第一章 加藤心愛 16
俺はまた真美子のいない2DKで一人で鍋焼きうどんを食べている。テレビをつけると金髪碧眼のプリンス・ジャッキーが有名芸能人のなんとかって女を前にタロットカードを並べていて、「あなたは今人生の岐路に立っている」とか阿保らしいことを言っている。なんだこいつ。
俺は暫くの間うどんを啜りながらジャッキーが「あなたの人生観が……」とか「女神が微笑んで……」とか胡散臭く話すさまを見ていたのだけれど、薄気味悪くて途中で変える。すると現れたのが津島花野で、クイズバラエティ番組で知性派女優の貫録を見せていた。
うどんを食べ終わると同時にテレビを消して、俺は冷蔵庫に貼ってある真美子のシフトを確認する。六月二日は真美子は日勤。今日は五月二十四日。『自殺旅行』まで一週間。中間テストまであと十日。テスト勉強をしながらも、俺はちゃんとカレンダーにばつをつけ、指折りながら確認していく。
よし。
決行だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます