白骨の甘さ


いとしい男は相変わらず背が高い

体勢的に、少しでも俺が下に沈むと

あっという間にすっぽり顎の下にまで

体が収まってしまうのが悔しい

一応俺だって男なんだけど


けれど、そうすると

ちょうど綺麗に浮き出た鎖骨が目の前にきて

白く滑らかな肌に浮き上がる骨の形が

美しくて艶かしい


なんとなく、その美しい鎖骨に

スリスリと鼻筋を擦り付けて

ベロリと舌を這わせると

滑らかな肌がピクリと波打って

さざめきたつのが、妙に楽しい


骨の硬さを確かめるように

やわやわと歯を掠めて弄ぶと

だんだんと甘いような気がしてくるから不思議だ


こいつの骨は、実は干菓子なのかもしれない

肌は、とろける求肥だ

肉は、きっとすあま


サリサリと舌で転がすと

だんだんと本当に甘い味がしてきた


なにやってんの、と呆れたように

俺の額を押し返す筋張った手指

その節くれだった指にも

鼻を擦り付けて舌を這わせると

やっぱりしゅわりとあまいあじがした

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