第5話 ペア組分け その2
「さて、続きから行きますよ。えっと、誰からでしたっけ」
「オーロックスとツキノワグマまで行きました」
コノハの小ボケにとっさにサポートするミミちゃん。
「ああ、そうでしたね。じゃあ次の組み合わせを発表します。次はヤマアラシとシロサイです」
「シロサイですか。これは頼もしいですう」
「あなたも、そのトゲ頼りにしてますわ」
「そんな、頼りにされるほどのものじゃないです〜」
「ハイハイ。じゃれ合いはそこまでです。次はカメレオンとカピバラです」
「拙者の相方はカピバラ殿でござるか…」
「およ?頼りないよねね?」
「いやいや、拙者が足引っ張らないか不安なのでござるよ」
「いやいやー、あなたの透明化能力はもっと誇るべきよよよ」
「うう〜頑張るでござる…」
心底自信なさげにしょんぼりするカメレオン。
「そして、マーゲイ、プリンセス!」
「おほっ!?わ、私とプリンセスさん!!?」
「よろしくねマーゲイ。頼りにしてるわよ」
「な、ならば!プリンセスさんには指一本触れさせません!!」
興奮した様子でマーゲイが高らかに叫ぶ。
「気合十分ですね。では次、コウテイとジェーンです」
「ほお、私とジェーンか」
「頼りにしてますよ。コウテイさん」
「ああ、私に任しておけ」
「そして、イワビーとフルルです」
「うおおお!!燃えてきたぜ!」
「イワビーよろしくね〜」
「おう!マーゲイもプリンセスもコウテイもジェーンもまとめてぶっ飛ばしてやろうぜ!」
「望むところだイワビー!真正面から返り討ちにしてやるさ!」
「燃えてるとこ悪いけど、当たるかどうかはまだ分からないのよ?」
「そんなの関係ねーよ!ぜってー勝つからなお前ら!なあ?フルル!」
「う、うん…」
「引いちゃってるじゃないの」
「最強のペンギンは私なんだぞ?お前らに勝てるのか?」
「あ、そう考えるとコウテイさんも頼りになるかもです」
「え?どういうことだ?」
「いや、すぐ気絶しちゃうから一瞬で勝負ついてしまうかと」
「ハイハイそこまでです!」
ぺパプ達の途切れない会話を強引にぶった切りしたのはコノハだ。
「いつまでもザワザワしてんじゃないのです。さっさと次に行きますよ。次はキタキツネとギンギツネです」
「まあ、そうなるわよね。キタキツネ、やるからにはてっぺん目指すわよ」
「…まあボクの気が向いたらね」
「しっかりやって頂戴!」
「そして、タイリクオオカミとアリツカゲラです」
「よろしくお願いしますね。オオカミさん」
「ああ、私に任しておけ」
「さて、」
「あ、あれ?私は?」
ここでまだ名前を呼ばれてないひとりのけものが立ち上がった。オオアルマジロだ。
「も、もしかして私だけハブ…?のけもの?」
「落ち着くのです。お前だけのけものにする訳ないです」
「でも、もう誰も余ってないんだよ?」
オオアルマジロのオルマーが不安そうに眉を吊り下げながら聞く。
「まあ、待つのです。お前の相方はこいつなのです。さあ、くるのです!」
コノハが大きく声を張り上げると、オルマーの横に急着地する影が現れた。
「こいつがお前の相方、オオセンザンコウです」
「はじめまして。私、オオセンザンコウと申します」
「え、ああ、オオアルマジロです。ねえ、博士。なんでオオセンザンコウなの?」
「オオセンザンコウとオオアルマジロ。お前らもこれに書いてあったのです。助手」
と、博士は助手の方向に手だけ向け、本を促す。助手はそんな博士の手に本を乗っける。その本の表紙にはでかでかとこう書かれていた。
『広辞苑』
「おっも!!こら助手!!誰がこんな本出せと言いました!?ボケてないでさっさと出せなのです!」
広辞苑が乗った手に思いっきり体を持ってかれながら、コノハは抗議をする。
「ああ、これですか」
改めてミミちゃんコノハの手に置いたものは、『世界カレー大全』
「誰がボケを重ねろと言いました!?いいからさっさと日記を出せなのです!進まないでしょ!!」
今度の今度はミミちゃんもボケなかった。博士の手にオオアルマジロの日記が置かれる。
「これも、ガゼルのときのように昔のお前が書いた日記なのです。これにはお前とオオセンザンコウで何でも屋、『ダブルスフィア』をやってたらしいのです」
「だから博士は、私とオルマーさんを組ませたということなんです。理解できました?」
オオセンザンコウのセンちゃんが懇切丁寧に説明する。
「へえ、まあ相方居るのならなんでもいいや。じゃあセンザンコウ。改めてよろしくねー」
「よろしくお願いしますね。オルマー」
「…そのオルマーってなに?」
「前の私があなたの事をそう呼んでたらしいのです。オオアルマジロだからオルマーと」
「オルマー…か」
「そしてあなたは、私をセン。センちゃんと呼んでいたらしいですよ」
「センちゃん…ね」
オルマーが嬉しそうにその名は反芻する。
「なんか、君にオルマーと呼ばれ、君をセンちゃんって呼ぶと妙な感じがするよ。私と君は最高のコンビな予感がする。一緒に頑張ろうね!」
「ええ、よろしくお願いしますね」
オルマーとセンちゃんがガッチリと握手を交わす。
「いやー、センザンコウとアルマジロのコンビか。頼もしそうかつ強そうだ。私も負けてられないな!」
ヘラジカが大声で気合を入れる。
「それじゃあこれでペアの組み分けを終了します。次はトーナメントの割り当てをするのです」
「でもまあ、これは我々の方で適当にやっておくので、お前達はもう解散しても結構なのです」
コノハとミミちゃんが紙にトーナメント表を書きながら皆に言う。
「ですが、これから遊ぶのではなく、各ペアで集まり特訓をしておくのですよ。少しでも潜在能力を対決までに引き出しておくのですよ」
「対決は二週間後とするのです。それまでにいい仕上がりにしておくのですよ」
長二人の声にみんなで「はーい!」と大きく返事をする。
「これなら、全ていい試合になりそうなのです」
その声を聞きながらコノハは満足げに頷いた。
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