第4話 ペア組分け その一
「けものトーナメントバトル?」
とその場にいたフレンズみんなの声がハモる。
「ええ、我々みんながセルリアンに対抗出来るようにする為には単純に一人一人の力を強くするのが一番なのです」
コノハが自信満々に言う。が、
「そんな単純な話なの?」
と、ギンギツネが疑問を呈する。
「確かに、みんながみんなハンターさん達みたいに強くなれるとは限らないんじゃないですか?」
アリツカゲラもギンギツネに便乗するように言う。
「その話は前話にやったのでもう端折ります」
しかしコノハは無慈悲にその意見をバッサリと切り捨てる。
「まあ詳しくはツチノコに聞けなのです」
と、ミミちゃんも言う。
「オレに面倒事振るなよ」
と言いつつツチノコはギンギツネ達にフレンズの事情を説明する。
「じゃあ、さっさとルール説明に移るのです」
コノハが仕切り直す。
「ルールは二人一組でチームとなり、二対二で対決をするのです。チームの二人が気絶するか負けを認めると、その場でゲームセットです」
「対決の組み合わせはトーナメントで決めるのです」
「トーナメント?博士、トーナメントってなんだ?」
ジャガーが質問をする。
「ええ、トーナメントとはですね…。えーっと…」
「勝ち抜き方式という事です」
言葉に詰まったコノハをミミちゃんが助ける。
「勝ち抜きって言われても、具体的にはどうやるのー?」
ジャガーに続き声を上げたのはコツメカワウソだ。
「じゃあこれを見るのです」
と、ミミちゃんは棒で地面に線を書いた。更にその線の先に垂直になるように横線を引く。その両端からそらに縦線を引いた。更にその線の先も同じように書いた。
そしてその引いた縦線の先を指しながら説明する。
「例えばここにジャガーとライオン、こっちにタイリクオオカミとヘラジカが当たったとします。そしてそれぞれジャガー、ヘラジカが勝ったとします」
「いや、ライオンはジャガーに敗れるような者じゃないぞ!」
ミミちゃんの言葉にヘラジカは真っ先に反論するが、
「まあ例えばの話しだよ」
ライオン本人に説得される。
「…話を続けますが、勝ったジャガーとヘラジカは進み、ここで戦うのです」
ミミちゃんはジャガー、ヘラジカと指した部分に棒を置き、予め書いていた線を更に上書きして濃くした。
「なるほど。その先でジャガーとヘラジカが戦って、勝った方が頂点になるってことだね」
「その通りです」
タイリクオオカミが言い、ミミちゃんも頷く。
「なるほどねえ。それは分かりやすくていいね」
ジャガーも理解したようだ。
「それで、組み合わせは我々が勝手に決めたのです。文句は一切受け付けないですよ。出ないと思いますが」
と、コノハは勝手なことを言うが、集まったみんなは特に何も言わない。
「呼ばれた者は出てきてペアになるのですよ」
「まず一組目、カバとサバンナシマウマです」
コノハが読み上げ、二人が反応する。
「へえ、私とシマウマねえ」
「私、カバの足でまといにならないよう頑張ります」
「大丈夫ですわよ。お互い頑張りましょうね」
「では次は、オセロットとアクシスジカです」
「へえ、私とアクシスジカ?悪くないんじゃない?」
「うん、よろしくな!」
「次はマレーバクとインドゾウです」
「インドゾウさんですか。なるほど頼りになりそうです」
「よろしくねえ〜」
「そしてキングコブラとフォッサ」
「ほう、私とお前か。楽しみだな」
「うん。頼りにするから頼りにしててね!」
「そして、ミナミコアリクイと、ヘラジカです!」
「ほう、私か!」
「うええ?ヘラジカさんと!?」
「よろしくな!共に頂点を目指そう!」
ヘラジカは心強く言うが、アリクイはまだ混乱しているようだ。
「ヘラジカ様と当たったら勝てっこないですう…」
弱気に呟くのはアフリカタテガミヤマアラシのヤマさんだ。
「さっさと次行きますよ。次の組み合わせはオカピとライオンです」
「おお!ライオンはいいね!」
「あんま乗り気しないけど、オカピの為頑張るよ」
「大将が相手になるのか…。燃えてきたぜ!」
オーロックスが闘志を燃やす。
「次、タスマニアデビルとエリマキトカゲ」
「ええ!?俺たちか!?」
「対戦相手をドンドンビビらせてやろうぜ!」
心底驚くタビーとヤル気十分なエリー。
「次、クジャクとハシビロコウ」
「ハシビロコウさんですか。よろしくお願い申し上げます。共に頑張りましょう」
「う、うん。よろしくね」
「そしてコツメカワウソとジャガー」
「やったー!ジャガーよろしくねー!
「ああ、まあ頑張るよ」
カワウソのハイテンションに曖昧に返事をするジャガー。
「続いて、トキとアルパカ・スリ!」
「おお〜頑張ろおねえ」
「うん。絶対優勝するわ」
「そしてショウジョウトキとアミメキリン!」
「ほお、私達ですか!これは面白くなりそうです!」
「うん。私の推理によれば私達はかなり強いです!」
謎かつ急な推理にその場の全員が微妙な顔をする。
「次、スナネコとツチノコ!」
「ほお、ツチノコとですか。これは頼もしいです」
「ああ、オレがお前を優勝まで導いてやるよ」
「ちょっと何言ってるか分からないです」
「いや分かれよ!なんでそこでボケるんだよ!」
ツチノコとスナネコの漫才をスルーし、コノハがいう。
「次はオグロプレーリードッグとアメリカビーバーです」
「うおお!よろしくであります!!」
「やるからには優勝するっすよ!」
互いに生き込むプレーリーとアメビー。
「次はアラビアオリックスと、トムソンガゼル!」
「え!オーロックスじゃないのか!?」
「え!俺じゃないのかよ!」
オーロックスとアラビアオリックスことラビラビが同時に声を上げる。
「なんですか文句あっても受け付けないって言いましたよ」
コノハが二人の声を一蹴する。
「でもさ、ぼくから見てもオリックスの相棒はオーロックスが適任だと思うんだけど。なんでぼくなの」
トムソンガゼルことルルからも抗議の子が上がる。
「しょうがないですねえ。特別に教えてやるのです。助手、あの本を」
コノハがミミちゃんに呼びかける。
「はい、博士」
と、ミミちゃんはコノハに手渡した。「世界のカレー全集」と書かれた本を。
「なるほどこんなに美味しそうなカレーがあったとはもっと研究しなくてはって馬鹿野郎」
本を開いて中を軽く見てすぐ閉じてその本でミミちゃんの頭を軽く叩く。
「博士、ノリツッコミ下手ですね」
「うっさい!やらせるななのです!いいからあの本をさっさと寄越すのです!」
今度はミミちゃんもボケなかった。薄いとも厚いとも言い難い微妙な本を受け取ったコノハはページをペラペラとめくり、あるページで止めてルル、ラビラビ、オーロックスに向ける。
「ここには『あたしたち、ルルとラビラビのコンビは無敵で最高だよ!』って書いてあるのです」
「因みにこの本は昔のトムソンガゼルの日記で、ルルはトムソンガゼル、ラビラビはアラビアオリックスのことを指しています」
コノハの説明にミミちゃんが付け加える。
「へえ、昔のぼくが…ね」
「んで、博士はわたしとガゼルのコンビがどうなるのか見たいからって組ませたってことか?」
「イグザクトリーなのです」
「(イグザクトリー?)」
オーロックスが一人で首を捻る。
「まあいいや、じゃあわたしはガゼル…ルルと頑張るよ」
ラビラビが言いながらルルに手を差し伸べた。
「やるからには優勝するよ」
しばらく混乱していたルルだったが、満面の笑みで差し出される手を勢いよく掴んだ。
「うん!ぼくからもよろしくね!ラビラビ!」
「そして次は、オーロックスとニホンツキノワグマです」
「ほお、ツキノワか!改めてよろしくな!」
「地味にあまり組んだことは無いもんね。頑張ろう!」
オーロックスとツキノワが力強く握手を交わす。
「お前らと当たった時は、手加減なしの全力で行くからな!」
オーロックスがラビラビ達を指さして高らかに宣言する。
「そっちこそ、全力で来てもらわなきゃ困るな」
「もちろん、私にも全力で来なよ?」
オーロックス達の会話を聞いてたライオンも顔を突っ込んできた。
「もちろんだぜ!大将だろうと容赦はしないですぜ!」
「大将にも勝って見せますよ」
「それは非常に楽しみなことを聞いたな。当たることを願ってるよ」
「では次、ですが、長くなってきたのでひと区切りです」
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