19・貴方に触れられた夜に

はじめて貴方に触れられた夜。



己の弱さを、思い知った。





泣かないように、愛なんて望まないように。

何度も言い聞かせたこの心は、あっと言う間に貴方に堕とされ、溶かされた。





優しくしないで、冷たくして。

キスなんてしないで、噛み付いて。

抱き締めないで、突き飛ばして。



愛さないで。












でも、嫌わないで。












伸ばした腕、縋った指、求めた声。

そして、それらに秘められた私の心。



貴方にどれだけ届いたの?





流した涙の意味を知らずに、唇で拭い取ってくれた訳じゃないでしょう?






朝がきたら全て忘れてしまおうと思ったのに。

ああ、何も忘れられない。




どうしてだろう。



こんなにも、貴方を愛している。


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