第3話 始まり

「強くなりたい(っす!)(であります!)(んです!)(らしい)」


と、四人の言葉がそれぞれ被る。


前話と前々話にあった出来事でとしょかんのコノハ博士とミミちゃん助手に相談に来たアメビーにプレーリー、そしてスナネコ。ついでにツチノコ。


「まあ確かに、最近セルリアンも多いですし、何らかの対策を考えてたところなので、いいタイミングです」


「対策だと?」


ツチノコが目を細める。


「ええ、まあ実際はフレンズ一人一人がセルリアンに対抗出来る程強くなればいいだけの簡単な話でしたが」


「ってそんな簡単に言いますが、難しくないっすか?」


「確かに、みんながみんな、セルリアンハンターみたいに強くなれるとは限らないでありますよ?」


「戦闘が苦手とか、元動物の影響とかもありますからね」


「いや大丈夫だろ」


と、ツチノコが三人の意見をバッサリと切り捨てた。


「オレたちはどんな奴であろうとセルリアンに対抗出来る程度の実力はあるんだよ」


「え?そうなんすか?」


「ツチノコの言う通り、潜在能力というヤツです」


ツチノコの言葉を拾い、コノハ博士が解説をする。


「我々の潜在能力を存分に引き出せば、セルリアンなどと敵じゃないのです。対策は如何にそれを引き出すかがかかってるのです」


「まあ我々に任せておけば大丈夫なのです」


コノハの言葉にミミちゃんが付け足す。


「まあ博士たちがそういうなら信じるでありますが」


「色々と心配っすねえ…」


「ただ、お前ら」


とミミちゃんがアメビーとプレーリーを指す。


「お前らは残れなのです。我々の手伝いをするのです」


「え、まあ、いいすけど…」


「なにか心配でありますな…」


「そしてツチノコ、スナネコも。明日には島中のフレンズをここに呼ぶので」


「お、おう、そうか」


「はい」


曖昧に返事するツチノコとスナネコ。


「さあ、行くですよ」


と、コノハとミミちゃんはさっさと図書館のある土地の隅に飛んで行き、


「待ってっすー!」


「待つでありますー!」


アメビーとプレーリーは慌てて跡を追いかけて行った。


「大丈夫ですかね?」


「まあ、博士と助手ならなんとかしてくれるだろう。さあ、今日はとしょかんで過ごすぞ」


「はい」


そして二人がとしょかんで一晩明かした次の日の朝。


ツチノコが目が覚めて図書館の外に出ると隅の方に謎の建物が二棟ほど建っていた。


「なんだありゃ…」


「今はまだ気にするななのです」


ツチノコの後ろから声がかかった。


「おう、博士に助手。ってビーバーとプレーリー大丈夫か?」


そこにはミミちゃんに体を預けたアメビーとプレーリーが居た。


「二人はもう疲れ果てているので、もう無理させないようにするのですよ」


「無理させたのは誰だよ」


ツチノコのツッコミをコノハは華麗にスルーした。


「んで、あれはなんなんですか?」


「これから島中のフレンズを集めて集会を開くので待ってろなのです」


と言われ、渋々みんなの到着を待つことにしたツチノコとスナネコ。


そして続々とけもの達がとしょかんに集まってくる。比較的近く、早めに着いたへいげんの子がツチノコに話しかけてきた。


「お前らはなんの用で呼ばれたか知ってるか?」


と聞いてくるのはヘラジカ軍のリーダーのヘラジカだ。


「ああ、何やらオレたちを強くさせるらしいぜ」


「おお、それは本当か!ようし、更に更に強くなってみせるぞ」


「いやお前はもう十分強いだろ」


「いやまだだ。いずれはライオンを圧倒できるほどの力を持つんだ!」


「向上心の塊ですね」


スナネコが少し後ろでジャパリまんを頬張りながら言う。


「こうしちゃいられん!おいライオン!修行するぞ修行!」


とヘラジカは一緒に来たライオンの方へ、ドカドカと走っていってしまった。


「ヘラジカは熱心ですね」


「まああれでも一応リーダーだからなあ」


「『一応』ですね。でも、ヘラジカ軍の子らが、ヘラジカに着いていくって気持ちもわかる気がします」


「確かに、けものを惹きつけるカリスマ的なのは感じるからな」


そんなことを離してると続々とけもの達が集まって来、あっという間にみんな揃った。


「さて、全員揃いましたね」


因みに、寝ていたアメビーとプレーリーもコノハ達にたたき起こされた。体力は回復できたから大丈夫らしいが。


「それでは、ここに…」


とそこでコノハは一拍おく。自分に注目してるフレンズ達が投げかけてくる期待と不安が入り雑じった空気を感じながら、コノハは言った。


「けものトーナメントバトルの開幕を宣言します!」

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