリアンを倒せるヒグマたちを強化したところでってなるですよ」


「まあ、それは確かに…」


「ただ、この三人のうちキンシコウとヒグマは、このトーナメントの優勝者と戦うことになります。セルリアンハンターとの手合せで、実力を再確認するのです」


「なるほど。じゃあお前らはどうなんだ?」


ツチノコがギンギツネに合わせてコノハたちに質問する。


「ヒグマたちのほかに、お前らも出場してないみたいだが?」


「やはりそう思いますか。我々は最後の砦です」


「なに?」


ツチノコが目を細める。


「ヒグマたちに勝った後、我々と戦ってもらいます。これに勝てたら真の勝者となるのです」


「我々に勝たねば、真の勝者とはならないです」


「相変わらず図々しい長だな」


「長など図々しくて何よりでしょう。さて、ほかに質問はないですか」


「じゃあ私からもいいですか」


今度はコノハの隣に立つミミちゃんが手を挙げる。


「む、助手からですか。なんです?」


「この大会ってそもそもフレンズ一人一人がセルリアンに対抗するために開催されるわけですよね?じゃあなんでコンビなのです?コンビじゃ、一人で絶体絶命になってしまったらどうしようもないのでは?」


「あ」


ミミちゃんの言葉にコノハはぽかんとした表情でミミちゃんを見返す。


「ですが、その疑問が出るのも想定済みなのです。甘いですね助手」


「なに?」


ミミちゃんが不審そうに眼を細める。


「コンビで戦う以上、お互いの足を引っ張らないよう、お互いを助けるよう余計に頑張るものなのです。フレンズたちの友情を先読みした私のかしこさを思う存分発揮した策なのですよ。その証拠に、スナネコは最強クラスの実力をつけてるようですし」


「ぐぬぬ…」


コノハの力説にミミちゃんは悔しそうな声を上げる。


「それに十人十色な個性を持つフレンズたちと戦うわけですし、自ずと様々な策や攻め方も考えるものです。それに優勝したらさらに強くなれる方法ときた。これは各々が頑張らない手はないですよね」


「っく…。今回は私の負けですね…」


「なんでこの二人はお互いの揚げ足を取ろうとしてるんだ…」


コノハのいうフレンズの友情とは少し離れてしまってるお二人さん。


「というか優勝賞品はさらに強くなる方法ってなんだ?」


コノハたちの話しをぼんやりと聞いてたジャガーが耳聡く反応する。


「ああ、そういえば言ってなかったですね。優勝したものにはさらに強くなる方法を伝授してやるのです。これがあればペアはもちろん、パーク中のフレンズを守ることも容易いです」


コノハの言葉を聞き、みんなの目がピカピカと光り輝く。


「さて、もう質問はないですね?じゃあさっそく第一回戦を開始しますもで、あっちの特設ステージまで移動するのです」


と、コノハがとしょかんの端にあるアメビーとプレーリー特製の建物に向かう。そしてそれに悔しそうに渋々着いていくミミちゃん。


「いよいよ始まるんだな。楽しみだ」


ツチノコをはじめ、参加者のフレンズたちが特設ステージへ目指す。

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