第3話
彼を約4か月間見ていて分かったことがあった。彼はこのクラスのどのグループにも属していない。このクラスには主に7つのグループがある。
男子は3つのグループに分かれている。私の中では、リア充系、おふざけ系、文化系だ。リア充系は、付き合うとか、青春とかにうるさい現代っ子集団だ。おふざけ系というのは、リア充系とはあまりつるまない、というか、水と油のような感じだ。どちらも騒がしいのに変わりはない。最後は文化系。これは、いわゆる陰キャやオタクといったイメージだ。実際はそうでない人もいるのかもしれないが、変わり者の集団であることに違いはない。
次に女子。こちらは、4グループだ。まず、男子と同じようにリア充系。説明も同じくだ。次に、けばい女子系。これは、つかみどころがなく、私なんかには何を考えているかも分からない、自分たちのフィールドを持っている人種だ。そして、正統派文化系女子。これは、そのまま文化系の女子の正統派だ。まあ、オタクと言っても間違いではないだろう。あと、基本的に周りには無害。こんなことを言うのはリア充系、けばい女子系は、特に後者はうるさく、こちらが害を
とまあ、男子も女子も散々言ってきたけれど、私は一応、リア充系女子に属している。といっても、仮免許程度。さらに言えば、免許を取る気もない。ほかに、どのグループにも属さない、と言ってもみんなと関係を断絶しているわけでもない、みんなと接しているふわふわした人が、男子にも女子にもいる。ちなみに彼は文化系男子の一人だ。そうはいっても、あまり人とは絡まない方である。
彼の生活は、非常に決まりきったものであった。テンプレート、判を押したよう、ルーティーン、言い方はいろいろあれど、結局は、全く変わらないということだ。それは、終業式の今日でさえ例外でない。それがルーティーンというものなのだろうか。今日の彼の朝の動きはルーティーンそのものだった。彼は今はまだ寝ているが、朝のホームルームのために先生がドアを開けた音でちゃんと目を覚ますのだろう。目を覚ますまでが彼の朝のルーティーンだ。他にも色々とあるのだけれど、一貫しているのは、なるべく人とコミュニケーションをとらないようにする、ということだ。
しかし、梅雨ごろからそんな彼へのいじめが目立ってきた。クラスメイトによると1年や2年では露骨にいじめと名の付くものはなかったと言う。今のクラスの男子と相性が悪いのかもしれない、とも言っていた。軽い悪口やシカトから罵倒や、ものを隠すなんて言う陰湿なものまでがあった。「眠そうに登校して来て、また寝るのか。」昨日の男子の声がよみがえる。いじめているのは主に、おふざけ系男子だった。クラスのみんなは見て見ぬふりで(私もなのだが)、大倉も何もしていなかった。
彼は今日も、ホームルーム開始の、ドアの開いた音で起きた。先生が、いまから終業式です。また始業式に元気な皆さんと、、、と言ったことを聞きながら、始業式がある9月1日は自殺者が多いことを思い出した。頭の中で彼へのいじめと、自殺を結びつけてしまう自分が嫌になった。カタっと彼の椅子が動いた。私の頭の中を見透かされたのかと驚いた。そんなことはなく、終業式のために体育館に向かっているだけだった。
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